No.23
ダリアはメンレルウルフが生息する草原に来ていた。第三都市と同じ領地の農業都市を繋ぐ街道がその草原を貫くように出来ている。
「よし、メンレルウルフを探しますか」
(ここは遮蔽物がないから真実眼と拡大眼でいいじゃろ)
「真実眼はなんで使うの?」
(真実眼は生き物のオーラを見ることが出来るから見落とさないんじゃよ)
「なるほど、じゃあどちらも使うわ」
ダリアが拡大眼と真実眼を使って探すこと3分、メンレルウルフを見つけた。
メンレルウルフは3匹から5匹の群れでいつも行動している。1匹だとEランクになるが群れとなるとDランクへと変わる。そして今回は毛皮の納品なのであまり傷つけずに討伐し剥ぎ取らなければならない。それを考慮しCランクとなっている。ちなみにその毛皮は防寒着して着てもよし、防具の素材と使ってもよし、敷物にするのもよし、と凡庸性に優れている。
ダリアが見つけたのは3匹の群れだ。ダリアはその群れに向かって身体強化を使って走る。
身体強化は使う部位を中心に魔力を流すとその部位が強化される。だが、これは人間が無意識にセーブしている力を使うことで身体を強化する。魔力を流す量によってどれだけセーブされてる力を使うか決まるのだ。これを使う条件は魔通管が太いこと、魔力があること、そして体を鍛えていることだ。魔通管が太いことと魔力があることは身体強化に魔力を使うためだ。体を鍛えているということは、身体強化を使う時に体を壊さないためだ。魔力というものを熱湯と例えると、鍛えていない体は薄い粘土で作られた器だ。薄い粘土で作られた器に熱湯を入れると器は壊れる。それは体を壊すということだ。だからその器を割れないようにするには体を鍛えることに繋がる。だから条件に体を鍛えていることがあるのだ。
ダリアがメンレルウルフに向かって走っているとカオスが話しかけてきた。
(オヌシの武器は糸じゃがこの草原でどうやって戦うのじゃ?糸を引っ掛けるにしてもその引っ掛けるものがないからの~)
「それはお楽しみよ。ルブ、トル、アル、ちゃんと捕まっててね」
「「「キュルルルーーーン!」」」
ダリアはルブ達の声を聞くと微笑み、走る速度を上げた。今、ダリアが出している速度は結構なもので、身体強化を使う人から見れば次の日は筋肉痛になると思うものであった。
メンレルウルフまで残り20mとなった。ウルフたちもダリアに気が付き威嚇の声を上げた。だがダリアは気にせずにウルフに向かった。すると1匹が「ヴァン!」と鳴いた。すると他の2匹は散ってダリアを囲むように走った。ダリアは2匹のうち1匹の方に走った。
「舞踏流、一の蹴り『破断』」
ダリアがそう言うと花びらが舞うように動き、ウルフの首に向けて蹴りを放った。ウルフはその動きについていけず首にそれが当たった。すると首がが爆ぜ頭こ胴が離れた。
仲間の首が飛んだことにより他の2匹は立ち止まった。ダリアがそれを見逃さず吠えたウルフに向かった。
「二の蹴り『刺蹴』」
今度の突き刺すような蹴りだった。吠えたウルフはその場で後ろに跳び避けたが、風圧により体勢を崩した。ダリアは追い打ちをかけるようにへ走り、ウルフの横っ腹に『刺蹴』を放った。体勢を崩したウルフは避けることが出来ずにくらい、絶命した。
仲間のウルフを殺されたウルフは脇目もふらず逃げ出した。だが、それを逃すダリアではない。ダリアは逃げ出したウルフより早い速度で走って追いつきローキックを放った。逃げることしか考えてなかったウルフに避けることは出来ず、蹴られ吹っ飛ばされた。ダリアはローキックを放った後、高く跳び言った。
「三の蹴り『天落』」
ダリアは最後のウルフに踵落としを放った。踵落としを食らったウルフの頭は砕かれ脳髄が飛び散った。足は血濡れ、顔にも血がかかっているがそれがより一層ダリアの美しさに箔をかけた。
(オヌシ、今起こったことの説明を頼む)
カオスはダリアがここまで動けるとは思っていなかったのでほうけていた。
銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚とします。