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第214話 鬼武将軍ジクリード

前回のあらすじ


うわっ、何かヤバいの来た!

「飛ぶって面白えな。あれに乗って以来ハマっちまったよ」


 以前は空を怖がっていたジクリードだが、克服したらしい。

 モドナで会って以来だ。相変わらずの巨躯に5人は圧倒される。


 彼の装備は、幅の広い刀身の剣と盾。今回は《竜の斧》ではなく、常人なら両腕で使うほどに大きな剣を右手一本で軽々と扱っている。加えて背中に何かを背負っていた。


「さあて、と。あんたら強くなったそうじゃねえか」

「どうかな。それよりあんた、部下達はいねえのか?」

「ああ、足手まといになるからな。ソロで闘う方がやり易い」

「オレ達にとっても、やり易そうだな」

「どうかな」


 にやりと笑うその顔は、自信に満ち溢れている。キャフの挑発にも全く乗らない。元々独りでやる気だったのだろう。闘い自体が目的の狂戦士(バーサーカー)だ。


 狭かったカタコンベでの限定された攻撃が本来の実力とは思えない。ただ図体がデカいだけあって、あの時も今も動きはやや鈍い。セオリー通り5人の的を絞らせないようにして、飛び道具でダメージを与え続けるのが無難と判断する。


「良いのか? こっちは5人もいるんだぜ?」

「心配してくれるのかい? ありがとよ!」


 ジクリードはキャフ目掛け踏み込んで、剣を振りかざす。

 だがキャフも瞬時に防御魔法(バリア)をかけ、封じる。


 更にキャフが電撃剣(サンダーソード)で応戦するものの、ジクリードは盾で魔法攻撃を防ぎ、一歩後退した。どうも彼が手にする盾は、対魔法用の防御みたいだ。吸い込まれるように魔法が吸収される。


 その間に4人は散開して、各自攻撃を繰り出す。だがジクリードの速い剣捌きの方が一枚上手で、5人は彼の剣技を避けるだけで精一杯だった。

 

(うわっ、やっぱり凄えな)


 攻撃が始まると、予想外にスピードがあった。この空間では思いっきり暴れられるのだろう。歴戦の猛者だけありこれぐらいは造作もないのか、やはり強い。


 隙を見てキアナが銃を撃ち、バァアアーーーン!! と派手な音を出す。

 だが放たれた銃弾は剣に跳ね返され、全くダメージを与えなかった。


「危ねえ武器持ってるな。だがな、新大陸にはこんなのもあるんだぜ!!」


 ジクリードは背中に背負っていた物を、剣に取り付ける。

 すると剣は魔法のような光を放ち始めた。


「ヤバイぞ! 離れろ!」


 キャフは危険を察知し、指示する。だがジクリードの攻撃は素早かった。


「うぉりゃぁあああ!!!!!」


 ジクリードが一振りすると、剣から、無数の光が銃弾のように撃ち放たれる。


「うわっ! 防御(バリア)!!」


 キャフとミリナが、防御(バリア)をかける。

 だが防御範囲から外れていたフィカが、直撃を受けて倒れ込んだ。


「きゃぁああ!!」

「フィカ姉さん!!」

「姐さん!!」


 攻撃が止んだ時、フィカは地面に這いつくばったまま動けなかった。血がどくどくと流れ地面が赤く染まっている。ミリナが回復魔法をかけるために、慌ててフィカの元に駆け寄った。するとジクリードは、ミリナ目掛けて剣を振りかざし、物理的な攻撃を見舞わせようとする。ミリナの運動能力は劣るから、ジクリードの剣の餌食となりかけた。


電撃剣(サンダーソード)!!」


 幸い、キャフの繰り出した魔法が一瞬早くジクリードの攻撃を防ぎ、ミリナ達を守る。ジクリードをこれ以上寄せ付けないように、キアナとラドルも援護した。その間ミリナの献身によってフィカはダメージを回復しつつあった。止血され、フィカの意識が戻ったようだ。だが予想以上に魔素を消費しているらしく、ミリナの顔色も良くない。


「こんなもんなのか? 思ったほどじゃねえな」


 ジクリードには未だ余裕があるようだ。

 繰り出す攻撃のスピードも、全く衰えない。


「所詮は女だな、良い剣を持ってるのに、宝の持ち腐れだ。俺にくれよ」

「フィカ姉さんを侮辱するニャ!!!」


 ラドルがファイアボールを繰り出すが、あっけなく盾で防がれる。キアナやキャフの攻撃も簡単にかわされた。あの盾は、対魔法攻撃にかなり有効らしい。


「お前らも、早く雌奴隷になって主人に使えた方が楽だぞ? 俺のところに来るか? まだ13人しかいないから、全員面倒みてやるぞ? そこのおっさんはマグロ漁船にでも乗せてやるさ」


 ニヤつく鬼武将軍に、意識の戻ったフィカは怒りで震えていた。

 他の3人も、女性蔑視の言葉と態度にムカついている。


「くそっ、ここは私がやる!!」

「え、ダメです、フィカさん! まだ回復途中です!」


 フィカはミリナの忠告を聞かずに立ち上がり、ジグリードへ突進した。


(フィカ姉さん……それって、あれかニャ?)

(ヤバいっすよ、姐さん!)

(フィカさん、待って!)


 3人は、フィカの言葉と態度に、死亡フラグを予感する。

 酔っ払った時の記憶は忘れたいだけで、本当に忘れる訳ではない。

 あの話は、4人の頭の片隅に残っていた。


「死なせませんニャ!!」


 ラドルはフィカを守るため、ファイアボールを撃ちまくる。


「姐さん、手伝います!」


 キアナもジグリードの気を削ぐために、援護射撃をする。


「大地よ、我にその力を与えたまえ! 地震(アースクェーク)!」


 ミリナも精一杯の魔法を放ち、ジグリートの足下で地震が起こる。

 流石に不安定になり、ジクリードもイライラし始めた。


 そこにフィカが突撃して飛びかかった時、彼女の持つ剣が青い輝きを放ち始めた。


「な、何だ?」


 ジクリードは予期せぬ現象に、面食らう。


「ありゃ、デュダリオーンのおかげかもな。サムエルさんの剣もアースドラゴンを切り裂いたとき、あんな光を放っていたんだ」


 キャフが解説者のように解説する中、フィカの持つ剣は青く大きな炎となってジグリードに向けて渾身の力で振りかざす。ジクリードは盾で防ぐがフィカの剣はそれ以上の威力で盾にはヒビが入り、真っ二つに割れた。


 ジクリードも5人も、フィカの剣の威力に驚いた。


「くそっ!!」


 ここに来てジグリートも思い通りにいかず、余裕が無くなってきたようだ。

 剣を振るスピードも、当初より落ちてきている。形勢逆転だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フィカさぁぁあああん!!!!!! [一言] (どれだけ、フィカさんが好きなのか……) ピンチと女の子達の連携にはらはらしました。安定のキャフ師に癒されます。バトル! ちょうど、すんなりと入…
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