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第7話 ステータスを見比べる俺のお話

「そういえば、お前らはどうすんだ?」

「どうって?」


主語を欠いた悟志の言葉に、俺はカードを選び、引きながら答える。

悟志はニヤリと笑った。


「魔王を倒すか、戦わずに残るかってやつだよ」

「早い内に選んじゃった方がいいかもだね」

「何でだ?」


シャッフルした俺の手札から、悟郎が一枚引き抜いて自分の手札に加えた。


「陛下が僕達の生活を保障してくれてはいるけど、それがいつまで続くのかは分からないからね。戦いを選んで訓練を受けるにしろ、戦わずに仕事を紹介してもらうにしろ、この世界で生きていく術は身に付けた方がいいってことさ」

「成程。確かに、某等が勇者とはいえこの世界の皆が助けてくれるとは限らぬしな。中には『勇者』という存在が煩わしく思う者もいるやもしれぬ」

「・・・・・・定番のネタ」


悟郎の手札から宗治がやや迷いながら引き、次に太朗が迷わず直ぐに宗治の手札からカードを引いた。


「そういう事だ。だから早いとこ決めて、さっさとレベル上げしようぜ・・・チッ!」


太郎の手札から一枚引いた悟志が忌々し気に舌打ちする。

如何やらババを引いたようだ。

太郎はニヤリと、小さく笑みを浮かべている。

ちなみにそのジョーカーは、俺がさっき悟志から引いたババだ。

グルリと一周回ったのだ。


「で、どうすんだ?」


シャッフルでカードを切り、悟志は手札を翳す。

俺は悟志の目線の動きを読み切り、カードを引く。


「俺は戦うぜ、折角の異世界召喚で勇者だしな・・・あがり」

「僕も同意見かな。こんな経験向こうで出来ない事だしね・・・僕もあがり」

「某はどちらでも構わんが、この世界の芸術には興味があるな。魔王退治のついでに世界を見て周るのもアリやもしれん・・・あがりだな」

「・・・・・・それ、どっちがついで? ・・・・・・あがった」

「クソッタレエエェェェェェェーッ‼‼」


敗北した悟志がジョーカーを床に叩きつけた。

顔に出やすいんだよ、悟志は。

普段だったらジュースの1本でも賭けてるんだが、まだこの世界に慣れてない俺らが折角貰った金をかけるのはマズいとの事で、何も賭けずに遊んだ。

ま、偶にはいいだろう。

表情読む類いのゲームはだいたい悟志が負けるから、ババ抜きするって決まった瞬間にこの結果は分かり切ってたし。

まだ続けようかとカードを切っていると、扉がノックされる。

入室を促すと侍女が入って来て要件を口にする。

どうやら夕飯の支度が出来たらしい。

俺達はクラスメイトみんなと合流し、王様も交えて食事にするのだった。


◆◆◆


王手(チェック)

「ぬぅ・・・・・・」


夕飯後、また俺の部屋に集まってゲームに興じる。

ポケットに入る折り畳み式の将棋盤で、俺と宗治は将棋をやっていた。


「・・・・・・真っ黒だな、悟志」

「クッソ‼」


太郎と悟志も、横で折り畳み式のオセロをプレイ中だ。

丁度、コッチと同じタイミングで決着がついたようだ。


「悟志って頭は悪くないのに、この中で一番勝率が低いよね」

「うるせえよ!」


俺達のゲームを横で眺めてた悟郎が苦笑を漏らし、悟志が不貞腐れたように顔を背ける。

色々顔に出やすいんだよ。


「和也はホント、ゲームは強いよね。成績は最低なのに」

「ほっとけよ」

「さっすが遊び人」

「るせーよ」


負けた八つ当たりなのか、悟志がボソリと呟いた。


「ああ、もう! おい宗治、一局打とうぜ‼」

「うむ、いいだろう」


気を取り直して、悟志と宗治が折り畳み式の碁を打ち始めた。

この5人の中では、勝率ワースト1位と2位の2人だ。

プレイするには丁度いい難易度だろう。


「悟郎、変わるか?」

「そうだね、次は僕がやろうかな」

「・・・・・・受けて立つ!」


トランプを強気に構える太郎に、微笑む悟郎。

どうやらポーカーをやるようだ。

俺は休憩にしようかね。


「・・・・・・・・・・・・」


つっても、このままコイツ等のプレイを見てるだけってのも暇だな。

普段ならスマホでも弄ってるんだが、電池の残量が気になって電源を切ったままだ。

ま、どの道ネットには繋げられねぇし、出来る事は限られるんだが。


「ん?」


何かないかと視線を動かしていたら、床に転がった一枚のカードが目に入る。

コレは・・・・・・悟志のステータスカードだ。

アイツ、こんなもん適当に放ってんなよ。

なんとなしにカードに目を通す。


『ステータス』

NAME:サトシ・エノキダ

CLASS:武闘家


Lv.1


HP:800

MP:730


STR:80

VIT:80

AGI:80

DEX:78

INT:78

SPI:77

CON:76

LUC:71


EXP:0

NEXT:20


SP:10


保有属性:―

耐性属性:―

弱点属性:―


《スキル》

《魔法》

《戦技》

《称号》

【地球人】

【学生】

【勇者】

《称号効果》

LVアップ時獲得SP:+15

LVアップ時HP・MP:+150

LVアップ時HP・MPを除く全能力値:+15

LVアップ時INT:+1

必要SP-1


「ふーむ・・・・・・」


称号とか俺と殆ど何も変わんねぇけど、ステータスに違いがあるな。

コレは何故だ?

才能か、職業か?

いや、職業が決まる前からステータスの能力値は変動してないから、関係ないか。

種族も同じだしな。

てことは、やっぱ才能か?


「なぁ、お前らのステータスカード見せてくんね?」

「ん? どうかしたのかい?」

「・・・・・・何だ?」

「ちょっと気になってな」


首を傾げながらも、2人はステータスカードを渡してくれた。


「宗治もいいか?」

「ん? ああ」


ゲームに集中しているせいか、特に気にする素振りも無くカードを手渡してきた。

悟志は聞いてすらいないようだ。

ま、悟志のは今さっき目を通したから別に構わねぇが。

俺を含む5人のステータスカードを床に並べて、ステータスの能力値を比べてみる。


『ステータス』

NAME:カズヤ・オカモト

CLASS:遊び人


Lv.1


HP:760/760

MP:760/760


STR:75

VIT:73

AGI:75

DEX:78

INT:71

SPI:79

CON:80

LUC:77


『ステータス』

NAME:サトシ・エノキダ

CLASS:武闘家


Lv.1


HP:800

MP:730


STR:80

VIT:80

AGI:80

DEX:78

INT:78

SPI:77

CON:76

LUC:71


『ステータス』

NAME:ゴロウ・アケチ

CLASS:魔法使い


Lv.1


HP:800/800

MP:800/800


STR:77

VIT:76

AGI:79

DEX:78

INT:80

SPI:75

CON:78

LUC:71


『ステータス』

NAME:ソウジ・セタ

CLASS:創作師


Lv.1


HP:750/750

MP:770/770


STR:74

VIT:73

AGI:76

DEX:80

INT:78

SPI:79

CON:80

LUC:77


『ステータス』

NAME:タロウ・タナカ

CLASS:盗賊


Lv.1


HP:750/750

MP:750/750


STR:75

VIT:72

AGI:80

DEX:79

INT:74

SPI:76

CON:76

LUC:74


やっぱ個人差があるな。

そんなに大きく差がある訳じゃないし、他の皆の能力値と比べた訳じゃないから断言は出来ないが、たぶん能力値は70~80、HP・MPは700~800の間で固定なのか?

レベル1でこのステータスが高いのかどうかは、この世界の人のステータスを比べてみないと分からないが、何となく高めな気がする。

能力値が高いのは異世界人で勇者だからで納得出来るが(テンプレだし)、同じ勇者でもステータスに微妙なバラつきがあるのは何故だ。

やっぱ才能とかあんのか?

才能でステータスの伸びしろが違うんなら、ただレベルを上げてるだけじゃ自分よりもレベルが上な相手と戦うようなことがあれば勝てないかもしれねぇな。

下手したら同レベルにも勝てないかもだ。

その為にスキルとかあるのかもしれないが、ゲームみたいな世界だ。

能力値の上がり方とか調べた方がいいかもしれん。

どんな行動でレベルアップ時の能力値上昇に変化が起きるか分からないしな。

ゲームによっては、取った行動で色々フラグが立つかもしれないし、色々試してみた方が良さそうだ。

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