No.05
〜1年後〜
ダリアが離れに移ってから一年が過ぎた。もう会話ができるようになり歩けるようにもなった。
そして今ダリアは窮地に陥っている。
「ダリア様は将来、何をしたいですか?」
(何がしたいかってそれは仕事がしたいけど、こっちじゃ資材がないからね。せめて顕微鏡があれば…けど、いろんなものが見たいなー。)
「あたしはせかいがみたい。いろんなものをいっぱいしりたい」
それを聞いてメアリーの眉が少し動いた。この1年間で驚くことに耐性を得たのだ。
「そうですか、なら冒険者になるのが一番ですね。来るものを拒まず、強いものなら歓迎されるところですから。」
(へぇ、そんなものがあるんだ。それが一番良さそうね)
「それになりたい、ぼうけんしゃになりたい。だから戦い方をおしえて」
それを聞いてメアリーは目を限界まで見開いた。これはメアリーが聞いてきた中で驚愕に値することである。
「そ、そうですか…ですが、私は冒険者ではありませんので」
「うそついたらだめ。ほかのめいどが言ってた。「あの人は元Aランク冒険者なのよ」って」
それを聞いてメアリーは観念したようだ。
「はい、私はつい数年前までは冒険者でした。ですが呪いを受けてしまったのでやめました。死ぬのは数年先ですが…やめたある時、先代の旦那様に「屋敷で働かないか?」っと言われ今にいたるわけです。」
それを聞いてダリアは納得した。普段から明るそうに振舞っていたが時々、顔が曇ることがあったからだ。
「そうだったの...そののろいは?」
「それは...受けてから15年目丁度に死ぬ呪いです。このままだと、ダリア様のご出発の10歳ぐらいまでですね」
それを聞いてダリアは驚いた。呪いは本人に少しだけ害となるぐらいしかないからだ。その呪いをつけることが出来るのは上位のアンデッドか魔族の『邪魔法』しかないからだ。
「そののろいはとれるの?」
「いいえ、とれません。見てもらいましたが不可能だと...ですが、今動く分には大丈夫なので戦い方を教えることはできますよ」
「そう、ありがと。ぶきはなにをつかうの?」
「糸です」
「は?もういっかいいって」
「糸です」
ダリアはそれを聞いて間の抜けた声を出した。メアリーはそれを見て笑った。
「やっと驚かすことができましたね。ずっと驚かされてばっかりでしたから。」
「あ、はい」
ダリアは糸という武器に衝撃を受けて話の内容を聞かずに承諾してしまった。
「それならば、この私も頑張りますよ!最初は体力作りからです」
そうしてダリアの特訓が始まったのであった。
メアリーに呪いがかかっているなんて思いもよらなかったですね〜。No.10までには自立したいですね