【フリーシナリオ】コラボ相手のファンを横取りするヤンデレ配信者
(肩を叩く音)
起きて、ねぇ、起きてってば〜。
あっ、やっと起きてくれた〜。
ここがどこかって?
ここは私の……ううん、私と君の愛の部屋。昨日君が寝ている間にこっそり連れてきちゃった。
君は誰かって?
もう、分かってるくせに〜。
あっ、そっか。君は(推し)ちゃんのことしか見てないから私のことなんて覚えてないか〜。じゃあ、自己紹介するね。
(自己紹介)
あはっ、やっと思い出してくれた〜。目をまん丸くして驚いている君の顔も可愛いな〜。
そう、私は4ヶ月前に君が推してるVTuberの(推し)ちゃんとコラボしたあのVTuber。
うん、そうだよ。あのツイッターでやった(推し)ちゃんとの共同プレゼント企画。私の方で当選したのは君だったよね。
そして、その時にプレゼントを贈るためにDMに住所送ってもらったの。うん……
悪用しちゃった〜。
そう、当選したのも偶然じゃないよ。そもそもあのプレゼント企画事態、簡単で合法的に君の住所を特定するためのものだったんだから。
けど、君のお家って地方でかなりの田舎だから結構迷っちゃった。本当だったらもっと早く君に会うつもりだったんだけどね。でも、君の家に着いた頃にはすっかり夜になっちゃった。
あっ、でもその方がよかったのかな? 実はね、君を連れてくるときに抵抗されたら嫌だったから、ほらスタンガンもちゃんと用意してたんだよ。だけど、君を傷つけたくないし、苦しむところなんて見たくなかったから本当は使いたくなかったんだ。
それにしても嬉しかったな。君の部屋に入ったとき本棚のしかも真ん中の段に私と(推し)ちゃんのコラボアクリルタペストリーを飾ってくれてたでしょ? それを見て本当に心臓が飛び出しそうになった。
君にとっては(推し)ちゃんとコラボしたってだけの印象しかないのかもしれない。でも、それでも部屋の一番目立つ場所に私のタペストリーを飾って、それを毎日見てくれてたのかと思うと嬉しくて涙が出そうになったの。この気持ち分かる?
えっ? 何で私が君のことを好きかって?
そっか、まだ話したことなかったね。
実はね、私。VTuberとして活動する前から君のこと知ってたんだ。と、言うか活動を始める前から(推し)ちゃんのファンだったから同時に君のことを知ってたんだ。
正直、最初の頃は君のことなんて何の興味も無かった。たまに面白いコメントをするけど……まぁ、それだけ。それ以外は特に何も無くて、私にとってはどうでもいい存在だったの。
でも、君は他のファンとは違った。
(推し)ちゃんの動画やツイートには必ずコメントして、ほとんど全ての配信に必ず来てたよね。それに(推し)ちゃんを盛り上げるためにファンアートもたくさん投稿して、(推し)ちゃんの配信アーカイブを見やすくするためにタイムスタンプを書いて纏めてた。どんなに長い配信でも次の日にはコメント欄に君のタイムスタンプが書いてあって本当にすごいと思ったの。
直接お礼を言ったことはなかったけど本当に君には感謝してたんだよ。
えっ? それで(推し)ちゃんが惚れるのは分かるけど、私が惚れる理由にはならないって?
そんなことないよ〜。
だって、君ががんばってる姿は皆も分かってるから、皆口には出さないだけで本当は君に一目置いてるんだよ。
ねぇ、私のこと好き?
そうだよね。(推し)ちゃんが好きな君は彼女以外を好きって言えないよね。
そういう一途なところも好き。
私ね、思ったんだ。君のその一途な愛情を私の物にしたらどうなるんだろう? って……。
君が向ける一途な愛情を私の物にしたらきっとすごく気持ちいいだろうなって。
だから、私は君を攫ったの。
えっ、何?
私が好きなのは君じゃなくて、自分のことを愛してくれる人だろって……。
そんなことないよ。何でそんな酷いこと言うの?
私は君が好き! だって、君のことを考えるだけで心臓がドキドキして、君のことを見詰めるだけで全身が熱くなっちゃうんだよ!
それなのに君は私の気持ちを否定するの?
顔だって今日見たばっかりなのにそれで好きだって判断できるのかって?
君だって(推し)ちゃんの顔を見たことないでしょ? それでも君はあれだけ一途になれるんだよ。そんな君が私の気持ちを否定しないでよ!
私は君のことが好き。
分かってる? 君は(推し)ちゃんのことが好きだから私のことは好きになってくれないかもしれない。
でも、私頑張るよ。すっごく頑張る。
君が望むなら何だってしてあげる。
君の好きな耳かきだってしてあげる。君がちゃんと気持ちよくなれるように練習して、君のためだけに心を込めて耳かきしてあげる。
(推し)ちゃんは君だけじゃない多くのリスナーのために耳かきやってるけど私は君だけ。君だけのために耳かきしてあげることができるんだよ。
君がやめて欲しいならVTuberだってやめる。だって、君がいれば他に何もいらないもん。
家事や料理だって完璧に熟すし、顔だってほら私これでも可愛い方でしょ?
それに君が望むならどんなことでもしてあげる。本当にどんなことでも――。
それでも嫌? 私じゃなくて(推し)ちゃんを選ぶの?
そっか……。うん、君の気持ちは分かった。
じゃあ、拘束を解いてって?
嫌だよ。君の気持ちは分かったって言ったけど拘束を解くとは言ってないも〜ん。
君が(推し)ちゃんを好きなのは分かったわ。そういう君を好きになっちゃったわけだから仕方ないと思ってる。
だからね、ゆっくりでいいよ。
ゆっくりでいいから(推し)ちゃんのこと忘れようね。
私もちゃんと協力するから。
(耳に息を吹きかける)
どう? 気持ちいいでしょ?
耳フーは(推し)ちゃんもしてくれるとは思うけど、あれはあくまでも音声。でも、私のは実際に耳の中に息を吹きかけることがてきるんだよ。
それに耳かきだって、(推し)ちゃんのは音を聞くだけ、だけど私なら実際に耳かき棒を使って耳を綺麗にすることだって出来るの。
まぁ、君が暴れて怪我してら嫌だから今はしてあげられないけどね。でも、君が大人しくしてくれたら耳かきだってしてあげる。
そうだ、朝ご飯まだだったよね。
私ね料理得意なんだ。ほら、この料理だって私が作ったんだよ。お腹すいたでしょ?
うん、君のツイッターを見てちゃんと好きな食べ物、嫌いな食べ物を調べたんだよ。まぁ、君は(推し)ちゃん関連以外のツイートはあまりしないけど、質問箱にはちゃんと答えててくれるから調べるの事態は簡単だったよ。
じゃあ、あの質問も私がしたのかって?
うん、と言うか。ここ最近、君が答えた質問のほとんどは私のやつだよ。
じゃあ、冷めちゃう前にご飯食べましょ。手錠で繋がれてて食べられないと思うから私が食べさせてあげるね。
はい、あ〜ん。
おいしい? そっか良かった〜。
君のために丹精込めて作ったんだよ。私っていいお嫁さんになれると思わない?
私ね。小さい頃に両親が離婚して、お母さんが他の男の人と再婚して、それからしばらくは3人で幸せに暮らしてたの。でも、2人の間に子供が生まれちゃってね。それで、私のことはどうでもよくなっちゃったみたいで、それからは妹ばっかり溺愛するようになっちゃった。
あいにく虐待されるようなことは無かったけど、それからはご飯も、洗濯も、掃除も全部、ぜぇ〜んぶ自分でしないといけなくなったから…。だから、それなりに料理とか家事とか一通りのことは出来るよ。
そして、高校を卒業してあの家を出て一人暮らしをして、それからバイトと仕事で溜めた貯金を使ってVTuberを始めて、そして君と出会ったの。
あの家で家事をやってたときは「なんでこんなこと」って思ったけど、あれはきっと神様が花嫁修行の機会を与えてくれていたんだと思うんだ〜。
あぁ、安心して。あの家で家事をしていたのは嫌だったけど、君のお世話をするのは嫌じゃないよ。……むしろ、喜んでしてあげる。
って、こんな暗い話は嫌だよね。
でも、君。前にあの(推し)ちゃんの動画のコメントで「こういう不幸そうな子を幸せにしてあげたい」って言ってたからこんな話も嫌いじゃないのかな? むしろ、私のこと幸せにしたくなっちゃったかな〜?
なんて、ふふふ〜。
気を取り直して明るい話しよっか。
それじゃあ、デートはどこに行きたい?
うん、デート。私は君とならどこでも楽しいと思うけど、だから、君の行きたいところに行きたいな。
君のツイッターの質問箱にも好きなシチュエーションや、行きたいデートスポットの質問をしていたんだけど。
君はいっつも「デートしたことないから分からない」とか、そんな返答ばっかりでまともに質問に答えてくれたことなかったもん。
まぁ、でも嬉しいこともあったかな。
だって、君。デートしたことも、女の人と付き合ったこともないんでしょ? だったらこれから君と一緒にする色んなことはほとんどが初めての体験ってことでしょ? 君の色んな初めてをもらうことができるんだ〜。
じゃあ、ん〜〜(キス音)
女の子とキスするのも始めてだよね?
やった。じゃあ、君の初めてのキスもらっちゃった。
あっでも、他の人は君にキスできないから、君にキスできるのは私だけなんだね。君の唇を独り占め。すっごくいい響きだな〜。
あぁでも、キスだけじゃないんだね。
君にご飯を作ってあげるのも。君の手を握ったり、抱きついたり、頬擦りしたり。君と添い寝したり、一緒にお風呂に入ったり、君の恥ずかしいところを見られるのは私だけ……。
これからの君の人生を私が独り占めできる。
あ〜、そう考えるとこれからの君との生活が楽しみだよ〜。
これからよろしくね。私の彼氏さん。