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変異や移植で実験を  作者: 藤雪リド
No.1 ファイル名「目覚め」
8/28

No.07

ダリアが特訓を始めて6年と少しが経った。


「あと数日でこの離れを出ていくのか、寂しいな」


ダリアは幼少の時、10歳になると屋敷を出ていくのだ。


「この9年間あっという間だったな〜、見慣れた風景がなくなるのか…」



ガシャン!!!!!


突然何かが割れる音がした。ダリアは音がした方へ向かう。メアリーが倒れていた。


「メアリー!!大丈夫か!?」


「はい...すみません、ダリア様お皿を割ってしまいました。今片付けます。」


「もういい、今は休んで」


「ですが...」


「休んでちょうだい!」


「はい...」


ダリアが屋敷を出ると同時にメアリーの死期が迫っていた。メアリーは歩くのもおっくうな状態であったが、それでも家事をしていた。

メアリーが言った後、ダリアはなにか考え事をしていた。


「メアリーの死期が迫っている、どうしたら治せる。神殿の『神官』を呼びに治してもらうか?だが、街に、呪いを治せる『神官』はいない。王都なら!いや、時間が足りない。どうすれば…」


ダリアが考えていると、ある本が目についた。それは魔大百科事典だ。ダリアは吸い寄せられるように本に近づき開いた。開いたページは魔物に関するところ。そして、光属性の魔物が載っているところに指を這わせた。それはまるで獲物を追うヘビのように。そのヘビは止まった、ある魔物の説明のところで。


「この魔物だ!これなら治せる!!」


その魔物はエクソシスムタートルだ。この魔物は闇祓いの力を持ち、その血はあらゆる呪いを祓うと言われている。


「この魔物は一体どこに!?これは!!!!!」


エクソシスムタートルの生息地は『天の花畑』だ。『天の花畑』とはスカイホエールという世界に一体の魔物の背中にあるものだ。その大きさは一国に匹敵されると言われ、その背中にいる魔物は全て光属性である。だが、スカイホエールは世界を回っているため、いつどこにいるかわからない。ダリアが落胆したのもそのせいだ。


「ここにはいない、エクソシスムタートルにしか頼れないのに...いや、召喚魔法を使えば!!」


召喚魔法とはその名の通り魔物、武器を召喚する魔法だ。だが、莫大な魔力を必要とし足りなければ生命力も使うという。ダリアにはその莫大な魔力があるから大丈夫であった。そして召喚されるものはランダムである。今、ダリアが頼れるのはこれしかなかった。

ダリアは召喚魔法のページを開いた。そして外にでて詠唱を唱え始めた。


『この次元に存在する神よ、我の魂の叫びを聞き入れ望むものを与えよ...召喚サモン!』


ダリアが魔法を行使すると何も無い空間から地面と水平の魔法陣が現れ、目が潰れるほどの輝きを放った。


「成功した!エクソシスムタートルは!?」


輝きが収まり魔法陣のあった場所を見ると1輪のギボウシがさいていた。ダリアはそれを見て膝をついた。


「なんでのよぉぉぉ、なんでただの花なのよぉぉぉぉ」


(ただの花とは何事だ!!わしをそこら辺の花と一緒するな!!)


ダリアが泣いていると頭の中に渋い声が響いた。


「だ、誰よ!!いるなら出て来なさい!!」


(おヌシの目の前がいるのではないか!おヌシの目はどこについておる!!)


今、目の前にあるのは花だけだ。


「もしかしてこの花?」


(この花ではない、ちゃんと名がある。)


「やっぱりこの花だぁぁぁ!」


(だからこの花ではないと言うておろうに。)


「じゃあなんていうのよ!」


(カオスじゃ!!エボリの最終進化のカオスじゃ!)


「わかった、カオスは呪いを治すことはできる?」


(わしにそんな能力はない!もっとすごい能力がついておる)


「なに、それは?」


(他者を変異させるのじゃ。魔物なら変異種に、人、エルフ、ドワーフであったら違う種族に。まぁ種族変異であったらどんな風になるかはわからんが)


「そしたら呪いを治せる?」


(種族変異したいのか?まぁ、できるが...確率は低い。エルフに変異し精霊魔法を使うかだな)


「じゃあ種族変異する、やって」


(そう慌てるな、1回限りじゃぞ。元の種族には戻れんからな)


「わかった、早くやって」


(行くぞ、ハアアアア!!)


カオスが力を込めると地中から植物の根が出てきてダリアを繭のように包み込んだ。そして数分が経つと包み込んだ繭は枯れて中から、姿の変わらないダリアがいた。


「どう、エルフになった?」


(.......いや、なっておらん。姿が変わっておらんので悪魔であろう。能力を鑑定してやろう)


ダリアはエルフではないことを聞いて落胆した。


(む、これは!!喜べ、呪いは戻せるぞ!!)


落ち込んでいたダリアはそれを聞いて顔をあげた。


「呪いを治すんじゃなくて戻すの?」


(あぁそうじゃ。おヌシが変異したのは悪魔、それも数百年見つかっておらんジョーカー種じゃ。)


「ジョーカー種?なにそれ?」


(ジョーカー種とは他の悪魔、スペード種、クラブ種、ハート種、ダイヤ種のどれでもない悪魔の事じゃ。ジョーカー種は生まれながらに3つの能力があり、その能力は今存在している能力から選ばれる。今おヌシが持っている能力は人間だった時の植物魔法、そしてジョーカーになって手に入れた能力の『適応』、『老化操作』、『時空間魔法』の3つじゃ)


「それのどうやったら呪いを戻せるの?」


(時空間魔法は時間と空間を操れるから、その呪いがつく前の体に戻せばいい。だが魔力の消費が...あぁオヌシは魔力がクソほどあるから大丈夫であろう)


「そっか、じゃあメアリーのところに行ってくるね。」


(いや、少し待て。ワシも行くから、茎を切っておヌシの髪につけておけ)


「わかった」

ダリアはカオスを髪につけてからメアリーの部屋まで行った。その足取りは軽かった。




いつもより長めです。

メインタイトルの片方を回収しましたね。

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