No.01
2019年7月31日修正
〜1年後〜
私はメアリー、ゲイル・フォン・ランディス侯爵家のメイドをしております。
今日はランディス侯爵家の三女の『授かりの儀式』があります。『授かりの儀式』とは神からジョブと得意属性を、生母から名前を授かる儀式のことです
私は懐から懐中時計を取り出し時間を確認する。あと15分で儀式の時間ですね。三女の御生母であるキャシー様をお連れしなければ。私はそう思ってキャシー様の部屋まで行く
コンコン
「キャシー様、間も無くお時間となります。御用意をお願いいたします」
「あら、もうそんな時間かしら?じゃあ行くわよ、私の可愛い子」
「あい〜」
キャシー様を連れて応接室に行くと、既に旦那様が脂肪が詰まった腹を揺らしてソファに座っておりました。旦那様はキャシー様を見ると不快そうに眉を寄せて言った
「遅いぞぉキャシー。旦那である私を待たせるとはいいご身分だなぁ」
「ごめんなさいゲイル、このメイドが私を呼ぶのが遅かったから遅れたの」
「そうキャシーは言っているが本当かぁ?まあ良い、神官よ儀式を始めてくれ」
旦那様の後ろで待機していた白い法衣を着た男が杖を持ってお嬢様の前に来ました
「では、お嬢様の手を拝借します」
「うい〜」
お嬢様は何も分からず可愛らしい声を出しながら神官に手を伸ばす。見慣れない人に興味があるようです。やはりお嬢様は可愛い
神官は伸ばされたお嬢様の手を取り、反対の手に持った杖を振り上げて詠唱する。すると杖から幾何学の文字列が出てきてお嬢様とお嬢様を抱いているキャシー様を囲みこむ
キャシー様はそれを気にすることなく抱いたお嬢様を見つめて言葉を紡ぐ
『我はこの子を名付ける。我が子の名前はダリア』
そう言うとお嬢様達を囲んでいた文字列から『ダリア』という言葉が飛び出してお嬢様の中に吸い込まれていった。
「名付けの儀式終わりました。では次にジョブと得意魔術を我等が神から授けられるので少量の髪の髪の毛を」
そう言ってハサミを取り出して髪を少し切り杖の上に振りかけた