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第74話 宝剣奪還の依頼

更新再開してまいります!

あとがき欄に重要なお知らせがございますのでぜひご覧ください!


「なるほど。つまりその宝剣を取り返してほしいと」

「はい……」


 夜の銀の林檎亭にて。

 俺はルーンガイアに拠点を移して五人目となる依頼者の男性の話に耳を傾けていた。


「お願いします! あれは死んだ兄が俺に託してくれた形見なんです。奴らに仕返しをしてくれとは言いません。どうか、あの宝剣だけでも戻ってきてほしい。それだけなんです……」


 俺の前に座っている男性は必死の様子で思いを口にしている。

 今回の依頼は盗まれた宝剣を取り戻してほしいというものだった。


 男性の話を整理すると、この男性は夜の街を歩いていたところ、何者かに剣を盗まれてしまったとのこと。何か暴行を加えられたなどではなく、気づいたら手にしていた剣がなくなっていたらしい。


「概ねの事情は分かった。しかし、一つ確認しておきたいことがあるんだが」

「は、はい……」

「君は気づいたら剣を失っていたと言ったが、なぜ盗まれたと思ったんだ?」

「実は、剣を失う前に子供と出会ったんです」

「子供?」


 俺の問いに、隣に控えていたメイアが「ああ」と声を漏らす。


「そういえば、街の人から聞きましたね。最近、ルーンガイアの城下町では妙な噂が立っているんだとか」

「へぇ。どんな噂なんだ?」

「夜にフードを被った子供と出くわすと、いつの間にか金目のものが子供の手に渡っているんだとか。あくまで噂なんですが」

「ふむ」


 メイアと俺のやり取りに、依頼者の男性はうなだれながら言葉を絞り出した。


「オレの時も同じでした。フードを被った子供が目の前に立っていて、急に視界が暗くなったんです。気づいた時には子供が宝剣を手にしていて、そのままどこかへ去ってしまったんです。逃げ足も早くてそのまま……」

「なるほどな」


 急に視界が暗くなって、手にしていたはずのものが盗まれた、か……。

 ということは――。


「ねえアデル。それって……」

「ああ、テティの考えている通りだろうな。恐らく何かのジョブ能力だ」


 ジョブ能力を使用した盗難事件と言うと珍しくはないのだが、子供というのが引っかかるな。

 手段というよりも、何故そんなことをするのかが気にかかるところだ。


 幼い子供が一人でそんな大胆な行為に及ぶかと考えると疑問は残る。

 俺はしばし考え込むが、その子供と直接出会ってから確かめればいいかと、酷く単純な思考で締めくくった。


「分かった。とりあえずこの依頼は請け負おう」

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」


 依頼者の男性に頷き、俺は準備に取りかかることにした。


   ***


「でもアデル、どうするの? 依頼者の人からは特に目立った匂いがしなかったし、わたしの鼻でも追跡できなさそうだよ?」


 依頼者の男性と別れ、執行用の黒衣に袖を通しているとテティがそんなことを問いかけてきた。


「メイアの話によれば噂になってるくらいだからな。それなら、囮を用意すれば向こうからやって来るだろう」

「囮……? あ、なるほど」


 諸々の情報を整理したところ、盗っ人の子供は夜、日付が変わるくらいの時間になると現れるらしい。

 ならばその時間帯に一人で歩いていれば出くわす公算も高いはずだ。


 しかし、そんな思考を巡らせていた俺に、テティが意外な一言を放ってきた。


「なら、わたしが囮になる」

「え?」

「だって、アデルよりもわたしの方がひ弱に見えるでしょ? そっちの方が相手も襲いやすそうかなって」

「いや、それはそうかもしれないが……」

「それに、アデルは気配隠匿の効果を持つ黒衣を着て、メイアも《気配遮断》のジョブスキルを使える。それなら二人はすぐそばで待機できると思うし、わたしが荷物を持って歩いていれば、きっと犯人も現れると思うよ」


 テティがしっかりとした口調で作戦を並べていく。幼い見た目に反してテティは時折大人びた考えを口にすることがある。


 確かにこれまでの話を聞いても物理的な害を受けたという例は聞かないし、テティもいざとなれば強力なジョブを使える。そこまで危険は無いと思うのだが……。


 メイアに視線を送ると、微笑を浮かべて頷いた。「ここはテティちゃんの言う通りにしましょう」とでも言うかのようだ。


「大丈夫。わたしだって役に立つよ」

「……分かった。但し、無茶はするな。俺とメイアも近くにいるし、いざとなったらテティもジョブの力を使うんだぞ」

「うん!」


 俺がしぶしぶ承諾すると、テティは嬉しそうに尻尾を振っている。

 そんな様子を見ながら隣にいたメイアが一言。


「ふふ。まるで初めてのお使いを見守るお父さんのようですね、アデル様」


 そんなことを言ったのだった。


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