No.15
血の匂いに誘われてインペトゥスラーナが出てきた。インペトゥスラーナはダリアに向かって跳んできた。
ダリアは焦らず避けた。そして近くの木に触れ魔法を使った。ダリアがイメージしたのは木の根がインペトゥスラーナを拘束するというものだ。触れた木の根は生き物のように動きインペトゥスラーナに向かって行った。インペトゥスラーナは着地してから小刻みに跳び、木の根を回避していった。
「ぴょんぴょんと避けないでよ!」
ダリアは魔法を使いながらインペトゥスラーナの進路上に糸を放った。インペトゥスラーナは見事糸に引っかかり体勢を崩した。木の根は「今だ!」と言わんばかりに巻き付き、絞め殺した。
「ふう、手こずっちゃった」
(あまり場数を踏んでないのにも関わらずあそこまで出来るとは大したものじゃ)
「それはよかった」
(早く剥ぎ取って次の魔物を行こうぞ)
「わかったわ」
ダリアはインペトゥスラーナに近づき剥ぎ取った。
(まだたくさん時間があるからもっと狩っていいよね?)
(よいぞ)
ダリアはゴブリンとインペトゥスラーナを植物魔法と糸を使って殺し続けた。後日、首が切断された死体と身体中の骨をおられた死体が多数見つかった。
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「いっぱい狩ったわね」
(そうじゃのう、およ?あっちのほうになにか影が)
カオスは奥の森になにか見えたようだ。
「本当?なら見てみるわね」
ダリアは透視眼と拡大眼を使って見た。
「ねえカオス。ゴブリンによく似た生き物とインペトゥスラーナによく似た魔物が争っているんだけど」
(それは上位種じゃよ、縄張り争いかなんかじゃろう)
「狩ってもいいんだよね?」
(いいぞ、だが勝てないと思ったら逃げるんじゃよ)
「わかったわ」
ダリアはゴブリンの上位種とインペトゥスラーナの上位種へ向かっていった。
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ゴブリンとインペトゥスラーナが争っているすぐ近くまで来た。どちらもいつ倒れてもおかしくなかった。
両者、息を整えた。ゴブリンの上位種は棍棒を持ち直し、インペトゥスラーナの上位種は足に力を込めた。風が吹き、一枚の木の葉が木から舞落ちる。木の葉が地面に落ちるとインペトゥスラーナの上位種は勢いよく跳んだ。目指すはゴブリンの上位種。対するゴブリンの上位種は正眼に構え迎え撃とうとした。刹那、ゴブリンの上位種の首が落ちた。まだインペトゥスラーナの上位種は届いていない。インペトゥスラーナの上位種が着地すると木の根が伸び、腹を貫いた。両者が倒れた場所に1人の冒険者が現れた。
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「よし、これぞ漁夫の利!」
(面白いように上手くいったの)
上位種達にとどめを刺したのはダリアだった。ゴブリンの上位種には糸で、インペトゥスラーナの上位種には木の根と···
「でも、結局なんで争っていたんだろうね」
(多分、あれが原因だろうな)
カオスが木のうろを指した。そこにはオレンジサイズのゼリー状の物体があった。それは白、黒、赤と色がついていた。
(Fランクのスライムじゃよ。魔物からすればスライムの核は美味しいからの)
そのスライムと呼ばれるものは木のうろでブルブル震えていた。
「可哀相ね、助けてあげないと」
(本音は?)
(研究サンプルにするのよ!あのゼリー状の物がなんなのか知りたいのよ)
ダリアはそんな本音を声に出さずスライムに近づいた。
「あなた達、大丈夫?何処か怪我していない?」
ダリアがスライムへ向けた微笑みはさながら慈母神のようだった。先程まで捕食者に狙われたスライムにとっては慈母神と同じだった。ダリアはスライムに手を伸ばした。スライムは伸ばされた手に乗った。
(懐いたようじゃの、なら契約じゃな)
(契約とかあるの?)
(あるぞ、と言っても魔物に血を飲まして名前をつけ従魔にするだけじゃが)
(わかったわ)
ダリアは手に乗ったスライムに言った。
「ねえ、あなた達。私の従魔にならない?ご飯もちゃんと出すわよ?」
スライム達は集まって話し合う素振りを見せるとこっちを向いて(?)「キュー!!」と叫んだ。
(了承したみたいじゃな)
「わかるの?」
(儂も魔物じゃからな)
「じゃあ名前をつけないとね、何にしよっかな」
(種族名は赤、白、黒の順にルブルムスライム、アートルムスライム、アルブムスライムじゃよ)
「ならルブ、トル、アルね。早速契約しましょ!」
ダリアは亜空間からナイフを取り出し、手のひらを切った。それを見たスライムは慌てるが「大丈夫」と言って落ち着かせた。
ダリアはルブ達に血を垂らし名をつけた。するとゼリーみたいな物に刻印が現れた。
(出来たようじゃの、魂レベルで繋がったから捨てられんぞ)
「捨てないよ!重要な研究サン、ゲフンゲフン、私の従魔なんだから」
(今サンプルって)
「言ってない!」
(わかったわい、てか早く剥ぎ取りせんとまた寄ってくるぞ)
「あれは剥ぎ取らないわ、あのまま持って帰る」
(そうかい)
ダリアはゴブリンの上位種とインペトゥスラーナの上位種を亜空間に閉まった。
「そろそろ時間ね、戻りましょうか。ルブ、トル、アル乗って」
地面に降りていたルブ達を乗せて集合場所に行った。
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ギリギリ集合時間に間に合った。こっちに気づいたダゼルはルブ達を見て武器に手をかけた。
「お前!なに魔物を持ってきてんだ!」
「いや、従魔にしたんですが」
「そんなもの簡単にいくわけがないだろう!第一に刻印が········ついてる?」
「ついてますよ?」
「あ、ああ。ついてるな。情けない所を見せてしまった、すまない」
「わかってくれたならいいです。じゃあ帰りましょ」
「そうだな」
ダリアとダゼルは第三都市へと帰っていった。
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門番や通り過ぎる人にギョッとされたが気にせずにギルドに行った。
ダリアを見た冒険者達は見惚れずにルブ達を見て武器を構えた。それを見たダゼルは慌てて間に入った。
「お、おい待ってくれ!このスライムはダリアの従魔だから!」
「だりあ?その美女の名前か?」
ダリアの名前を出した途端、武器を収め「ダリア、ダリア」となにか相談し始めた。
「今のうちに討伐証明部位を出してきな」
ダゼルに言われ、受付に行った。またカードを更新した人だった。
「討伐証明部位を出していいですか?」
「沢山ありますか?」
「はい、たくさんあります」
「なら、こちらに来てください」
ダリアは職員に案内されて倉庫みたいな所に来た。そこにはナイフを手入れしているおじさんがいた。
「レムソンさーん、少し場所使っていいですか?」
「おう、いいぞ」
レムソンと言われたおじさんは心地よく了承した。
「ここなら思う存分出していいですよ」
「わかりました」
ダリア思う存分出していいと言われたので討伐証明部位を全部出した。
「なんこれ?一体どれだけ狩って来たのですか?」
ゴブリンの角とインペトゥスラーナの舌を全て出すとダリアの身長より大きくなった。そして最後にインペトゥスラーナの上位種とゴブリンの上位種の死体も出した。
「ゴブリンの上位種とインペトゥスラーナの上位種まで!?新人冒険者が1人でここまでとは···」
「これで全部です」
討伐証明部位の量に驚いてブツブツ言っていた職員はダリアの声で元に戻った。
「わ、わかりました。この量だとすぐには終わりませんので、また明日来てください」
「わかりました、ではさようなら」
ダリアが去った後「レムソンさ~ん、手伝ってくださ~い!」と言う声が聞こえたが無視した。
酒場に行くとダゼルが他の冒険者と『おはなし』していたので声をかけずギルドを出た。
(今日も色んなことがあったの~)
(ほんとにね)
「「「キュッキュ!」」」
(いい子達ね)
(そうじゃのう)
ダリアは宿に帰るとイコウに理由を話して夕食を3人分増やした。夕食を食べてから部屋に戻り『洗浄』を使ってからルブ達と眠りについた。
仲間が増えましたね。長めです!
糸を放ったとありますが、それは糸の先端に分銅代わりの蔓の種子 (クルミサイズ)が木に巻き付いた。それにインペトゥスラーナが引っかかったとなります。




