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運命
少女は涙を流しながら、僕をじっと見つめる。
すると、僕の胸に顔を埋めた。
僕は焦った。
ものすごく焦った。
だって僕の音が聞こえてしまう。
でも、その少女の小さな頭は、僅かに熱を持ち、心地よかった。
肌が吸い付くようで、いつまでもそうしていたかった。
少女の小さな手が僕の服にシワをつくる。
僕の服は少し冷たくなった。
でも悪くなかった。
男が女の子に胸を貸せたんだ!
それはもう男の勲章だね。
今度は僕が、暖かい手を少女の頭に置いた。
君が泣いているとね、僕は悲しいんだ。
なんでかな。
少女は僕の胸に頭を預けたまま、静かに口を開いた。
「あなたが泣いているのを見たら、でできたの」
君は僕を想って涙を流してくれるんだね。
今でも覚えているんだ、このときのことをさ。
このとき思ったことも、全部。
嬉しかった。
悲しかった。
僕はより一層涙を流した。