リーフ先輩✩︎
リーフ100人隊長は平民でありながら実力だけで1年で100人隊長に昇進した豪傑だ。女性騎士でこのスピード出世は異例である。
前線近くの広場にて野営を行っていた。
「敵襲!」
リーフが飛び起きて剣を持ちテントから飛び出す。外では黒髪の男と部下達が戦っていた。リーフは剣を抜きながら…
「貴様何者だ?」
「隊長殿とお見受けする。俺は魔王軍参謀本部所属ゾーマだ」
「メダリスト王国騎士団所属100人隊長リーフ。参る」
リーフは剣を振りかぶり上段から振り下ろす。ゾーマは手に持ったライフルで受け止める。
「ふっ…」
リーフは笑いながらある光景を思い浮かべる。
(ミラだったらもう1発叩きつけてゾーマの持つよく分からん槍をぶっ壊したんだろうな)
ゾーマはリーフの剣を押し返すと銃剣で素早く突く。リーフは突きを躱すと横薙ぎに一閃。ゾーマはバックステップで距離を取る。
「お前ら!手出しは無用だ!死人が増えるぞ!」
リーフはそう言うと再度剣を振りかぶり駆け出す。力が籠った一刀を振り下ろす。ゾーマはライフルで器用に受け流すとバランスを崩して突き出た顎に銃底を叩き込む。
ガン!
脳震盪を起こして倒れるリーフ。リーフの部下達は色めき立っているが隊長が手も足も出ない相手に斬り掛かる事も出来ずにいた。
「こいつは貰っていく」
ゾーマはリーフを肩に担ぐと魔法陣と共に掻き消える
しばらく後
(ミラ…君の艶やかな赤髪に触れたい。君の鎖骨に触れたい。君の唇に…)
「はっ…ここは…」
見回すと見た事ない石作りの部屋だった。
「起きたか?」
「貴様!」
リーフは飛び掛かろうと椅子から立ち上がったが腕は後ろから動かなかった。下着姿でリーフの両腕は背中でクロスさせられて高い位置で縛られている。凹凸の少ない胸の上下にもロープが渡されていて上半身は動けそうにない。何より縛られて時間が経っているのか手が痺れて指の感覚が無い。
「くっ…殺せ…」
「折角連れてきたのだ。殺す前に情報を聞かせてもらおう」
「ふん…貴様に話す事など無い」
ゾーマと話しながらリーフは状況を整理していた。
(縄を解くのは無理そうだ…縛られたまま逃げるのも難しい…自決するしか…いや…足は縛られていない…一矢報いる事が出来れば…)
「ミューと言う黒目黒髪の少女を知らんか?」
「…」
「知らんらしいな…では補給部隊のルート及び到着日時を教えてもらおう」
「ふん!貴様に話す口など持たぬ!」
リーフは身体強化を全開にしてゾーマの首筋に噛み付こうと飛び出してきた。上からスライムが降ってきてリーフを覆う。スライムに埋もれて速度を失ったリーフ。
「ごぼぼ…」
(息が出来ん…)
身体強化を使って暴れるが柔らかいスライムに取り込まれて抜け出す事が出来ない。
(ミラ…こんな事になるなら告白しておけば良かった…騎士祭で剣を交えた時は照れ臭くてすぐに倒してしまったが…いつまでも剣を交えていたかった…赤髪、長身、大きな胸、軽々と武器破壊する豪快な力…寝物語に聞いた憧れのバトル女男爵のようだ…)
「ごぽ…」
(ミラ…死ぬ前にもう一度君と会いたかった…)
リーフがぐったりして動かなくなったのを確認してスライムがリーフをズルリと吐き出し人形に変化する。
「ゾーマ様捕虜の扱いがなっていませんよ?」
「すまない。とろけるスライム助かった」
「こんな雑兵にゾーマ様討ち取られたら魔王様に申し訳が立ちません!」
「今度からもっと厳重に縛ってから尋問するよ」
「そうして下さいね?」
リーフ19歳短い人生を終えたのであった。




