bookend2 ホームシックをあぶくに乗せて
今回は短めです。
感想、ブクマなどなどよろしくお願いします。
〜園寺映瑠〜
「……異世界なのに蛇口を捻るとお湯が出る」
私は、この喫茶店Wで居候させてもらうことになった。
で、夜になったんで今からお風呂に入る所。
……異世界なのに、電気は点いてるしシャワーもあるしお湯も出るし湯船もあるしシャンプーもリンスもボディソープもある。都合良すぎではなかろうか。
シャンプーをしながら私はそんな事を思った。
そしてシャンプーを洗い流しリンスもして体洗って他にも色々やって……。そうしてから湯船に浸かった。
「……お風呂だ」
お風呂だ。元の世界と変わりない。
温かみがじんわりと肌に染み通ってく感じ。地味に入浴剤も入ってるし。
……私、ここでやってけるのかな。
ふと不安に思う。
ここは電気も水道もガスも通ってる。異世界なのに、元の世界とほぼ変わりない生活が出来る。
だけど……私は、それだけじゃ……。
「……考えるの、やめよ」
私は湯船に潜り、目を瞑って息を止める。
暗い考えを、体の汚れみたいに湯船で洗い流してしまいたかったから。
潜りながら頭を振っていると、ふと元の世界の幼馴染の事を思い出した。それが起爆剤になり、元の世界の両親や祖父母の顔、友達の顔まで脳裏に浮かんでは消えていく。まるで、湯船の中で息を吐いた時にできるあぶくみたいに。
……お父さんとお母さん、心配してるだろうな。サンちゃんだって、心配してくれているに違いない。
……元の世界と、少しでも通信出来たらな。
私はそんな事を思うのだった……。




