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第71話 救出、そして……


「皆さん、無事ですか!?」


 地下水道の最奥部にて。

 俺たちは意識を取り戻した《救済の使徒》を尋問し、隠し扉の先に捕らえられたルーンガイアの住人たちがいるとの情報を入手した。


 そうして、鉄格子で区切られた空間に行き着き、多数の人影を認めると、クレスが慌てて走り出す。


「おお、貴方はクレス様……!」

「王女様だ! 王女様が助けに来て下さったぞ!」

「ああ、神よ……。感謝いたします……」


「待っていてください! 今この檻を開けます!」


 《救済の使徒》から奪った鍵でクレスがその牢を開けると、歓声が湧き起こる。

 中にはクレスに(ひざまず)き、感涙に(むせ)ぶ者もいた。


 クレスも、今までは気丈に振る舞っていた部分があったのだろう。

 自分の国で行方不明になっていた住人たちを見つけることができた安堵からなのか、涙を浮かべて再開を喜んでいる。


「ありがとうございます、王女様! 王女様が《救済の使徒》を討ち倒してくださったのですか?」

「いいえ。彼らがけしかけてきた機械獣は、あちらの方々が。最後はあそこにいる黒衣を纏った方がとどめを差してくださいました」

「おお、そうでしたか!」


 まったく、お人好しめ。

 自分も戦っていただろうに。


 まあ、しかし……。


 俺は凛とした態度で住人たちに話しかけているクレスを見て、あることを思う。


 ――民を想い、時には自身で行動し、そして成果に関しては自分よりも他者を立てる、か……。


 俺はクレスの様子に権力者としてのあるべき姿を見た気がして、思わず笑みが溢れるのを感じた。


 本当にまったくだ。

 クレスのような人間がヴァンダールの王家にもいてくれたら、少しは違ったのかもしれないな。


 詮無いことを考えていると、解放されたルーンガイアの住人たちが俺たちの方へと駆けてくる。


「皆様が私たちを救うために戦ってくださったと聞きました。本当に、本当にありがとうございます……」


 先程のクレス同様、大勢の人たちに頭を下げられる。

 メイアやテティは戸惑いながらも、皆を助けることができて良かったと、歓喜の表情を浮かべていた。


「あの、貴方がアデル様ですか?」

「え……? はい、そうですが」

「クレス王女から聞きました。隣国のヴァンダール王国を救い、今回の一件で私たちのルーンガイアにも協力してくださったと。本当に、何とお礼を言ったらいいか……」


 俺に話しかけてきた初老の男性は、ただひたすらに頭を下げていた。

 その辞儀はこちらが恐縮してしまうほどで、俺はその男性に声をかける。


「いえ。今回の件はクレス王女がいたからこそです。俺たちはその手助けをしただけのこと。皆さんが無事で何よりでした」


 言いながら、俺の頭にはある考えが巡っていた。


   ***


「なあ、クレス。お願いがあるんだが……」

「はい? 何でしょうか、アデルさん」


 救済の使徒に捕らえられていた住人を連れ、地下水道から皆で抜け出す道中。

 俺は前置きをした後、クレスに向けてあること(・・・・)を切り出すことにした――。



●読者の皆様へ


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