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第0話 異世界転移で勇者な俺達のお話
「マジか」
目の前の光景に、顔が引き攣る。
俺の周りには担任とクラスメイト。
みんな戸惑った顔をしている。
それもそうだろう。
先程まで俺達は何の変哲もない教室の一室にいて、気が付けばこの場所だ。
少し視線を上げれば、石造りな部屋で豪奢な装飾のなされた室内と、如何にも王様と呼べる見た目をしたオッサンが値の張りそうな金銀宝石で彩る杖を構えて立っているのだから。
そしてその王様っぽいオッサンは、重い声でこう言った。
「勇者よ・・・い、いや、勇者達、か? と、とにかく、この世界を救ってくれ・・・・・・ない、か?」
威厳を保とうとしながらも既に手遅れ。
担任含めて総勢44人。
発言と様子から察するに勇者を召喚しようとしたみたいだが、召喚されたのは1人の勇者ではなく、43人もの学生と+教師。
そりゃ王様も困惑するだろうさ。