八ツ木公園事件
次の日、僕は自分自身で最高と思えるファッションで八ツ木公園にやってきた。
前髪を上げオールバック風にし、右手には交互に青と白の珠がついたブレスレット(人気アニメのグッズでありアニメイトで購入)と、カギの形をしたネックレス(服を買ったらセットでついてたきたやつ)を付け、準備万端である。
時計の針が12時を指した。僕は辺りを見渡した。
すると、後ろの方から声がした。
「すみません、お待たせしました~」
僕は声のした方を振り向き、そして驚いた。
あれ、メイド喫茶にいた時と明らかに雰囲気が違う気がする。
何だろう私服だからとかではなく、何かが違う。
だが、いつも通り可愛いことは可愛い。
「いや、全然待ってないですよ~。今来た所ですし」
僕は、何十年も前から使い古されているであろうセリフで挨拶した。
「えっと、良かったらそこで座って話しませんか?」とうららさんが言った。
「ええ、それが良さそうですね」と僕は応えた。
僕たちは公園のベンチで2人で腰かけた。
暫く静寂の時が流れ、うららさんが喋った。
「あの、今日は突然呼び出してすみません」
そういうと、うららさんは深くお辞儀をした。
「いえ、そんな事ないですよ。うららさんと2人で話せるなんて凄く嬉しいですし。でも何かあったんですか?」と僕は尋ねた。
すると、うららさんは俯いたまま、ゆっくりと話し出した。
「実は・・・・・・もう気付かれているかもしれませんが、私横山ルイなんです」
ええ!?僕は衝撃を受けた。いや、ネットでも騒がれる程美少女である事は間違いないと思っていたが、まさか本物だとは・・・・・・
「う、うん。そうだとは思ってました。どうりで似すぎてるとは思ってましたよ。なるほど、お店やお客さんに言わないように、それを僕に伝えたんですね」と僕は言った。
「いえ、違います」すぐさま、うららさんは否定した。
「え、では何で僕をここに呼んだんですか?」
「それは・・・・・・」というと、うららさんは静かになった。
僕は内心ドキドキしていた。
横山ルイである事を公にして欲しくない事を伝えるのではなく、わざわざ公園で2人で会う理由としたら、それは・・・・・・愛の告白ではないのか。
僕と話していて、そして僕に惚れてしまったのではないのか。
そんなおとぎ話的発想をしながら、うららさんの返答を待った。
暫くの沈黙の後、うららさんが決心した顔をし僕に言い放った。
「実は、私男の子なんです!!]
その瞬間目の前のうららさんは、うらら君になり、そして横山ルイちゃんは横山ルイ君になった。