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青年、異世界で魔導師を目指す 〜ちょっと待て、異世界が楽すぎる〜  作者: 小森野 空知
第1章 「新しい世界と魔導」編
5/14

夢と現実の狭間

 これは夢であり現実。


 私はその狭間に潜む者。


 これより託すのは記憶、過去の残滓(ざんし)である。


 今の人類では受け付けられない、非情なモノだろう。


 だが貴方なら、異界より来たる貴方ならば、過去の残滓を託せる。


 どうか、私達のーーーを見つけて欲しい。


 だから、どうかーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 気がつけば俺は砂浜に座って海を見ていた。


 だが銀色の髪の毛や背の高さは全く違うものだった。


 朝日と海の他には後ろを向かねば何もない。


 とても、とても綺麗な景色だ。


 隣に幼い女の子が座った。


 女の子が俺に話しかけてくる。


 何を話しているのか、まったく聞こえない。


 なのに俺はその子の頭を撫でる。


 まるで決められた行動しか出来ない機械のように。



 その時、海と空を黒いモノが一気に広がった。


 俺は女の子を抱き上げ、逃げる様に後方の高い塔のある方向へ走った。


 その速度は自動車の様な速さだった。


 この体が優れているのか、魔法などを使っているのか、とにかく異常な程速い。


 そして俺は黒いモノに包まれる前に塔へ入り、装置を操作してから更に奥へ進んでいく。


 その建物の内部は機械らしきものが大量にある、近未来的な内装だった。


 そのように内装を確認している間にも体は勝手に動いていく。


 俺の体は大きなガラスの筒の様な物に女の子と手紙を入れ、不安そうな女の子に笑いかけながら何かのスイッチを押し込んだ。


 女の子が入った筒は地面に沈み、やがて地面との境目すら分からなくなった。


 もうどこにあったか分からない。


 そして、自分の口が開く。


「先程、私が作成した結界魔導装置を起動したからアレはまだここへは来ない。しばらく安心して話を聞いてくれ」


 なぜかこの体の声は聞こえる。


 女の子の声は聞こえなかったが、なぜだろうか。


「君にとっては今見ているものは夢だ。しかし、これは実際に君からみて過去に起こった事だ」


 つまりこの夢らしきものは過去の人達が俺に彼らに起こった事を見せている、という事か?


「まぁアレが結界を破る前に本題を話そう。今回、君には『魔導』を託そうと思っている。理論として、だがな」


 ....なんと。


 まさか、こんなところでヒントを得られるとは思わなかったな。


 実は魔導についての研究が詰まっていて手付かずの状態だったのだ。


 “数式の無駄を省く”という工程で魔法が魔導に変化すると思うのだが...


 俺が知る限りでの無駄を省いた状態が魔法だって気付いてからは悩みっぱなしだったな。


「さて想定だが君のいる時代は魔術と魔法しか残っていないだろうな。ま、魔導は中盤の難易度でも頑張れば核爆弾並みの火力を出せるからな。失伝するのも仕方がないだろう」


 ...は?ナニソノ火力?その魔導を作ったヤツは馬鹿なのか?


 てかよく核爆弾なんて凶悪な物が伝わると思ったんだか。


 俺が知らなかったらどうすんだよ。


「今どうせ『馬鹿か?』とか思っただろう。そして『核爆弾が伝わってなかったらどうするんだ』、とも」


 コイツ何者なんだよ...心を読むな。


「さて、そこらは説明する時間がない為言わん。簡単に魔導理論を素早く説明するぞ。あとの足りない部分は自分で補いたまえ」


 聞いて分からなかったら無理だろそれ。


 補うどころじゃないだろ。


「よし、準備はいいな?ボードに書きながら説明するぞ」


 っていつの間にか空中に何かが出てるし。


 SF映画とかでたまに出てくる空中に文字書くアレか?


「今から書かれる事、話される事を一言一句間違えずに覚えてくれ。いいな?」


 ああ、もうやってやるよ。


 どうせ魔導師目指すんなら通る道だ。


 覚えるのが早かったか遅かったかだけだからな。


 全部覚えてやろうじゃないか!



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ーー以上だ。どうだ、理解したな?よし理解したな。ならば良い」


 勝手に決めつけんな。


 なんとか覚えたけどな。


 しっかし魔導って面倒だな。


 簡単に言えば、


 魔術=円周率10桁


 魔法=円周率30桁


 魔導=円周率1000桁


 みたいなもんだからな。


 魔導の難しさ(異世界基準)がよく分かる。


 そりゃ失伝するわな。


 それにしても久し振りに頭使ったな...


 ちょっとだけ疲れた。


「さて、もうそろそろアレが結界を食い破って私を飲み込むだろう。だから君に伝えておこう」


 む?まだ何かあるのか?


「私達が今いるのは北の大陸。君のいた地球で言うところのユーラシア大陸のようなものだ」


 なんで知ってんだよ...


 もうコイツについては考えるだけ無駄だな。


「ああ、無駄だ。だから話を聞く事だけに集中するといい」


 はいはい、分かったっての。


「この北の大陸は現在、約7割がアレによって喰らい尽くされている」


 は...?


「やがてこの大陸は消滅するだろうな。だから私達は未来の君達に託す事にした」


 ....何をだ。


「アレを消失させるのを、だ」


 それが出来るならあんた達がやってるだろう。


 今、魔導理論を理解した俺に何が出来る?


「出来なかったら今度は君達のいる大陸が消滅するだろうな」


 ...なら、どうすれば良い。


「簡単な事だ。アレを消失させるだけの魔導を自分で創ればいい」


 .........創る、か。


 アレを消失させる事が出来るだろうとモノが1つある。


 だが、それを魔導で実現出来るかは分からない。


 それでも....


「「やるしかないだろ」」


 そこで俺の視界は闇に閉ざされた。


本文中で「創る」が「作る」になっていた点を訂正しました。2018/5/12

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