ミラ領地に出発
「父上より領地にミラを連れて来るように言われているのだが…」
「お母様のご予定次第ではないでしょうか?私は学園に入学するまでは何もありませんし」
「馬車で2日程掛かるが?」
「構いませんわ」
「では私とジーノの予定を調整しておく。1週間程度滞在しよう」
「はい、お母様」
「それと、わかっていると思うが街道を行っても魔物が出る事もある。危険な旅だからね?」
「わかっておりますわ」
数日後
馬車2台に分乗してソルトレイク領に出発。
王都から出て街道を馬車が走る。日のあるうちは危険もさして無いので山道をどんどん進んで隣町に入る。
隣町は山間部にある。どんぐりで豚を育てて王都に出荷している。
「昼食を買ってくる」
ジーノは街にある貴族向けの食堂へ行く。
まだ客は居なかったので昼食用のサンドイッチを頼むと席でお茶を飲むジーノ。しばらくすると美味しそうな匂いがしてきて思わず今食べる用を注文してしまう。出てきたカツサンドを食べて…
「美味い」
豚肩ロースのブロック肉をわざわざ薄切りにして塩胡椒で下味を付けた後に再度重ね合わせ卵、小麦粉、細かくひいたパン粉を付けてラードで揚げる。ラードで揚げられたカツは少し重いが豚の味を濃く感じる。
サクッとしたカツに硬い部分を除去した柔らかい薄切りパン。そして胡麻が混ぜられた濃いめのソースが絶妙にあう。
お茶のお替わりを持ってきた女給が
「時間が経つとパンとカツが一体化してまた違った美味しさになるんですよ」
と言って厨房に戻って行った。
サンドイッチを受け取るとジーノは馬車に戻る。
ジーノが馬車に乗り込むと御者が馬車を発進させる。
「湖まで進んで昼食をとろう」