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第3話 ファンタジー世界というかゲームみたいな世界だなぁと感じる俺達のお話

王様の喋り方が安定しない・・・・・・。

部屋の外に待機していた騎士の人に案内してもらい、俺達は再び謁見の間へ。

まず詳しい話を聞かせて欲しいとの俺達の要望に、王様は頷き語り始める。

俺達が魔王復活を可能であれば阻止、あるいは復活後に討伐してほしくて召喚された勇者であることは聞いた。

問題は、具体的にどうすればいいのか? ということだ。


「まず君達に問いたいのじゃが・・・・・・君達は本当に勇者なのかね?」

「いえ、私達に聞かれましても・・・・・・」


瑞希ちゃんの困惑は尤もだ。

勇者を召喚したら、何故か総勢44人もの人間が召喚されたという訳の分からん結果になった王様の気持ちも分からんでもないが。


「私達は、全員ただの教師と生徒です。とても魔王を倒したり、世界を救ったり出来るとはとても・・・・・・」


漫画や映画じゃないんですからと、言いづらそうにゴニョゴニョと口籠る瑞希ちゃん。

コレが地球だったら相手の頭がおかしい発言なのだろうが、此処は異世界。

寧ろ本当で本物だから反応に困る。

しかし、実際俺達が本当に勇者なのかどうか疑問もあるけどな。

だいたい勇者って1人だろう?

まぁ、中には複数人存在する物語は存在するが、それでも44人は多すぎだ。


「元々、最初に召喚された勇者も一般人で、数々の冒険を経て強大な力を身に付けたと聞く。だからお主達が、ただの一般人でも驚く事ではないのだが・・・・・・」

「・・・・・・それでも、やはり44人は多すぎるかと」

「う、うむ・・・・・・」


やっぱ王様も人数が多すぎると感じてるんだな。

いったいどうしたもんかと考えていたようだが、ふと閃いたように目を開く。


「お主達、称号には何と書かれておる?」

「・・・は? 称号、ですか?」


何を言っているのか分からないという風に、瑞希ちゃんは首を傾げる。

俺達も同じだ。

どういう意味だ。


「『ステータス』の称号覧に『勇者』と書かれていた者が勇者のはずだ」

「は、はぁ・・・『ステータス』ですか?」


更に困惑気に首を傾げる瑞希ちゃんたちだが、俺は気づいた。

俺以外にも気づいた奴は多い。

『ステータス』ってアレか?

ゲームによくあるメニュー画面っつーか、キャラの状態を見るステータス画面の事か?


「『ステータス』と念じてみるといい。そうすれば見れるはずだ」


王様のそんな言葉に『まっさかー』と思ったが、念じてみたら半透明な画面が空中に浮かびやがった。

マジだったよ・・・・・・。


「ファンタジー世界っつーか、アレだな」

「ああ。ゲーム的だな」


悟志も顔が引き攣っていた。

どうやら俺達が呼ばれたのはゲーム的ファンタジー世界らしい。

まぁ、面白そうなのは変わらず、俺は取りあえず自分のステータスに目を通す。

半透明な画面には、こう書かれていた。


『ステータス』

NAME:カズヤ・オカモト

CLASS:-


Lv.1


HP:760/760

MP:760/760


STR:75

VIT:73

AGI:75

DEX:78

INT:71

SPI:79

CON:80

LUC:77


EXP:0

NEXT:20


SP:10


保有属性:―

耐性属性:―

弱点属性:―


《スキル》

《魔法》

《戦技》

《称号》

地球人

学生

勇者

《称号効果》

LVアップ時獲得SP:+15

LVアップ時HP・MP:+150

LVアップ時HP・MPを除く全能力値:+15

LVアップ時INT:+1

必要SP-1


「・・・・・・・・・・・・」


マジでゲームみたいな画面だな。

皆も困惑+呆れ顔だ。

気持ちはよく分かる。

そして王様の解説が入る。

『Lv.』はその者の強さを示し、『HP』は生命力、『MP』は魔力、『STR』は筋力、『VIT』は頑丈さ、『AGI』は素早さ、『DEX』は器用さ、『INT』は知力、『SPI』は精神力、『CON』は集中力、『LUC』は運、『EXP』は今ままでの経験値、『NEXT』は次のレベルアップまでに必要な経験値、『SP』は現在持っているスキルポイントを表す。

つか、知力が一番低いことについて何か言いたくなるが、学校の成績はあまり宜しくない俺が何を言ってもたぶん鼻で笑われるだろう。


「? 何だよ和也?」

「いんや、なんでもねー」


そんな事を言ったらまず間違いなく一番に悟志(コイツ)が笑うだろうしな。


「どうだ? 勇者の称号はあるか?」


ちょっと不安の色を浮かばせながら王様が問う。

うん、俺の称号覧にはちゃんと『勇者』がある。

これで俺だけに勇者の称号があるのなら有頂天になったかもしれないが、周りのみんなの声を聞く限り、そういう訳じゃないようだ。

ちょっと残念。


「こういう時って、誰か1人勇者じゃない奴がいてハブられたりすんだけど・・・・・・」

「そういうのは無さそうだな」


周囲の様子を見る限り、そんな奴はいなさそうだ。

どうやら44人全員が勇者らしい。

少なくともこの集団の中から勇者じゃない奴が勇者になる物語は起こらなさそうだ。


「ふむ。全員勇者だったのか・・・喜ばしいのじゃが、むぅ・・・・・・」


流石にこんなに大勢の勇者が召喚されることになるなんて想定はしていなかったようで、王様は白い顎鬚を撫でながら唸る。

勇者を呼べたのはいい事だが、これだけの人数の勇者をどうしたらいいのか決めかねているのか?


「陛下。勇者を大勢召喚してしまったことに困惑するのは分かりますが、勇者が大勢いて困る事は無いのでは? 少なくとも魔王を倒す戦力がこれほど揃った事などこの国が・・・いえ、世界が始まって初の事なのでは?」

「それはまぁ、そうじゃろうな」

「でじたら、元々勇者に施すはずだった訓練を皆にやって貰えればよいのではないでしょうか。大勢存在しても勇者は勇者、我々人類の目的は何も変わりはしないでしょう?」


側近の大臣っぽい人の言葉に、王様は「確かにそうじゃな」と頷く。


「まだ、君達がこの先どうするのかは、決めていないのであったな?」

「は、はい」

「いや、良いのだ。元々無理を言っている自覚はある。だが、此方も相応に急いているのは理解してほしい。出来れば勇者として戦ってほしいと思っているのは確かじゃがな・・・・・・」


王様は一度咳払いして場の空気を整え、「まず、君達が勇者として戦ってくれることを前提で話させてもらうが」と前置きして、今後の予定を語る。


「君達はおそらく戦いの素人なのであろう。じゃから戦えるように、訓練をして貰いたい」

「訓練、ですか・・・・・・」

「そうじゃ。この世界の事を学び、戦う為に武術や魔法を身に付けてもらう」


魔法。

やはりファンタジー世界に来たからには覚えなければならないだろう。

てか、覚えたい。

是非覚えたい。


「そのためにはまず、君達の適正職業を調べなければならん」

「適性・・・職業?」


瑞希ちゃんは勿論、俺達全員首を傾げた。


「勇者の称号を持つ者は全ての職業のスキルを身に付ける事が可能と聞くが、それでもやはり人間故なのか、得手不得手はあるようでな」


普通、自分の適正職業を調べて、その職業に就き、その職業のスキルを身に付けるものなのだそうだ。

例えば『職業:剣士』なら剣技に関するスキルを、『職業:魔導士』なら魔法を・・・といった風に。

勇者は職業外のスキルを覚える事も出来る事は出来るのだろうが、そのスキルを覚える必要なスキルポイントがヤバい位に高い為、まずそんな方法は普通は盗らないとの事。

ちなみにスキルポイントは、基本的にはレベルが上がると追加されて、そのポイントを割り振ってスキルを身に付けるらしい。

・・・・・・マジでゲームみたいだな。

流石にステータス値を割り振ったりは出来ないようだが・・・・・・。


「適性職業はこれで調べて貰う」


王様が言って、大臣が俺達にカードの様なものを配り始めた。

大きさや厚さはキャッシュカードやスーパーのポイントカード等と変わらないが、材質は何かしらの金属のようだ。


「それは冒険者登録などでも使われる個人情報(ステータス)を記すカードで、身分証明でもある。コレを君たち全員に配って置こう」


再発行は出来るが、出来るだけ失くさない様にとの事。

成程、異世界の身分証明か。

確かに、王様が身元を保証してくれても必要だろうな。

もし、仮に魔王とかが王様を殺したりなんてしちゃったりしてくれちゃったら、俺らの身元保証なんてしてくれる人がいなくなるかもしれないし、元の世界に帰る方法も分からない以上、しばらくこの世界で生きていくんだから、コレは持っておいた方がいいだろう。


「カードを数秒手に持つといい。そうすれば、君達の情報が書き込まれ、そのカードが君達の身分証明になる」


言われて、ずっと握っていたカードに目を落とすと、何時の間にかカードに文字が書かれていた。

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