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File1―0 暴龍を飼う少女 〜こちら最高の探偵事務所〜

初投稿です。面白かったら評価とブックマークの方をよろしくお願いします。

 この街『バンガン』の第三大通り、入って右列の入口から五つ数えた所に、古ぼけた喫茶店『(ダブル)』がある。

 その喫茶店のコーヒーは店主マスターの腕がいいのか使っている豆がいいのか、それまたそのどちらも関与しているのかはわからないが、とても美味い。それで唇を湿らせた瞬間、驚く程のコーヒーの香りが全身を包むのだ。

 だが、コーヒーの事は今はどうでもいい。

 君は、有能な探偵を探しているんだろう? なら、そこの店主マスターに、こう注文してみよう。


「風香るジョーカーブレンドをダブルで」と。


 ……露骨に変な顔をしないでほしい。これはこの喫茶店の地下室に住まう、カッコつけたがりの探偵の趣味なのだ。

 本当の事を言うと、「探偵お願いします」と頼んでも店主マスターは笑顔で探偵を地下室から呼んでくれる。

 なんなら、普通に地下室への扉の鍵は開いてるので店主マスターに許可を取ればその探偵の住む地下室に入ることが出来る。

 だが、急いでいたりゴタゴタを避けたければ、やはり例の合言葉を言うのが一番だ。探偵はその合言葉で呼び出すと、ノリノリで依頼を受けてくれる。その合言葉以外の方法を用いると、すっごい不機嫌な顔でやる気なさそうな態度で依頼を受ける。


 ……めんどくさい? 同感だ。

 だがしかし、このバンガンにおいては彼以上の探偵はいないと思うよ。

 もし困ったら、相談してみるといい。

 喫茶店『W』で「風香るジョーカーブレンドをダブルで」と頼むんだ。

 それでは、君の未来これからに幸あれ……。



 ****



 〜イラ・ペルト〜


 そう言うと、コートを纏った怪しいおじさんは消えるようにその場を去った。

 ……その探偵なら、見つけてくれるのかな?

 私の大事なペットのミーコを。

 私は少し心踊らせながら例の喫茶店を見つけて入り、店主さんに例の合言葉を言う。……結構恥ずかしい。


「か……風香るジョーカーブレンドを……ダブルで」


 ハードボイルド、という言葉が似合いそうな店主さんは少しだけ微笑み、瓶からコーヒー豆を一粒手に取り、後ろの換気扇ダクトに放り込んだ。

 すると、間もなくしてとある扉からバタンバタンと大きな物音が。……足音?

 その物音はしばらくして鳴り止み、それと同時に喫茶店内に取り付けられたペンキで雑に塗りつけたような白色のドアが大きくバン! と開かれた。


 そこにいたのは、私よりも少し年上くらいの男の人だった。

 顔は童顔だけど……って、一三歳の私が人の事を童顔だとか言えることではないか。まぁでも、童顔である。

 だけど、結構整ってる。イケメンと形容しても問題ないだろう。

 黒いソフト帽をくせっ毛の茶髪に被り、少し洒落たジャケットを羽織っている。靴はよく磨かれた良質な墨みたいに黒い革靴で、ズボンもキチッとしたホコリ一つない黒いパンツ。

 服装だけ見れば結構ハードボイルドな感じ……なんだけど。


「俺に依頼かい……お嬢さん」


 セリフも文面だけ見ればハードボイルドな感じ……なんだけど。

 声が若干嬉しそうに浮ついてるし、顔も目を輝かせて、自分に酔いしれるようにニヤけている。犬化したら絶対尻尾ブンブン振ってるんだろうなって感じのこの態度。

 ハードボイルドな服装に似合わない、着ている人の子供ガキっぽさ。


「……店主さん、この人が」


「あぁ。残念なことに、そのガキがお嬢さんの求めた探偵さ」


 えぇ……。こんなカッコつけたがりっぽい人が、私がこれから依頼する探偵かぁ。

 不安だ。家の鍵をかけ忘れた時のような不安感が、私の心に波打った。


「ちょっとおやっさん、そりゃないって! 残念ってなんだよむっちゃ頼れるハードボイルド感出てんだろーが!?」


「そういう所がガキなんだよ。いいから、依頼人の依頼を聞きな」


「……ぐぬぬ」


 ぐぬぬ。ハードボイルド気取ってんのにぐぬぬはないって。


「……依頼、聞こうか?」


 わ。また、ハードボイルド感を纏った。

 ……もういいや。この人に頼もう。あのおじさんいわく、この街一番の探偵らしいし。

 私は、依頼を口にした。


「あの、迷子になったペットを探して欲しくて……」


「……はぁ? 迷子のペットぉ? やだよ犬猫探しとか。他の探偵に頼めよ」


 なっ……なぁ……!?

 依頼を断る探偵がどこにいるんだよ……!?

 私がわなわなと拳を震わせていると、店主さんが探偵に近づき、ゲンコツを食らわせた。


「いっでぇ!?」


「依頼人を泣かすようなら、探偵辞めちまえ」


「……っ、やるよ! やってやるよ! ペット探し! 引き受けた!」


 ……やってくれるんだ。私の依頼は承諾してもらえたらしい。

 だが……これからどうなることやら、今の私にはすごく不安だった……。



 ****



【舞台設定】 〜バンガン〜


 ・世界的な位置……世界五大大陸の一つ『風の大陸』の中央東部にある国『ウィンダリア』の西部にある。海とは面していない。


 ・名産品……銃、魔法道具マジックアイテム、そうめん。最近はそうめんが主。水に晒し続けてものびないのが魅力である。


 ・ゆるキャラ……そうめんの国からやってきた『そーめん大王』。ゆるキャラグランプリで結構高順位だった。


 ・そーめん大王の裏設定……実は射撃とあやとりが上手い


 ・一言コメント……そーめん大王はこの先全く絡まない。

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