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みえこま〜見えないはずの物が見えて困ってます〜  作者: ぽて
第2章 夏はスリルとサスペンス

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3 台無しみすてりー



 さて、とんでもない事になってしまいました。マジモンの殺人事件ですじーちゃん。しかも密室トリック。推理小説では定番ですね!

 被害者は死亡フラグ乱立させてたお兄さんである。ムチャシヤガッテ……。そして外傷は特に無いように見えたので−−不可抗力で見ちゃったんだよ!−−毒殺かと。

 折しも台風大接近中だそうです。だんだんと強くなってきている雨と風。……これ、全滅フラグじゃないよね? なんか管理人さんがケーサツに連絡つかないとか言ってるのが聞こえてくるんですけどー。あと外に様子見に行った家族連れのパパさんが、外の車のタイヤがことごとくパンクしてるとか言ってるんですけどー?


 はいはい、テンプレ乙。少年探偵とか居ないのにこれはキツイんじゃない? ……いたらいたで死亡フラグ回避の難易度上がってた気もするけど。だってアレでしょ? モノによってはみんな仲良く爆散エンドとかあるんでしょ? 「何もかもを道連れに!」的なやつ。


「……葉狩さん、もしや僕らは結構ピンチなのではないだろうか?」

「ですね。……まさか人の悪意がここまで恐ろしいものとは思いもしませんでした」


 −−おや? 意外な意見。普段、僕らが相手にしてるものの幾らかは、人の情動の一部が原因で発生してるっぽいなーとか思ってた−−鬼さんズとかね!−−んだけど……。葉狩さん的にはそうは考えて無かったって事なんだろか。


「……この状況で僕らに出来る事って何かあるかなぁ?」

「それなら、もしかすると−−」


 葉狩さんは何か心当たりがあるようで、ポンっと手を叩いてシィへと視線を向けた。





『えっとねー、被害者さんが言うには……「五年前に犯人の恋人が亡くなった件で恨まれているのかもしれない」だって』


 −−という訳で唐突に始まりました、ザ・イタコたーいむ!


 シィさんに被害者部屋へと向かってもらい、被害者本人(霊体)を連れてきて問答するという無茶振り企画ダヨー。


「……ミステリー業界こわい」

「……まぁ、やった方は直ぐに忘れるけれど、やられた方はいつまでも忘れない。と、言いますから……」


 つまり、コノウラミハラサデオクベキカですね!


 いや、葉狩さんの言うこともわかるけど……解りたくないなぁ、その気持ち。それにしてもスピード解決すぎる。犯人さんと今後どんな顔をして会えばいいのかわからない。

 だって連絡交通手段全部潰して陸の孤島にした上で、密室トリック実行して完全犯罪する気満々だったのに、こんなオチで良いのかっていうね……?


 ミステリーに全力でケンカ売ってるよ僕ら。まさか被害者から直接、犯人の名前聞くとかさ。まぁ、見えないものが見える者の特権というか……。ちなみに今回は、犯行からそう時間が経っていない事が成功要因だそうです。時間が経つと、怪異化するか地縛霊にでもならない限り消えてしまうらしい。


「ところで葉狩さん。これ、どう収集つけるの……?」

「取り敢えず……様子見てみます?」

「いやいや、次の犠牲者生まれちゃうよね、それ!?」


 どうもまだ犯人さんのターゲットが残っているそうで。このままだと確実に第二の事件が起きてしまう。


 そして最終的に犯人が逃げ切る方法は二つしか無いと思う。自殺するか全滅させるか、だ。ただ、前者だと陸の孤島にする意味がわからないから、たぶん後者。……なんかね、空気感がね、かねだいち少年っぽいんだよね。やっぱこれ『あいつを殺して、ついでにみんな殺す』パターンや。このままだと、みんなまとめて爆散エンドですよ!


 ウカウカしていると僕らも被害者になってしまう!


『ヨシトなら普通に制圧できる気がするけどナー』


 そりゃ人間相手ならそうそう遅れを取るつもり無いけど、あくまでも正面から来られた時だけだよ? こんなトコで完全犯罪しようって人なんだから、毒薬とか爆薬とか用意しててもおかしくないと思うよ? 仕掛けまで作ってるくらいだしなぁ……。直接戦闘能力が高いといったって、結局はこの程度である。搦め手には弱いんだよね、僕って。


「……隙を見て簀巻きにするって方向で」


 たぶんこれが一番無難。仕掛けとかで周りを固めてないという前提で奇襲かければ、次の犯行は止められるわけだし。……共犯者なんてものがひょっこり出て来なければ、だけども。いないよね? あの人一人旅っぽかったし。


「逆に犯人扱いされそうな気はしますが……」

『その時はその時だよ。いざとなったら私が助けてあげる!』


 えっへん! と胸を張るシィさんは心強いようなそうでないような……。てゆーか彼女に助けられるってどんな状況なのか想像がつかない。


『あー、その目。何の役に立つかわからないって目だー!』

「うーん。犯人扱いで拘束された時にこっそり解いてもらうとかくらいしか……」


 あとは密偵とかかなぁ? 普通の人には視えないシィは情報というアドバンテージを得るには格好の人材だ。犯人さんの動向とかを見張ってもらった上で、周りの目がない時に捕物すれば確実性は上がるはず……。


「でもでもっ、氷上君が疑われても私がちゃんとアリバイ証明すれば、犯人扱いはされないと思うんです!」


 おぉっとー。何か葉狩さんが別方向に吹っ飛び出したぞー。アリバイ証明って、昨日の夜はお互い別部屋だったでしょ!? 証明は無理だよ! 仮に通ったとしても−−


「−−それ、普通に共犯フラグでクラッシュされると思うよ」


 それはそれである意味オイシイ気はするけど、犯人扱いは変わらないと思うんだ。逆に葉狩さんまで犯人扱いされてしまう。


「なら、私が探偵役になれば……!」

「いや探偵役とか別に−−そ・れ・だ!」


 被害者さんに聞いた情報と状況を、さも自分で推理したように見せかけて皆の前で披露すれば大義名分が得られる!



 よし、その手で行こう葉狩さん!



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