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みえこま〜見えないはずの物が見えて困ってます〜  作者: ぽて
第1章 日常→非日常

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12 リア充はつらいよ



 オニの内の一匹とふと目が合ってしまった。


『−−リア充だ』


 おおっとー、オニの口から鬼とはほど遠い単語が飛び出してきたんですけど!?


 その一匹の言葉が合図だったかのように、一斉にオニさん達の顔がこちらを向いた。そしておのおの無表情で口々に『リア充』と繰り返し呟き続ける。


 ……不気味すぎてまじこわいんですけどこれ、なんなのコレ?


 ……それにしてもリア充? 僕が?


 最近はファンタジーの代表格な妖精さんとオトモダチになったり、突如やってきた謎の美少女転校生とお知り合いになったりしたけど、リア充だなんて………………あ、うん、普通にリア充ですね。ごめんオニさん達。

 しかも現在進行形ですね。美少女退魔師と一緒に、町の異変を突き止めるために走り回ってる訳だし。ホントごめんなさい。


 とか思ってたら、なんか別の単語も混ざって聞こえ始めてきた。ええっと……なになに?


『爆発しろ』

『爆ぜろ』


 −−うん。中々に過激だね、オニだけに。語彙力も多いんだか少ないんだか……。世を拗ねるヒキコモリなの君ら?


 とか、悠長に考えてるヒマ無かった。奴らがこちらに向かって動き出したのだ。……あ、うん。自らの手でリア充爆発させに来るんですねわかります。−−て、そう簡単に爆破されてたまるか!


「−−葉狩さん、シィ」


 呼びかけると、二人とも準備は万全だとばかりに頷いた。


 −−よし、戦闘開始だ。

 今回はリュウグウ君みたいに空飛んでないし打撃が有効だから、幾分か楽そうだ。その代わりに数が多いけど。





 そうして始まった戦いだが、オニは割と見掛け倒しだった。猪のように真っ直ぐ突進して来たのをスルリと避け様に腹に一発ワンパン、で終了。腕を振り回して来たオニもいたが、大きな図体故か動きが鈍くて簡単に避けることができた。もしやこのオニさん達、運動能力は取り憑いた人準拠なのでは……?


 数メートル離れた場所では葉狩さんの薙刀が唸り−−もちろん峰打−−、気絶したオニにシィがテイっと斜め45度チョップをかまして人間に戻していく。チョップされた人からは、黒い靄のような物が立ち登り消えていった。アレが取り憑いていたナニカか……。


 −−ところで。

いちいち気絶させてナナメ45度というのは、いささか非効率的ではないだろうか? 二度手間だし。


 というわけで、ナナメ45度で気絶させてみる事にした。こういう時、ウチの流派の技は便利だ。何故って? そういう技があるんだよ。……この適応力の高さが逆に恐いわけですがー。まじで何なのウチの護身術。


「じゃあ、いっきまっすよー」


 テイっとナナメ45度攻撃。


『ぐギャァぁぁ−−』


  効果はてきめん。黒い靄を吹き出しつつ倒れ込み、人間の姿に戻っていく元オニのひと。


「うわお。まじ効率的っ!」


 何だか楽しくなってきたので次々とナナメ45度していく。


『働きたくないでござるぅー』

『お家帰りたいぃー』

『サビ残まじ絶許ぉぉーー』

『おひとり様の何が悪いぃー』


 −−以上、オニさんたちの断末魔(抜粋)。世の中世知辛いね。





 オニを一通り人間に戻した後は、不安定になっていた境界を葉狩さんが修復して、通常空間に復帰した。いきなり現れた集団に辺りは一時騒然となったけれど、それも次第に治まっていった。ちなみに僕らは物陰に隠れて、無関係を装いました。追求されても正直に答えられないしねぇ……。


 あの黒い靄については、葉狩さんいわく、恐らく瘴気と呼ばれるものであるとのこと。これを過剰に摂取したせいで人々がオニになってしまったらしい。そして後日、オニになっていた人たちが神隠し被害者なのは判ったが、肝心の神隠しの原因に関しては結局判明しなかった。……オニたちの目的も。

 まぁ、事を起こす前に片っ端から元に戻していったから、しょうがないと言えばしょうがない。意思疎通もできなさそうだったし。


 一つ良いことがあるとすれば、オニになっていた人たちの大半が、何らかの精神疾患を患っていたそうなのだが、事件後にはそれがそこそこ回復していたという事だろうか?


 ……オニを祓ったら、五月病患者が減ったとかイミわからんです。うん。




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