事後処理
「あーダルい…起きたくねぇ…」
ミラは久々の自宅で目覚めていた。
魔物の襲撃後ミラは取り調べを受けイースが連れ去られた事とクオーレが自分を庇って死んだ事、侵入者は魔王軍参謀本部所属ゾーマと名乗った事を伝えた。かなりの時間待たされた後に軍事規制として事実の口外禁止及び国の都合良く改変された記録を覚えて帰るように言われた。改変された記録はこうである。魔王軍の魔物が王都に侵入して高等学園に籠城。筆頭であるクオーレ・スヤジが相討ちで撃退した。平民であるイースが拐われた件は何も無かったとする。事件とは関係無い失踪と…
「くそ…イースは失踪したって…あたいの目の前で…ちくしょう!探してもくれねぇのかよ!」
ミラはガバッと起き上がると身支度をする。王都に侵入した魔物を倒した英雄としてこれからクオーレの国葬が行われるからだ。
馬車で王城へ移動
シンプルな黒いワンピースを着たミラは少し遅刻したが王城の広場へ到着した。王からオケべに爵位が授与されている所であった。オケべ・スヤジは男爵から子爵になったらしい。国葬が終わり…
スヤジ家のお墓前で
「オケべさん…」
「あぁ…ミラ嬢か…ミラ嬢の言った通りだったな。クオーレはほっといても授爵すると…しかしなぁ子爵になってもクオーレが居なくなったら何の意味も無いのだよ…」
オケべは泣き崩れてしまった。ミラはオケべの肩に手を置いて涙を流していた。
数日後
ミラは部屋に籠って布団を被って生活していた。イースが拐われた事とクオーレが自分を庇って死んだ事が誰にも言えず苦しんでいた。
トントン
「ミラ…食事を置いておくから少しでも食べなさい。スヤジ嬢が亡くなった事はミラが気に病む事は無いんだよ?」
「うっせ…」
「ん?どうしたミラ?何か言ったか?」
「うっせーって言ったんだよ!クオーレはあたいを庇って死んだんだよ!」
ミラはドアを開けてココアに言う
「ん?…そうか…軍事規制か…ミラ他で言うんじゃないよ?投獄されてしまうからね…」
ココアはミラの頭を抱きしめ頭を撫でる。
「うあぁぁぁんクオーレー…」
「今はお泣きなさい。そうすれば立ち上がれる日も来る」
1時間後
「長かったけど…どうだったんだ?」
「ミラは泣き疲れて寝てしまったよ。身体は随分大きくなったがまだまだ子供だな…私達で守ってやらねば…」
「そうか…本当は何があったのか聞いたか?」
「ん?ジーノは軍事規制の事知っていたのか?」
「いや知らん。だがスヤジ嬢が死んだだけなら何日も寝込まんだろ?」
「イースと言う平民の子が魔物に拐われそうになったのをミラが助けようとした」
「ふむふむ」
「魔物の反撃にあいミラを庇ってクオーレが死んだ。そしてイースも拐われた。これが本当の事らしい」
「自分を庇って友達が死んだら俺たち軍人でもつれぇからなぁ…」
「しかも魔物は魔王軍参謀本部所属ゾーマと名乗ったらしい」
「ゾーマ?聞いた事ねぇ魔物だなぁ…新種か?」
「わからんが人間と同じ見た目をしていたそうだ」
「あいつら人化しやがるから人形が本当の姿か分からねぇ所だなぁ…」
「何はともあれミラが元気になるまで見守っていこうじゃないか」