第65話 作戦会議と王族からの称賛
「やっぱり、アデルさんの見立て通りだったッス」
ゼイオス王を攻撃していた呪いの使い手が判明した後のこと。
皆が集まった卓の前で、フランが自身のジョブ能力で「調査」した結果を報告し始める。
「まずこれはハッキリさせておいた方がいいでしょう。あの女性は《救済の使徒》の構成員ッス」
「やはりそうか……」
フランの報告を受けて、ゼイオス王が顎髭をさすりながら頷く。
その隣に座っている王女クレスも同様だ。
《救済の使徒》――。
ルーンガイアの国内で多発している行方不明事件に絡んでいるのではないかと、クレスが予想していた組織の名前だった。
「とりあえずあの後、アデルさんと手分けしてルーンガイア王宮にいる人たちは全て調査してみたッス。その結果、他に怪しい人物はいないみたいだったんで、ひとまずは安心していいと思うッスが……」
「《救済の使徒》か……。一体何を目的にして動いている組織なのか知りたいところだがな。フラン、その辺はあの呪いの使い手から探れたか?」
「残念ながらそれはまだ判明してないッス。というか、あの女性の記憶は何かヘンなんッスよね」
「変……?」
「はいッス。言葉で表すのが難しいんですが、記憶の一部にプロテクトがかかってるというか。もう少し時間をかければ探れるかもしれないッスけどねぇ」
フランは、うーむと難しい顔をして腕組みをする。
フランのジョブ能力は対象の記憶の過去を探るというものだ。
呪いの使い手の女性は尋問をしても頑なに口は割らなかったのだが、フランのジョブ能力により断片的な情報を得ることができた。
しかし《救済の使徒》の目的が何かや、どこに根城を構えているかなど、重要な部分はまだ不明であり、情報屋のフランとしては釈然としないものがあるらしい。
今は呪いの使い手である女性を拘束し、その監視と尋問をクレスの従者であるハリムが続けている。
が、フランが話した以上の情報は出てきていないという現状だった。
「アデル殿、我から一つ申し上げたい――」
そんなへりくだった言葉と共にゼイオス王が立ち上がり、俺の方を向く。
「此度の件、一国の王として……いや、一人の人間として礼を言わせていただきたい。敵の奸計を見破るだけでなく、呪いから我を解放してくれたこと、深く感謝する」
「私からもお礼させていただきます。父を救っていただいて本当にありがとうございました」
ゼイオス王に続き、クレス王女にも頭を下げられた。
「いえ、大事に繋がる前に防げて何よりですよ。俺は俺にできることをしただけです」
「それでも、貴殿がいなければ我は命を落としていたかもしれぬ。殊勲を受けるには十分すぎるほどだ」
そう言ってゼイオス王は口の端を上げる。
何にせよ、すっかり復調した様子に俺は安堵していた。
「しかし、どうするかな。救済の使徒の情報がもう少し得られればこちらから打って出ることもできそうだが……」
「レイシャさんの時みたく、匂いなどでテティちゃんに探ってもらうというのは?」
「残念だけど、わたしの鼻でもあの呪いの使い手からは特別な匂いみたいなものは感じられなかった」
メイアの提案を受けてテティがフルフルと首を横に動かす。
――となると、当初の予定通り行方不明者が出ているというセンから探ってみるしかない、か……。
「《救済の使徒》が行方不明事件に絡んでいるとすれば、そっちから探るのが良いかもな」
「あの呪いの使い手についてはフランの方でもう少し探ってみるッス。時間をかければ何か分かるかもしれないッスからね」
「そうだな……。明日は街に出るとするか。行方不明者に関わりを持っていた人間もいるはずだし、聞き込みをしてみよう」
俺が提案すると、メイア、テティが揃って頷く。
「……私も何かお力になれたら良いのですが」
「クレスは王女様だろう? 街に出たりしたら騒ぎになるだろうし、仕方ないさ」
「そ、そうですね。皆さん、よろしくお願いします」
そうして、フランは引き続き呪いの使い手の女性の調査。俺とメイア、テティは城下町で聞き込みを行う方針を決めて解散することにする。
「…………よしっ」
各自が自室に戻る傍ら、クレスが何かを決意したように拳を握っているのが少しだけ気になった。






