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初めてのツーショットチェキ

 時は過ぎ一週間が過ぎた。僕はまたメイド喫茶の前に立っている。

 僕はメイド喫茶に関して少しネットで勉強してきた。メイドさんのシフトというのは基本店側しか分からないシステムになっているらしい。


 これは一部の人気メイドさんが出勤している日だけに客が偏らない為の配慮のようだ。

 ちなみに、もしシフト内容を聞いたとしてもメイドさんに軽くあしらわれるらしい。

 これも恐らく店側から言わないように指導が入っているのであろう。

 ということで、僕は今日メイド喫茶の前に立っているがウルルさんが今日出勤しているかは分かっていない。いわゆる賭けだ。

 

 僕はメイド喫茶のドアを開けた。カランカランと鈴が鳴る。

 「お帰りなさいませ、ご主人様~」と前と同じように席へ案内された。


 僕がメニューを確認していると、メイドさんが近寄ってきた。さくらさんだ。

 「前にも来て頂いてましたよね?今日もありがとうございます」そう言うと、さくらさんは深くお辞儀をした。この方はメイド歴が長いのだろうか?佇まいがしっかりしている。

 僕は気になったので訊ねてみた。(メイド歴に関して尋ねても問題ない事を僕は知っている。ネットで確認済みだ)

 「さくらさんはメイドされて長いんでしょうか?」

 「ふふ、もうそろそろ1年程になります。ですが、まだまだ至らない点が多々あると思っています」

 そういうと、さくらさんは少し俯き加減で恥ずかしそうにした。

 僕はその仕草にキュンとしたが、今回僕が来た目的はウルルさんだ。僕はウルルさん一筋で行く事を決めている。他のメイドさんにも気持ちを向けてはいけない。

 これをガチ恋というようだ。多分傍から見たらドン引きされるやつだ。

 その後さくらさんと少し話、さくらさんは奥へと戻って行った。

  

 僕はメニューを再び見る事にした。今日はお腹が減ってる訳ではないし、この「メイドさんのアップルジュース」でも頼むか。僕は鈴を持ち左右に振り鳴らした。チリンチリンと鳴る。僕は案外この音にハマってしまっていて、夏の日の風鈴のようで好きになっている。


 メイドさんが「は~い、お待ちください」と言い奥から現れた。

 僕は腰が抜けそうになった。ウルルさんが来たのである。今日はハッピーな一日決定だ。今朝の動物占いは9位で中途半端な順位だったが、ウルルさんが出てきた事でもう1位みたいなもんである。

 ウルルさんが近づいて尋ねた「ご注文はお決まりですか?」首を少し傾げ可愛らしい笑顔で僕を見つめている。綺麗なツインテールの黒髪が揺れる。僕はそのシーンを切り抜いて何時間でも見たい。恐らく一日中見ていられるだろう。ダメだ何も考えられない。頭の中がハッピーセット状態である。

 「ご主人様どうかされました?」僕が何も発しないから、ウルルさんが困っている。

 「あ、すみません。えっと、このメイドさんのアップルジュースを下さい」そう僕が注文すると、「かしこまりました」と言い、笑顔で奥へ戻って行った。

 

 心臓がはち切れそうである。首相の晋三ではなく、心臓がはち切れそうだ。心臓がドキドキしている。

 血流の速さが分かるくらいだ。額から汗も出ている。緊張しているのだ。それはそうであろう、自分が考える理想のような女性なのであるから。それが2次元でなく、3次元にいるのだ。

 僕は息を整える為、鼻から深く息を吸いゆっくり口から吐く動作を繰り返した。

 暫くして落ち着いてきたので、次の試練の事を考えた。そう僕は今日ウルルさんとツーショットチェキを撮る為にきたのである。 

 

 予定では注文後メニューが届き、食べ終わるか又は飲み終わり、その後メイドさんが食器を下げに来た時に言う予定である。

 まず「メイドさんのアップルジュース」がテーブルに届き、ゆっくりと僕は飲みだした。

 アップルジュースはよく冷えていて美味しかった。少しリンゴの身が入っている。擦りリンゴだろう。

 ジュースを飲み干すと、僕は食器を下げに来るメイドさんを待った。

 少しするとメイドさんが食器を下げにき来た。

 僕は「あ、あのメイドさんとチェキって撮れますか?」と聞いた。

 「チェキですね。はい撮れますよ~。誰と撮られます?」メイドさんが尋ねた。

 「もちろん、ウルルさんでお願いします!」僕は若干力んで頼んだ。

 「はい、ウルルさんですね。では少しお待ち下さいね~」そういうと食器を下げ、メイドさんは奥へ戻って行った。

 僕は少しして冷静になった後、もちろんと言ってしまった事に気付き、そら自分の中ではもちろんかもしれないが、もちろんて何だよ!お願いしたメイドさんに失礼すぎるだろ!と、僕は心の中で叫んだ。

 

 

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