全ては夢から始まった3(改稿)
文章後半を少しいじりました。やっぱりエルフとかドワーフはそのまま書いた方がいいですね。変にオリジナリティを出そうとすると碌な事がないwww
自分がその昨日と同じ丘にに姿を現した時、最初に目にしたのは優雅に湯吞に口をつけているアネモネだった。ん・・・・湯呑?
「来たわね、待ってたわ」
そう言いながらアネモネは自分を迎えてくれた。その時の仕草に思わずドキッとしたのは内緒だ。・・・それはともかくとして
「こんばんわ・・・って何その湯呑?」
「真悟の知識を見せてもらったの。美味しいわね、かぶせ茶っていうんだっけ」
やられた。でも記憶なんて見られた覚えもないし、そんなそぶりもなかった気がするんだけど・・・
「いつ記憶を見たの?」
「帰り際にあなたに抱きついでしょ。その時にね」
あの時か。まさかそんな裏があったとは。という事は・・・
「一応聞くけど他にはどんな知識を見たの?」
「知りたい?」
「あんまり知りたくはないけど、知っておかないと後悔しそうな気がする」
笑顔で聞いてくるけど、ここで知っておかないと後でもっと苦労する気がする、主に精神的に・・・あれ、今は精神体か
「基本的には、真悟が今まで見てきた事の記憶ね、後は食べ物関係かしら。このお茶もそれから再現したの」
おおぅ・・・・なんてこった。神はいないのか・・・あ、目の前にいるのが神だった・・・本当にそれだけだろうな?
「見られたものは仕方ないけど、程々に頼みます。」
「善処するわ」
相変わらずイイ笑顔で・・・のっけからこんなので大丈夫か?
とりあえず話を進めよう。
「それで自分が任される予定の世界ってどうなったの?」
「その事ね、しっかり選んできたわ」
その言葉と共に一瞬で世界が暗転し二人の眼下に1つの地球型の惑星が現れた。映画やテレビでしか見た事のない光景が目の前に広がっている。自分は一言も発する事が出来ず、その光景に心を奪われた。
「これが真悟にお願いしたい惑星よ。特に名前はないわ。・・・・・ちょっと、聞いてる?」
「あぁ・・・うん、大丈夫。ちょっと心の整理ができるまで待ってほしいんだけど」
「ふふっ、仕方ないわね。落ち着いたら教えて」
改めて惑星を見下ろす、青い球体に白いグラデーションが不規則にかかっている。テレビや映画で何度となく見たことのある光景だ。自分の本体が眠りに就いている地球と同じタイプの惑星。数えきれない生物が生きているんだろう。
綺麗だ
・・・この光景をを適切に表現できる言葉を他に持ち合わせていない自分を悲しく思った。そして、これから自分が、自分の意思でその生命に介入する事になると考えた時どうしようもない恐怖を感じた。
最初に記憶の封印を頼んでおいてよかった。この先何をやるかは分からないけど、人の生死に関わったりしたら間違いなく心が壊れる。よくよく考えると、今こうして平静を保つ事が出来ているのも、意図は分からないけどアネモネが守ってくれているからなのだろう。
「アネモネ・・・・・・ありがとう」
アネモネの方を向いて感謝の言葉を口にした。彼女は一瞬驚いた様子だったが、直ぐにいつもの笑みを浮かべると
「私は何もしてないわよ?」
なんて返してきた。その表情で返されたら、もう何も言えないだろう。
全く・・・これがアネモネという女性の器なのか、それとも神と言う存在の器なのか・・・・考えても仕方ないか。今はただ感謝しよう。
しばらく惑星を見つめていると、次第に思考が戻ってきた。もう大丈夫だ、話をしよう。
「ごめん、もう大丈夫だから詳しい事を教えて」
アネモネは自分の表情を確認すると真面目な表情で説明を始めた。
「なら始めるわね。惑星としての大きさは地球より少し大きい程度、重力は約1.1倍、1日が27時間で1年が370日。ここまでは大丈夫?」
「うん、問題ない。」
ここでアネモネは惑星の平面地図を空間に映し出した。地図には上下に白く描かれた大陸と、地図の両端から少し内側に縦に二つずつ大陸が描かれている。これだけ見るとSFだな。それはともかく、描かれている大陸の配置からして球体にすると大陸が直線上に連なっている感じかな。一応いくつか聞いてみるか。
「ちょっと質問だけど、この地図の配置だと一直線に連なってる?」
「そうね。その認識で間違いないわ」
「オーケー、把握した。それで大陸に名前とかあるの?」
「あるわよ。北極大陸から時計回りにエレニシア、ガルバザー、ジェレニーナ、イレニシア、ザガーニ、アルグリフって名前が付いているわ」
なるほど。
エレニシア
アルグリフ ガルバザー
ザガーニ ジェレニーナ
イレニシア
配置としてはこんな感じ。アルグリフ大陸とザガーニ大陸は繋がっているけど、他の大陸は全部独立している。その他に諸島のような島の集まりがいくつかあるけど、今は重要じゃない。
「続けるわね。大陸はこの6つ、地球と違うのは南極と北極に大陸がある事。因みにこの2つの大陸に人類を含めた人間型の生物は存在しないわ」
「それ以外の生物はいるという事?」
「そういう事。しかも両方とも強力な魔獣の巣窟になってるから、仮に人類があの地に辿り着いて都市を築くのは現状では不可能でしょうね」
という事は南極、北極大陸は基本無視していい訳だ。これは大分楽になったかな
「なるほど。残りの4大陸の生物の分布はどうなってるの?」
「気候によって大体分かれているわね。先ず地球でいう赤道付近は植生が濃くて主に獣人と呼ばれる種族が多いわ。種類は様々、魔術も使えるけど基本的には肉弾戦が得意。もっと詳しい事はその時にね」
確かに赤道付近は緑が濃い。正に密林地帯・・・・と言いたいんだが、アルグリフ大陸の一部とザガーニ大陸の1/4程が砂漠化している所がある。山脈で砂漠地帯が堰き止められてる感じがるんだけど・・・なんだあれ?
「獣人については分かったけど、あの砂漠化している所は?」
「まぁ・・・ちょっとね・・・・」
そう聞くとアネモネは苦笑い・・・・・おい神様何やった?
「さぁ、説明を続けるわよ!」
あ、ごまかした。追及から逃げたな。その時が来たら絶対聞いてやる。
「獣人についてはこんな所。次はエルフね。この種族も基本的に森林地帯に住んでるわ。獣人とはテリトリーの被っている所もあるから交流も盛んね」
「やっぱり弓と魔術が得意なの?」
「基本的にはそう。だけど獣人と付き合いがあるから、人によっては体術も得意よ」
「それってチート?」
「そういうのは本当に限られた・・・それこそ変わり者って言われる部類とかね」
「それを聞いて安心した。そうそう、ダークエルフみたいなのはいるの?」
「そういうのはいないわ。エルフはどの精霊の祝福を強く受けているかが体のどこかに色で出るの。体のどこに出るかは分からないから、肌に出る場合もあるし髪に出る場合もあるの。基本的には白い肌に金か銀色の髪よ」
そうか、ダークエルフはいないのか・・・しかしエルフがチートの世界かと思ってしまった。
「次はドワーフね。鍛冶とか含めて手先が器用だから鉱山周辺に多いわね」
「その辺りはテンプレなんだ」
「そうね。でも違うところもあるわよ。地球じゃエルフとドワーフは仲が悪いって言われてるけど、ここではそんな事はないわ。そもそも生活圏が殆ど被らないのもあるけれど互いを認めているから、喧嘩をするにしても種族が嫌いだからって事は無いわね」
「やっぱり酒は好きなの?」
「それはもう。でも耳長族でも酒好きはいるから」
エルフとドワーフが笑いながら酒を飲むとか、混じりてぇ・・・・直ぐに潰れると思うけど。