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壊せ、殺せ、快楽を、この手に  作者: あいでんてぃてぃ
4/5

運命

僕は自分で自分の正気を疑った。

神であるこの僕が、()()()()少女に向かって、僕を殺せと言ったんだ。 

少女は少しだけ目を見開き、驚く素振りを見せた。

灰色の瞳が少し揺れた。

また暫く間が空き、少女が先に動いた。

自分で自分に驚き動けないでいる僕に、ゆっくり近づく少女は、その冷たく細い綺麗な指で僕の首をそっと撫でた。

少女は冷たい指先で僕を軽く押し、僕はそれに抵抗せず二人して倒れ込む。

少女の顔が近づく。

お互いの吐息が混じり合う。

鼓動が交錯する。

少女は優しく僕の首を撫でながら、僕の耳元にそっと口を近づけ、静かにつぶやいた。


「どうして、、、頬を濡らしているの?」


そのときの僕は、少女がなぜこんなことを聞いたのか、少しも理解できなかった。

だってそうだろう?

涙を流しているときなんてきまっている。

「泣きたいほど怖くて、

 泣きたいほど悲しくて、

 泣きたいほど嬉しいからさ」

僕は自分の顔を見ることができないけれど、余程複雑な表情をしていたんだろうね。

少女は少し眉をひそめた。

首から手が離れ少し残念に思ったが、今度は少し起き上がり、僕の頭に手が触れた。

優しく、赤子をあやすように、その手は僕の髪を撫でつけた。

僕は少女を見て驚いた。

心底驚いた。

少女も泣いていた。

二人の額が触れ合う。

今度は僕が問うた。


「なぜ、泣いているの?」


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