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運命
その洞窟に入って戻った者はいない。
それは大昔の神様も例外じゃない。
それ故世界の特異点とされる場所だ。
だが、僕は思ったのさ。
神様は戻ってこれないのではなく、その特異な洞窟の事実に魅了されたのではないか、とね。
だから僕は入ってみたのさ!
どんな景色があるのか、どんな神様が待っているのか、わくわくしたね。
そうしたら、僕はすっかり毒されてしまった。
一人の少女と出会ったからね。
自然が作り出したモノクロの空間は形容し難い魅惑を持っていた。
どの地域を探しても見つからないだろう、灰色の花が群生した薄暗い空間の中の、一際黒い少女はとにかく目立っていた。
黒い炎のようなふわふわした髪。
灰色の目をした小柄な少女。
僕は心底驚いた。
なぜなら少女がこの空間で唯一の色彩を携えていたからさ。
その色彩は次々と海が波打つように色を変えていた。
僕はその色に見覚えがあった。
「神の血、、、?」