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第051話 美少年の家

前回のあらすじ


主人公はオレ!

「じゃあ、そろそろ行くぞ。お前らも、冒険用の服ちゃんと着ておけ」

「分かったニャ。でも、この荷物は持って行くの?」

「うーん…… 今はまだ置いておくか」


 この少年を家に連れて帰れば、用件は終わりだ。

 キャフ自身は狙われていないから、あくまでこいつの問題である。

 後は、こいつの親が何とかするだろう。


 モンスター生息域(ハビタブル・ゾーン)に行かねばならないが、急ぐ必要は無い。

 これから野宿の必要も出てくるし、モドナに来たばかりだし、未だホテルでのんびりしたい。


 着替え終わると、5人はホテルを出た。冒険者ギルドはここから少し離れているので、この格好は少々目立つ。だがこれくらい目立った方が、逆に襲われる心配が少ないはずだ。


 少年の言うがままに歩いて行くものの周辺の地理に疎いらしく、何度も迷った。街の路は複雑で自ら此処に来た訳でもないから、当然だろう。


「駄目ですね。見渡したいから、あの丘の上に行きませんか?」

「分かった」

「歩くのってこんなに大変なんですね。感動です」


 美少年1人、不思議な理由で感極まっている。だがキャフは早く追い出したいので、さっさと歩く。ミリナとラドルは観光がてら、のんびりと歩いていた。フィカだけは、辺りを隈無く注視しながら用心深くしている。


 何だかんだで、街を一望できる丘の公園に到着した。海も遠くまで見渡せ気分も晴れやかになる。キャフは背伸びして、海の向こうにある入道雲を眺めた。この子が居なければ此処でのんびり過ごすのも良さそうだ。


「あ、ありました。僕の家です」


 美少年が指差す先は、森に囲われた敷地であった。中の建物は全く見えない。


「あれは、もしかして……」


 フィカは何かに気付いたようだ。


「何だ?」

「おそらく、『モドナ御用邸』だ。つまり、王族の別荘だ」

「へ? と言う事は……」

「分かってしまいましたか。はい、僕はアルジェオン王族の第四皇子、ムナです」


 ……


「ひえ〜 す、すいませんでした!」

「はニャ! ご無礼を」

「そうだったのか」

「マジかよ!」


 急な話で間があいて、4人は美少年の正体を知り、驚愕の声をあげた。


 特にラドルとミリナは、まるで水戸黄門の印籠を見た時のようにひれ伏している。さっき気軽にボディタッチしてたのが、ヤバいと思ったのだろう。不敬罪は下手すると死刑だ。


「まあ、良いですよ。それより皆さんも、僕の家に来て下さい」


 そう言うとムナ皇子は、御用邸の方に向かって歩いて行く。行きがかり上、4人も一緒に付いて行った。


(第四皇子ということは、あいつの弟か)


 キャフは、忌々しい第三皇子リルの顔を思い出していた。それほど似てはいない。顔付や目付きからして、ムナ皇子の方が素直な性格だ。表情や言葉に嫌味が無い。その違いがどこから来るのかは不明だが、王室内でも色々あるのかも知れない。


 立派な門を護る門番に、ムナ皇子が近づいて何か喋った。すると「ムナ皇子様、よくぞご無事で!」と門番は感極まって大きな声を出し、大きな門を開けた。


「じゃあ、一緒に」

「良いのか?」

「ええ。執事には説明しますよ」


 そう言われたら、断る理由は無い。ムナ皇子を先頭に4人も続く。


 中に入ると風情ある庭園や池が広がり、その先には平屋の豪邸があった。

 玄関には、先ほどの声を聞きつけ、既に家臣と思しき人達が集まっている。


「ムナ様! お帰りなさい!」

「お出迎え、ありがとう。この人達が助けてくれたのです。一緒に夕食をしたいのですけれど、良いですか?」

「もちろん、喜んで。皇子をお護り下さり、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます」


 執事らしき老人は4人に感謝の言葉を述べると、メイド達に指示を与え、何事かの準備が始まった。4人は部屋に通され、しばらく待機する。そこも普通の家のリビングをゆうに越えた広さで、ラドルは壁にかけられた絵や棚にある彫刻品をまじまじと見ていた。床に敷き詰められた絨毯も含めどの調度品も高級品だ。キャフの家より、遥かに格式が高い。


「僕は一度部屋に戻ります。皆さんはここで待ってて下さい。あ、キャフ君は一緒に来てもらえますか?」

「オレ?」


 キャフは意外な指名に驚いたが、大人しく付いて行った。ここで大人げなく断っても意味は無い。もしかすると今後何かも役に立つかも知れない。どうせ会うのは今日で終わりだ。多少打算的ではあったが、素直に付いて行く。部屋を出るときラドルとミリナの激しい視線があったようにも思うが、気のせいだろう。


 皇子の部屋は、奥まった所の一画にあった。


「ふう〜」


 皇子は全てから開放されたようにベッドに倒れ込んで、気持ちよく背伸びした。そのベッドも天蓋付きのゴージャスな代物で、違和感無く部屋にあるのが癪に障る。


「いや〜、今回は助かりました」

「当然の事をしたまでだ」


 キャフはそっけなく言う。


「相変わらずなんですね」


 皇子は、昔を懐かしむように笑っていた。


「オレ、お前とどっかで会った事あるか?」


 恐らく魔法関係のイベントだろうが、思い出せないから直球で聞くしか無い。


「まだ分からないんですか?」

「ああ。魔法協会がらみかと思ったが」

「リル兄さんは関係ないですよ」

「? じゃあ、どこで知り合った?」

「僕、アースドラゴンの転生者なんです」


……


……は?


「だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「は、」


何だ? こいつは何を?


「は、」


一体何なんだ?


「はぁああああ???」


「だから、あなたが倒したドラゴンの、生れ変わりですよ。キャフ君」


「な、何だってぇええええ!!!」

ラドルだニャ〜♡

みんな、読んでくれてありがとニャ。作者も大喜びニャ!!

ちなみに美少年の正体が分かってた良い子は、いるかニャ?

第13話にちらっと伏線があるニャよ。


じゃあ、これからもよろしくニャ〜!!

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