もしかしたら異世界転生ってやつ?
初めに…。
はじめまして、みゅあむあと申します。
初投稿、初の異世界もの、そして初のオリジナル作品と初めてづくしなので、つたない文章ではありますが、よろしければ最後までよんでください!
人生ってのは案外、何も起こらずに終えるのだと思う。
俺がいい例だ。
会社のビルの屋上から落ちていく中、頭の中は案外空っぽだった。最後に見えたのは夕焼けに染まる前の、オレンジがかった空の色で……。碧宇海来、28歳♂の人生は存外つまらないまま終わりを迎えた。
微睡みの中、ぼんやりと映る視界。音が遠く、だが周りが騒がしいことだけは理解できる。
「_____!!!!」
ガバっと身体を起こすと辺りは見たことない風景だった。
「ここ…どこだよ」
「いいからどくのよ。死にたいのかしら?」
聞こえる声に驚き周りを見渡すと、どうやら自分は道路のど真ん中にいるようだった。…冗談抜きで死ぬじゃねぇか。
慌てて立ち上がって、ひとまずその場から立ち去った。
「無視なんて最低なのよ。もっと有り難みをもつかしら」
さっきから声が聞こえるたびに、周りがチカチカするのはなんなんだ鬱陶しい。
「ッッ!!お前ほんとに失礼かしら!!」
ピカッ!と辺りが眩しくなり、思わず目をつむる。次の瞬間身体が浮くような感覚に襲われた。
「…ふぅ。目を開けるかしら」
「なんなんだよ…一体…は??」
呆けた声が出るのも無理はないだろう。さっきまでの風景とは全く違う場所に自分はいたのだから…何故か金髪碧眼の世間離れした風貌の女の子と共に。
「なに生まれてはじめて見たような顔してるのよ。つい最近も飛ばしてやったかしら」
いや、生まれてはじめてあなたを見ましたけど。そして初めての体験でしたけど。
「…お前、ほんとに頭おかしくなったらしいのよ。大丈夫かしら?」
目の前の金髪碧眼の女の子は、不思議そうに俺を見る。不思議なのはこっちなんだよ。え、なに??俺死んだんじゃないの?ビルから落ちたよね、俺。なんでこんな訳もわからない場所で、訳もわからない子と会話してるんだ?
「…俺は君の知り合いじゃない。勘違いだ」
とりあえず訂正しておこうと、目線を合わせるためにしゃがみ込み、そう伝える。しかし
「ッッ!!リウがお前を間違えるわけないかしら!いい加減にするのよ!!」
少女は怒りで顔を真っ赤にして、俺を睨む。…いや、ほんとに人違いなんだよな…。
「人違い…なんて…ッ!するわけ…、ないのよ!!」
「…ちょ、おいおい…。泣くなよ」
「うるさいのよ!泣いて…、泣いてないかしら!」
目からボロボロと涙を溢しながらも、少女__リウは俺を睨み続ける。どうしたものかと天を仰ぎ、ヤケクソ気味に頭を撫でた。
「…ッおまえ…」
「…俺は君の知り合いじゃないから。泣き止んだら、色々聞かせてくれよ」
「泣いてないのよ…」
「…はいはい」
リウはぶつぶつと呟きながらも、大人しく俺に頭を撫でられ続けていた。
【一章】
招かれた者
それから数分。落ち着きを戻したリウは赤く染まった目をぐしぐしと袖で拭き、俺を見る。
「…リウ、なのよ」
「…え?」
「名前かしら。リウと、そういうのよ」
「…そうか。俺は碧宇海来だ」
リウは俺の名前を聞くと、また怒った顔に戻った。
「やっぱりお前、ミクルであってるかしら!」
むきゃー!と怒り出すリウ。…なんだこいつ、かわいいないじりがいがあって。
「いやでも、俺ははじめましてだよ。リウ」
「…どういうことなのよ」
それは俺が一番聞きたい。
だって俺、ビルから落ちて死んだはずなんだ。なのに次に目を開けたら全く知らない(以下省略)…
リウと一緒に頭を悩ませて、それでも全く答えはでてこない。…当然だろうが打開策もしかり、だ。
「…リウの知ってるミクルってのは、どんなやつなんだ?」
「…ミクルは、リウの契約者かしら」
…契約者??
「…そこからなのよ…?説明するかしら」
リウが話した内容はこうだ。
曰く、この世界は混沌のさなかである。
曰く、世界には人間の他、精霊、獣人が存在する。
曰く、精霊と契約したものを精霊術師と呼ぶ。
曰く、契約はどちらかが死ぬまで途切れることはない。
「つまり、リウとミクルは精霊と精霊術師の関係なのよ」
「…それで間違うわけがない、か」
「そういうことかしら」
契約なんてした相手を間違うわけがないから、あれだけ憤慨していたと説明されれば納得するしかない。
だが、俺はあくまで碧宇海来であって、リウの言う精霊術師のミクルではない。…それは説明したからリウも理解したとは思うが。
「…ミクルと同じ容姿、契約した相手をリウが間違うわけないかしら。だからお前はミクルなのよ」
「…って言われてもなぁ」
俺にはビルから落ちて死んだっていう記憶があり、その精霊術師としての記憶は一切ない。
「…ミクルがいないなら、リウはこれからどうしたらいいのかわからないのよ」
ぼそっと呟かれた言葉は、本心なのだろう。リウは少しだけ震えて、また泣きそう顔に逆戻りをしそうだった。
「…リウ」
声をかけて、目線を改めて合わせる。どっちにしろ、俺もこの状況を打開するためには動かなきゃならないのは事実だ。それに、この子をほうっておくわけにも行かない。
「…俺は碧宇海来だ。お前の契約者のミクルじゃあない」
「わかってるかしら…」
「…だけど、それでもいいなら一緒にいてくれないか」
そう言うとリウは俺を驚いたような顔で見る。…まぁ、あれだけ否定していたらそうなるか。
「…いいのかしら?」
「いいんだよ。ただし!俺は28歳独身のおっさんだ。きたいはするなよ?」
「……何言ってるのよ?ミクルは18歳かしら」
「……歳まで違うのかよ!!??」
ESN大賞4
いかがでしたか?
まだ作品の展開はしていませんが、これから徐々に展開させていく予定です。
よろしければ、コメントなどもらえるとありがたいです…!!
これからもよろしくおねがいします