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加藤くんは時を止める異能者です。

作者: まさし

 僕の名前は加藤斗雌流カトウトメル。私立最高高校に通う高校生だ。

 ごく普通の成績で、運動神経もさほど良くなく、お世辞にも整った容姿と言えない。そんなどこにでもいるごく普通の人間である僕だが、ある一点において僕は誰もが持ちえない特異な力を持っている。

 時を止める異能。僕は生まれながらにしてこの異形の力を手にしていた。

 なんでも、母方の家系にはときおり僕のように生まれながら不思議な能力を持った…異能者が時折あらわれるらしい。

 異能の力を生まれながらに持つ僕は、その力に苦悩する…なんてこともなく、特に悩みもないまま高校生になってしまった。いや、悩みがまったくない訳じゃないんだ。

 こないだの席替えで、僕がひそかに憧れている斉藤さんが隣の席になったのだけど、意識しすぎてるせいかうまくしゃべることができないんだ。おかげで隣の席同士で何かするときはうれしいはずなのに、どこか憂鬱というか…。話が脱線したね。ともかく、僕の抱える悩みなんては日常生活に起因するもので、異能に関しては特に悩みてないんだ。

 だってさ、日常生活で時を止める必要なんて全くないだろ?生まれてこの方、僕が時を止めたのはたった3回だ。

 1回目は小学生の体育の時間。このとき僕は自分が異能者だなんて知らなかったから、無意識に力を使ってしまったため、パニック状態になってしまった。

 先生たちに僕の身に起きたことを話したもの、ランニング中に突然立ち止まり騒ぎ出す僕のことを叱るばかりで、ろくに話を聞いてもらえず悲しい思いをした。そんな気持ちを引きずったまま俯きがちに帰宅した僕のことを心配した母親と話すうちに、僕は初めて自分が異能者であること知ったのだ。

 2回目は自分が異能者であること知った直後、僕は自分がどんな異能の力を持っているか知りたかったため力を使った。よほど熱中したのかこのときは、僕は時がたつのに全く気が付かないまま、朝を迎えてしまった。僕は眠気に負けそうに眼を必死にこすりながら登校したのを覚えているよ。…結局、授業が始まったとたん寝てしまったので、すぐに家に返されたんだけどね。

 このことを親に叱られた僕は、以後異能を使うことを親から禁じられてしまった。まあ、このときは夜通し時間をかけても自分が異能どんな能力か分からなかったから、あまり気にしなかったけどね。

 …そんなわけで、僕は自分が異能者だと知って最初はワクワクしていたんだけど、自分の異能がどんなものかさっぱり見当がつかなかったし、力を使うと周りから怒られるばかりだったから、その…興奮していた気持ちもなんだか冷めてしまってね。それ以降は両親の言いつけを守り使わなかったんだ。

 3回目は高校に入学する直前の話だ。このとき僕はちょっとした事件に巻き込まれた。僕のように生まれながら異能を持つ…解放者メフィストを名乗る犯罪者集団と、それに対抗する正義の味方…と呼ぶには少し乱暴だった少女との十日間の逃避行。

 これは、僕の身に突然降りかかったとんでもないスプリングバケーションの物語。…ではないんだ。残念ながら。

 できれば僕も話したいんだけど、今回の話は僕の能力についてだ。あまり本題から外れる話は避けたいと思う。話したいんだけどね。僕が異能を使って銃弾を受けとめた話とかさ。

 それで、まあ何が言いたかったというとその春休みの事件の中で、解放者メフィストのメンバーから、僕が時を止める異能者であるということを教えてもらったという訳だ。まあ、その人は僕の能力を見たとたんに興味を失ったようだけどね。僕の異能が目当てで襲ってきたというのにさ。 …自分で言っていて悲しくなってきた。

 なんで、解放者メフィストは僕から興味を失ったかだって?簡単な話さ、僕のときを時を止める異能には欠点が…。

「おい、加藤。次の授業、化学室だってさ。行こうぜ。」


 おっと、友達が呼んでいる。悪いけどこの話はまた今度にしてもらえるかな?

 次までに僕の異能がどんなものか考えるのもいい暇つぶしになると思うよ。それじゃあ、また今度。


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