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みえこま〜見えないはずの物が見えて困ってます〜  作者: ぽて
第2章 夏はスリルとサスペンス

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11 交渉決裂



『……だとしても、この理想郷を真に成立させるためにはあちら側へ行かねばならん。今更取りやめるなど出来ぬ!』


 絞り出すような声で苦渋の末に出された結論なのだとハッキリわかった。この人はこの人なりに村の人たちの事を想って行動しているのだと。人じゃないけどね。


 ……うーん、なーんか戦いづらいなぁ。


「交渉は決裂。……ならやる事は一つだな」


 僕とは裏腹にめっちゃやる気な知彦くん。ていうか、え? つーか知彦くん手ぶらでも戦闘できるの!?


「俺は元々後方支援型ですよ、氷上先輩」

「……つまり、僕に行けと!?」


 先輩使いが荒すぎないかなぁ! いや、まあこうなった以上戦うけどさあ!!

まずは立ち上がって土蜘蛛さんから距離を取る。無いとは思うけど不意打ちされたら、たまった物じゃ無いからね。知彦くんも僕に習うかのように距離を取った。


「流石に氷上先輩だけに仕事させる訳にも行かないですから、とっておきを出しますよ」


 そう言うと彼は手で印のような物を組んだ。


「――来い、四鬼」


 ふわりと彼を覆うように風が舞う。かと思えば彼を囲うように現れた大小四つの影。


「一番槍はオレッチに任せるっすよぉ~」


 そんなやたらめったら明るい声が聞こえた直後、四つの影のうち一つが空に舞い上がった。その大きさは人の頭二つ分くらいだろうか。四つの足とちょこんと生えた一本のしっぽ。動物っぽい。


 『それ』から何かが放たれたと気付いたのは、土蜘蛛さんが土煙に覆われた後だった。


『――クッ、式神使いか!』

「――その通り。先輩、今です!」


 って、えええええ!? いきなり言われてもぉぉぉ!?


「やるしかないんですけどねぇぇ!?」

『なんの!』


 戸惑いながらも放った一撃は軽く受け止められてしまった。とっさの事だったので踏み込みの甘い一撃になってしまったのが敗因だ。じーちゃんがこれ見てたら「修行が足らん!」とか言われて特別特訓メニューが増えるやつだこれ!


 で、ヤバいのは相手に腕取られちゃってる事。マッスルは伊達では無いようです。動けない。


「炎鬼!」


 知彦くんの声で、もう一つの影が動いた。これも先ほどの影と同じくらいの大きさと形。


「――御意」


 同時に土蜘蛛さんのめがけて炎の玉がいくつも放たれた。腕をつかんだ手の力が弱まったので、とっさに拘束から抜け出す。炎の玉は直撃しなかったようだ。たぶん牽制だったのだろう。本気の攻撃だったなら、至近距離にいた僕にも当たってただろうし。


 その間も知彦くんの進撃は止まらない。


「水鬼、金鬼!」


 彼の背後に控えていた残りの2つの影が動いた。女性のようなしなやかな影が腕を上げたと思えば、土蜘蛛さんを包むように水の柱が。しかし――


『――フンッ!!』


 水の柱を気合い一つで木っ端みじんにする土蜘蛛さん。飛び散る水しぶき。……パワフル過ぎるでしょー村長さんってばー。そんな僕の思いなど意に介さず、ラスト一体の影が土蜘蛛さんに飛びついた。なんかガッションガッションとメカメカしい音を立てつつ。


「ピガガガガガガガッ」

『グゥゥゥッ!』


 声――というか警告音っぽいのが鳴ったと思った瞬間に土蜘蛛さんに走る電流! これには流石の土蜘蛛さんもダメージあるでしょ!


 果たして電撃が収まった後には、シュウシュウと煙を上げる土蜘蛛さんが仁王立ちしていた。


『――クックック。四柱同時使役とは若いのに中々やりおる!』


 台詞だけ聞くとなんか更にやる気をあおっただけみたいな気がする。ただ、村長に戦闘狂って属性は必要ないと思うんですけどー……?


「……ことごとく防いでおいてそのセリフは嫌味にしか聞こえないが」

『いやいや、最後の雷撃は効いたとも!』


 なんか二人だけの世界に入ってて僕いらない子みたいになってるんですけど、どうすれば?



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