表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/231

第056話 キラーエイプの森

前回のあらすじ


最初に会ったモンスターは、おさるさん。

「えい!、えい!」

「ラドル、無駄に撃つな! ミリナを中心に据えて陣形を整える。一定距離を保て」

「了解」

凶暴猿(キラーエイプ)は、鋭い歯と爪が武器だ。接近戦はするな。一個体ならEランクで対処できるが、こうやって集団で襲って来るとDランクレベルだから、油断するな」


 キャフの指示で、4人はミリナを囲んだ形に位置する。各自<通魔石(コミュ・ストーン)>を腕に携帯しているから、ミリナの指示が瞬時に伝わる。


『フィカさん、右から二匹来ます!』

『分かった』


『皇子、左に隠れている一匹に気をつけて』

『ありがとう』


『ラドル、正面から来る!』

『はいニャ!』


 シドム達とやっていたように、ミリナの索敵能力はかなり優秀であった。これなら、集団で襲って来る凶暴猿(キラーエイプ)でも相手にできる。攻撃対象を的確に捉えれば、ラドルのファイアボールやキャフの弓も十分なダメージを与えられた。同属(モンスター)相手にムナ皇子(アースドラゴン)はどうするかと思ったが、別に何の感情も持たずに攻撃している。そこは割り切っているようだ。


 凶暴猿(キラーエイプ)達は次々と倒され、やがて敵わないと悟ったのか、叫び声を上げながら森の奥へと逃げて行った。最初の戦闘は快勝だ。


「やったようだな」

「魔法石、一杯あるニャ!」

「ミリナ、遺体の場所も確認頼む」

「はい」


 新たなモンスターが来ない事を確認しながら、遺体から魔法石回収に励んだ。遠隔攻撃で倒したから、木々を乗り越えたり草叢に隠れてしまったりと、なかなか時間がかかる。


「猿の肉は、あまり美味しくないんだよな。取引もされてない。キャフ、脳みそ持って行くか?」

「うーん。かさばるし、今回は止めておこう」

「分かった」


 回収用の荷物袋に、赤紫の魔法石を入れた。十数体分ある。これなら三十ガルテくらいになるだろう。この辺りが凶暴猿(キラーエイプ)の出現領域であるなら、ここに何日か通って魔法石を貯めることでラドルやキャフは1ランクアップできそうだ。序盤はこういう狩り場の確保が必要なので、候補の一つとして良いかも知れない。


「終わったが、今からどうする?」

「とりあえず、この地域の地図を作るか。ミリナ、頼む」

「分かりました」


 ミリナが通魔石(コミュ・ストーン)の砂を風に乗せ、周りに拡散させた。森だから木々が多いが、それなりに地形の把握は出来るようだ。特に気になるダンジョンやポイントも無い。だから他の冒険者も来ていないのかも知れない。


「今日はここまでにしよう。明日もここに来るか」

「ラジャーですニャ!」


 意気揚々とギルドへと戻るラドル達であった。二階の鑑定所で魔法石を鑑定してもらい、予想通り三十ガルテを得る。今回得た経験値の割り振りはリーダーの役割だが、皆の同意を得て、ラドルとキャフを2、他は1の比率にした。



 このようにして数日、凶暴猿(キラーエイプ)の森へ赴き、経験値と魔法石を貯めて行く。順調だ。もう少し貯めて、他の場所へ行こうか。そう考えていたある日。馴れたやり方で攻撃していたが、突然、凶暴猿(キラーエイプ)達が慌てふためいた叫び声を上げながら去って行った。いつもと様子が違う。


「何だ?」


 ドシーン、ドシーン、バキバキバキ!!


 凶暴猿(キラーエイプ)より二回り以上大きいそれは、凶暴猿人(キラーコング)であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ