第024話 第三層 その壱
前回のあらすじ
膝枕とおっぱい良かったな〜
死にかけたけど。
「なぜだ?」
「来れば分かるって」
言われるがまま、キャフ達も下りて行った。
すると、階段から下りると直ぐに四方に扉が打ち立てられている。
確かにこれでは、マッピングができない。
「どうする?」
「どうも、こっちの部屋がメインみたいなんだ」
キンタが指差した先にある扉だけは、鍵穴が三つある。
他の扉には鍵穴すらない。
「多分、他の三つの部屋から、鍵を取り出せるんだと思う」
「他の部屋は開くのか?」
「さっき軽く引いたら、手応えあったんだ。多分開くよ」
「で、問題は、どの部屋にも何かいそう、なのよね」
確認する為、キャフら3人は扉に耳をつけ、内部の様子を調べた。二つの部屋は、時々ノソノソ、ドシンドシンと歩く音がする。二本足のようだ。一方もう一つの部屋は、殆ど物音がしない。中に何かいるのか、分かりづらい。
「どこから攻めます?」
「どうすっかな」 キャフも悩んだ。
「じゃ、これにしよ!」
アーネがおもむろに音のしない部屋をガバッと開け、入って行った。
3人も、後に続く。
そこに居たのは、一匹の大きなトカゲ型モンスターであった。
全長10m、背も一番高いキャフより少し小さいぐらい。
部屋はかなり広く、獣の臭いが充満している。
「キャー!!」
アーネは慌てて逃げ、扉を閉めてしまった。
取り残されたのは、キャフら3人だ。
「おい、待て!」
キャフも焦って扉を開けようとするが、全然開かない。
「マジか? これ。内側からロックされんのか?」
ガチャガチャやっても全然動かない。絶望的だ。
必死にドンドンと叩く。
「おいお前ら、開けろ!」
「すいません〜 わたしトカゲ嫌いで…… よろしくお願いします♡」
「ふざけんな!」
キャフはキレて扉を蹴っ飛ばしたが、大きな音がしただけでびくともしない。逆にこの音でモンスターは目が覚めたらしく、こちらを見て警戒し始めた。
「ヤベえな……」
大きさから、レベルはやや高い。手こずりそうだ。
何より、武器を持ってないキャフ自身が危ない。
これでスピードが速かったら、襲われて食いちぎられる。
「ここは2人でやるよ。あんたも体はって頑張ってるからな」
フィカは冷静に剣を構えた。ラドルも魔法杖をオンにする。
「頼む。ラドル、火は使うな」
「はいニャ!」
シャーーーー!!!
リザードが飛びかかって来る。
フィカの剣で斬りつけるが、鱗が固いのか傷は付かない。
「《アイスボール》!」
思ったより俊敏な動きで、ラドルの魔法も当たらない。
リザードの攻撃をフィカの剣で防ぎつつ、一進一退の攻防が続く。
(まずいな……)
形勢はよろしくない。何かのきっかけで2人が負傷したら終わりだ。
「ラドル、熊のときみたいに、冷気で包め!」
「わかったニャ!」
ラドルの魔法ステッキから、冷たい空気が流れ始める。リザードの動きは素早いので直撃は出来ないが、部屋の温度も低下していった。
「ブルブル…… 猫は寒いの苦手だニャ〜」
「我慢しろ!」
変温動物だからリザードの方が不利なはずだが、実際にどちらの動きが鈍るかは我慢比べだ。しばらくフィカが奮闘して相手の攻撃を封じていると、やがてリザードが突撃しなくなり、動きが鈍っていった。
うまくいった。
グサ!
グエェエエーー!!
うろこの薄い足の付け根を狙い、動けなくする。のたうち回るリザードに、更なるフィカの刃が襲いかかる。何度も突き刺し、やがてリザードはぐったりして動かなくなった。血糊を布で拭いて鞘に剣をおさめるフィカだが、剣は全く刃こぼれしていない。
「ふう〜 終わったか」
「やったニャ? ぶるぶる」
まだ部屋は寒いものの、3人で目的の鍵を探し始めた。だが隈無く調べたにも関わらず、それらしい物はどこにも無い。3人は焦り始めた。
「もしかして……」
フィカが再び剣を取り出し、死んだリザードを仰向けして剣で刺してみる。すると変な感触を見つけたようで、腹に剣を突き刺し、内蔵をひらいた。するとそこには鍵と魔法石があった。
「良かったニャ〜」
「おい、倒したぞ!」
キャフの声に反応して、扉が開く。ミリナだけ大変申し訳無さそうな顔をしていたが、残り3人は鍵と魔法石を見て無邪気に喜んでいた。
「やった! おっさんすげー!!」
「いや、この2人のおかげだ」
「じゃあ、次どれいっちゃう?」
現金なもんだが、先に進まねばならない。
一行はどちらにするか、悩んだ。