File1―6 暴龍を飼う少女 〜レフトVS下っ端さん〜
〜イラ・ペルト〜
洞窟に近づくにつれて、私と探偵さんの間の会話は減っていった。
探偵さんは何度も私をリラックスさせようと色々してくれたが、私はガチガチに緊張しきってしまっていた。だから、探偵さんの試みのそれら全ては空振りに終わってしまった。
ミーコ……。
私はミーコと出会った時を思い出す。
今から数ヶ月前の事――私は学校の友達とグリン高原に遊びに来ていた。その日は快晴で、空がとても青かった。
いつかこの空を飛んでみたいなぁ、なんて思いながら友達と緑豊かな草原を歩いていると……空からドサッ、と何かが降ってきた。
私達はそれに近づく。それはタマゴだった。ダチョウのそれより一回り大きい程度の大きさだった。
私は空を見上げた。どこからタマゴが降ってきたのか、確かめるためだ。
そして見えたのは……よく目を凝らさないと見えなかったし見つけられなかったが、その空には確かに龍が飛んでいた。
その龍はカメレオンに翼が生えたような姿をしており、背中には誰かを乗せていた。そのカメレオンのような龍は保護色で空の青に溶け込むように青く染まっていた。
私は飛び去っていくカメレオンのような龍をひとまずは放っておき、落ちてきたタマゴに注視した。
すると――すぐに、ピキッ、ピキッとタマゴに亀裂が入る。
初めは高い所から落ちてしまったために割れてしまっているのだと思った。けど、それは違った。
私の予想した命の消滅とは逆――命の誕生。
その日その時、タマゴの殻を破り、その暴龍は産声を上げた。
その龍は産まれ落ちた後、しばらくミィミィと鳴き続けた。首をもたげ、未だに固く閉じられた瞳で、必死に何かを求めるように。私の友達は怯えたように私の背に隠れたが、私の内心はその龍への恐怖よりも、愛しさが勝っていた。
私はそっと頭の鱗を撫でた。優しく、なだめるように、何度も、何度も。すると――その龍は目を初めて開いた。
この時私は、『刷り込み』という学習現象があるという事を思い出した。 産まれてきたガチョウやらの雛が、この世に生まれ落ちて初めて見たものを、それが人であろうとボールであろうと親だと思い込んでしまう現象の事だ。
それと同じ事が、私とその龍の間に起こったらしい。その龍はミィミィと鳴きながら私の胸元に擦り寄ってきた。
私はその龍を思い切り抱きしめた。私にも刷り込みが起こってしまったのかもしれない。私はその龍の目を見た途端、即座に母性本能……のような物を引きずり出されてしまったのだ。
私はその龍に言った。
『ねぇ、私の子供になってよ。名前も付けてあげるから。それに私の家、肉屋だからお腹いっぱいお肉が食べられるよ』
その龍はその言葉を聞き、理解したのかしていないのかはわからないが……ミィ! と、ハッキリと鳴いて答えた。
私はその龍の小指を絡め取り、その龍と指切りをした。
『私があなたを立派に大きく育てるから……大きくなったら、私をその背中に乗せて、一緒に空を飛ぼうね。約束』
『ミィ!』
そしてその日、『ミーコ』は産まれた。ミィ、と鳴くからミーコ。とても単純な名前だが、私はその名前をとても気に入った。
たった数ヶ月の間だが、私達はとても幸せで濃密な時間を過ごしてきた……と思う。まるで親子のような、姉弟のような、そんな関係。
私は、とっても幸せだった……。
****
〜レフト・ジョーカー〜
俺は気づいた。
――狙われている。
俺はイラを背に庇いながら、辺りを見渡す。イラは何か考え事をしているのか、俺の様子を気に止めようとはしなかった。
それはかえって好都合だ。今、何をしてるのとか聞かれても説明のしようがないのだから。
「……ッ」
それは確実にどこかにいる。
密かにどこかで、俺達を狙ってる。
イラに悟られてはいけない。イラがそれを知るとパニックになる可能性が高い。
俺は胸ポケットから黒色のボールペンを取り出した。
「……来たっ」
俺はボールペンの芯を出す。
するとその芯は大きく長く伸び始め――そして、そのボールペンは一振りの剣になった。
探偵道具『ボールケン』。この道具を作った奴が名付けた正式名称は『ボールペンに刀身を仕込んだボールペンっぽい剣』なのだが、余りにも長すぎるために略してある。
伸縮自在の希少金属『ゴミュール鉱石』から造られたこの剣は緊急時の装備として非常に役立つ。普段はただのボールペンだが、ノックを押すとボールペン内部の空間歪曲装置が外れ、ゴミュール鉱石で造った剣を押し出す。押し出された刀身は剣の形に大きく長く伸び、一振りの剣の完成である。
「フッ、フッ、ハッ!」
俺は剣を三回振る。
すると、その場に三つの投げナイフがポトリと落ちた。
草むらの中から黒ローブを羽織った誰かがナイフを投げるのが見えたから、俺がボールケンで斬り落としたのだ。
イラが俺を見て不思議そうに聞いてきた。
「どうしました? 何か音が聞こえましたけど……」
「いや、何でもねぇ。ハエが鬱陶しかったから、ちょっと追い払ってたんだよ」
俺は適当に嘘をつく。
イラは怪訝そうな目を俺に向けるも、ため息を吐いて再び考え事に戻った。
……コイツ、今完全に俺の事バカにしたろ。絶対『この探偵は変な行動を取る奴だった』とか思ってたろ。
俺はイラをジトリと睨む。
すると――イラ越しに、例の黒ローブがまたナイフを投げてきた。
――このままじゃ、イラに投げナイフが刺さる。
俺はイラを俺の背の方に引き寄せ、投げられたナイフを全て斬り落とす。
「ひゃあっ、探偵さん何するんですかぁ!?」
「えっと……ハエ、じゃなくてっ、ハチがお前の首刺そうとしてたんだよ!」
「はっ、ハチ!?」
「まだ何匹もいたから、気をつけろよ!?」
嘘を重ねた。
イラはうなじの辺りを抑えつつ、辺りを警戒した。
だが……俺が警戒してるのは、俺達を殺そうと放たれる投げナイフ。イラが警戒してるのはこの場に存在しているはずのないハチ。
警戒のレベルが違う。俺が少しでも気を抜くと、イラも俺も殺されるかもしれない。
俺は再び投げられたナイフを斬り弾き、イラの手を引く。
「うえっ!?」
「ちょっと目ェ回るけど我慢しろよッ!」
俺はイラをあっちこっちに揺さぶりながら投擲されたナイフを弾き飛ばす。
イラは何の事やらさっぱりわからず、混乱して目を回してしまうが……むしろそっちの方がありがたい。
俺はボールケンを前に突き出し、突きの一撃でナイフを一本割り砕いた。
「ったく……何本持ってんだよ!?」
俺は謎の黒ローブにそう叫ぶように聞くが、もちろん答える義理はない。当然ながら、答えは返ってこなかった。ケチ。
しかし困った。この投げナイフ使いの黒ローブ、かなりナイフの扱いが上手い。
俺はボールケン以外の探偵道具を出すことが出来ない。何かを取り出そうとした矢先、すぐに二、三本ナイフが四方八方から飛んでくるのだ。しかも黒ローブは高い草むらに身をすっぽりと隠しており、全く向こうの姿が見えない。
……つか、こんなにこの草むらの植物、長かったっけ……? さっきまでは精々長くても腰までだった植物が、今や高い壁のように俺達を囲んでいる。……クソ、向こうが草むらに何か細工をしたようだ。俺がさっき使った『大地の恵み』のようなアイテムでも吹きかけたか? まぁともかく、俺達は草の檻に捕まってしまったって訳か。
「あえあえあえ……」
「悪ぃ、もう少し我慢しろよイラ!」
「あ、あいぃ……」
イラは目を回しに回していた。若干酔ったのか、少し顔色が悪い。だが今は気にしない。吐くか刺されるか、どっちがいいと言われればそりゃ吐く方だろう。
俺達が目まぐるしくナイフを避けて弾いてとやっている姿は、外から見れば不出来なダンスを踊っているように見えるだろう。まぁ、外からは高い壁のような植物に阻まれて見えないのだが。
「イラッ、俺の懐から適当に何か取り出せ!」
「ハッ、ハチにそんな装備整える必要ありますっ!?」
「危険な毒バチの群れだ! 高速で飛び回ってるからお前にゃ見えねぇだけだ!」
言い訳苦しいな。
しかし、先程から目を回して混乱しているイラはすんなりと信じてくれたようだ。
「はっ、はいぃ……じゃあ、これェ……」
イラは俺の懐から適当に俺の道具を取り出す。適当と言うよりかは、選んでる余裕が無いという感じだったが。
イラが取り出したのは、手のような紋章が刻印された着火器。
俺はそれを見て、笑って言った。
「上出来」
このライターは探偵道具の一つ『燃えるような愛を』という名前のライターだ。
このライターから出る火は腕と手の形をしており、出力次第で炎で出来た腕が伸びる。
この腕と手はもちろん物を燃やす事も可能――というより、燃やす事が主目的。要するにこの道具は『腕のように伸びる火を思うがままに操る事が出来るライター』である。
俺はイラに叫ぶように告げる。
「そのライターに火ィ点けろ!」
俺の命令をイラは目を回しながら実行した。
イラはライターの口に付いているホイールを親指で回し、ライターに火を灯す。
その火はまるで手のような形をしており、その輪郭が炎のように揺らめいている。
俺はボールケンを前方に投げ捨て、ナイフを弾き飛ばす。俺はその後、イラの手にあるライターを奪い取るように受け取った。
そして、再びフリントホイールを回す。すると、どんどん炎の腕が伸びていく。
「これでどうだァ!?」
俺は壁のようにそびえ立つ草むらに長く伸びた炎の腕を向け、焼き払った。
更に俺は前に炎を突き出したまま横に回る。すると、当然炎の腕もムチのようにしなりながら回り――壁のように高かった植物を全て焼き払った。
「……ようやく見えたぜ黒ローブ」
そして、焼け焦げた草むらの中に黒ローブが一人、立っていた。
俺は黒ローブを睨みつけながら愚痴を吐く。
「コソコソとウザったいんだよ。正々堂々って言葉を知らねぇのか」
俺はそう吐き捨てた。
それを聞いて黒ローブは鉄を擦り合わせたような笑い声を上げる。
「知らないなぁ、そんな言葉。俺の辞書には載ってねぇ」
「そりゃまた、随分と残念な辞書だな?」
俺はこめかみの辺りを指で叩き、挑発した。
俺の挑発に黒ローブは気にしてない素振りをしていたが、俺の目は誤魔化せない。確かにイラついていた。
俺は未だに目を回し混乱しているイラをその場に座らせた。
「た、探偵さん……誰かいるんですか?」
「……別に誰もいねぇよ。ちょっとハチの巣見つけたから、何とかしてくる。だからここで待ってろ」
「ふぁ、ふぁい……」
イラはバタン、とその場に倒れた。目を回しすぎたようだ。
吐き気を堪えながら青い空を見上げている。
「さて……一〇秒で終わらせる」
俺のその発言に黒ローブは不愉快そうに空気を揺らし、言った。
「……一〇秒、ですかぁ。俺の実力……見くびってもらったら困りますぜ探偵ッ!」
そう言うと黒ローブはローブをなびかせながらこちらに走り寄ってくる。
だが。俺はその頃にはもう、シェイクボトルを一つ振り終え、キャップを回していた。
「探偵道具『シェイクボトルシリーズ030︰鍵ボトル』」
俺はそのボトルを前に放り投げた。
黒ローブはそのボトルを払うように己の鋭い爪で斬り砕いた。――だがしかし。
「がっ、がァァァァァァァ!?」
割り砕いたボトルから、錠前付きの鎖が飛び出し、黒ローブに巻きついていく。そして乱雑に黒ローブに巻きついた鎖は、最後に錠前をカチリと鳴らし、拘束を完了させた。
シェイクボトルシリーズの一つ、鍵ボトルは、割った相手を鎖で縛り付けて拘束することが出来るのだ。
「離せっ、離せっ! この鎖解きやがれヘボ探偵!」
「人に物を頼む時は敬語だろ。イラですらそれは出来てるぞ」
俺は口うるさくそう罵る黒ローブを見下す。
そして、黒ローブをライターで焼き払い、黒ローブに隠れた素顔を青空の下に晒した。
「熱っ、熱い!? 俺の自慢のヒゲが燃えちまう!?」
「……お前、豹型の獣人族だったんだな」
黒ローブの何か騒いでいる戯言は無視し、俺は黒ローブの種族を見極めた。
豹のような耳や目は正しく豹型の獣人族である事を示していた。
「ま、これに懲りたらならず者なんて辞めて、真っ当に働けってこった」
俺はそう黒ローブに告げながら、焼け焦げてしまった辺りに先程も使った大地の恵みを霧吹きで吹きかけ、焼いてしまった草の成長を促進させた。
そして俺はその場を去り、イラの下に戻ろうとする。
すると、黒ローブは何か騒ぎながら俺を引き止めようとする。
「おいっ! 俺を置いてく気じゃねぇよな!? だって、ここには沢山の魔物もいるんだ! しかも……このまま置いてったら俺、飢え死んじまう!?」
……何だ、そんなことか。
俺は黒ローブを安心させるために、黒ローブの方を向き告げる。
「安心しろ。大地の恵みは猛獣避けの効果もあるから、人を食うようなヤツは近づかない。後、オヤジによると、明日辺りに憲兵達がまたあの洞窟に調査に来るらしい。お前らのアジトになってるあの洞窟だ。その時に、不自然にめちゃくちゃ伸びてる草むらがあったら怪しんで近づいてくるから、その時にお前は見つけてもらえるぜ」
俺はそう黒ローブに告げると、手を振ってお別れした。
「じゃあな、黒ローブ。達者で暮らせ」
後ろで黒ローブが何か喚く声が聞こえるが、もう俺の耳には入らなかった……。
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〜イラ・ペルト〜
「イラ、ハチの巣は何とかしてきたからもう安心しろ」
遠くから駆けてきた探偵さんは私にそう言った。
私は未だにどこかぼんやりと混濁する頭で頷いた。
「は、はい……」
うう……目が回ったせいで気持ち悪い。吐きそう……。意識もまるでミキサーにかけられたみたいにグルグルしてる……。
私はフラフラと立ち上がりながら、探偵さんの差し出してくれた手を掴んだ。
「さ、行こうぜ」
探偵さんは未だ足元がおぼつかない私の手を引きながら、洞窟へと歩き始めた。
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〜『グリン高原 北北西の洞窟』〜
「バミラがやられたか」
ニュエルは羊毛を乱雑に盛ったベッドに寝転がりながら、ウィンニュイが洞窟の壁面に表示する【恋に焼かれた梟の目】の映像を見ていた。
「……バミラ様を倒せるだけの実力はあるようですね、ニュエル」
「あぁ。しかも……ほぼ無傷で、だ」
ニュエルはウィンニュイの言葉にそう付け足し、薄く笑う。
ウィンニュイは彼に涼風を送り続けていた扇を扇ぐ手を止め、彼に赤色の液体が入ったコップを差し出した。
「ニュエル。食事の時間です」
「……ん」
ニュエルはウィンニュイからコップを受け取ると、少し粘っこいその赤い液体をグイッと飲み干した。
すると、ニュエルの目は赤く、紅く染まっていき――そして、またその紅色が薄くなり、ニュエルの目は元の碧眼に戻っていた。
「……まっじぃ」
ニュエルは顔を顰め、舌を突き出す。
そんなニュエルに、ウィンニュイは呆れたようにため息を吐き、言った。
「仕方がありません。ニュエルの人望がないせいで、団員の誰もがニュエルに血を提供するのを躊躇っているので。なので代用として羊の血を飲ませているのです」
「……悪かったな、人望なくて」
「はい。この『魔王の道』はニュエル一人への恐怖による独裁だけで成り立っているような集団ですし、仕方がありません」
「……遠回しにディスってるよな、ウィンニュイ?」
「……我が主人をディスる奴隷がいるはずないでしょう?」
「主人呼びやめろ……鳥肌立つから。後、お前が主人呼びする時は大抵俺の事ディスってる時なんだよ!」
「だから、我がご主人様をディスる奴隷など、存在しているはずがありません」
「目・の・前・に! いるんだよッ、ウィンニュイ!? お前、俺の事もしかして嫌いなんじゃねぇの!?」
ニュエルがウィンニュイをそう吐き捨てるように怒鳴りつけると――ウィンニュイは、先程までの飄々とした態度を改め、オロオロと……それこそ、まるで命令を失敗してしまった奴隷のようにオロオロとし始めた。
「ニュエル……私が……貴方を、嫌うはずがないでしょう……」
ウィンニュイは、己の首に巻き付く首輪に触れながら、そう消え入るような声で呟く。
ニュエルはそのウィンニュイの発言に、頭を掻きむしり、ため息を吐いた。
「……悪かったよ」
そして彼は、そう呟いた。
すると、ウィンニュイは微笑を浮かべる。
「……私が死ぬまで――いえ。死んだ後でも、私は貴方に仕えます。魔王様」
そして、忠誠を誓う従者のように、ウィンニュイは跪いて祈り合わせるように手を組んだ。
そんなウィンニュイにニュエルは足をバタつかせながら喜び。
「おっ。魔王様はいいな。今度他の奴らにそう呼ばせよっかな」
と、呑気にそう言った。
だが、ウィンニュイは彼の発言が気になる。『他の奴ら』と彼は言った――ならば、自分はなんと呼べばいいのだろう?そう思ったからだ。
故に彼女はニュエルに問うた。
「……ならば、私は、ニュエルの事を何とお呼びすれば?」
ニュエルは答えた。
「いつも通り、『ニュエル』でいい」
――この世界でたった一人、自分の名を呼ぶ事を許し、強制した女性。その意味を、彼は知りながらも知らないフリをした。
――お買い得だったな。
ニュエルはそう微笑み、来たる探偵達への対策を考えた。
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〜ニュエル・ボルゴス〜
「よし。今いる団員は二八つ。そして、俺とウィンニュイの二人か」
その内、使える言わば幹部枠がモヒカンの『ガガール』と黒ローブの『ギルオール』と鎧の『グズリーン』の三つ……。
とりあえず俺はウィンニュイにその三人に指示を出すよう伝える。
「ウィンニュイ。ガガールとギルオールとグズリーンに、部下勢揃いさせて探偵共をおもてなしして差し上げろ、って伝えてくれ」
「御意」
さぁて……どんな手で来るかな、探偵さん。
この三つの男達だけでも、かなりキツいぜ。更にこの男達の部下が勢揃い。
憲兵団が丸ごと一つ纏めて押しかけても追い返せる程の物量だ。依頼人は小さな女でそこまで強くない。戦力にはならないだろう……。探偵たった一つだけで、どこまでやれるかな?
「せめて三分は頑張ってくれよな?」
俺はそう、魔王のように不敵に笑った……。
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【キャラクター設定】 〜二ュエル・ボルゴス〜
・身長……一七八センチ
・体重……五二キログラム
・種族……吸血族
・年齢……二〇歳
・職業……指名手配犯(賞金六〇〇万ウィル)
・誕生日……一一月一〇日
・将来の夢……魔王
・二〇歳を超えて焦ること……二〇歳で将来の夢が魔王であることの痛々しさや世間体
・将来の夢が叶った際には……自伝を書きたい。自伝を書いてそれを世界の聖書にしたい。
・語彙力……いざ筆を握ると言葉が何も出てこない