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歯磨き粉

作者: 玲央

【歯磨き粉】


朝、目が覚めて

学校に行くのが面倒だとか

今日は雨が降りそうだとか

考えるより先に目に入る

君の、寝顔。

「おはよう」と挨拶をし

キスをしようとすると

君はすばやく顔の前に

両手で大きくバツを作り

だめ!と呟く。

朝、口の中は一番菌が多いんだよ!

君はそう言うと

起き上がり俺の手をとり

「わっ」

すたすたと歩き出す。

朝から元気だな。なんて思いながら

はい!と渡された歯ブラシ片手に

ニ人ならんで歯を磨く。

口の中を水で流しだし

んっと君は小さく背伸びをし

俺の唇に君の唇を軽く重ねた。

少し恥ずかしそうに上目遣いで

…どう?なんて言う君に

俺は率直に感想を述べた。

「…歯磨き粉の味がする」

俺のそんな返答に君は

あはは!と声をあげて、笑った。

朝、目が覚めて

仕事に行くのが面倒だとか

今日は雪が降りそうだとか

考えるより先に目に入る

近づいてくる女の顔。

おはよう。と挨拶をし

俺の唇を塞ぐ女。

ご飯できてるよ、と言い

俺の手をとり歩き出す。

正面を向いて座りあい

頭の中を埋めるのは

朝から元気だな。とか

今日のご飯はなんだろう。とかじゃなく

君の歯磨き粉味のキスは

「…もう他の人のものになっちゃったのかな」

なんて、水では流せない想い。


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