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のりうつった人形

作者: 神名代洸

「私の可愛いお人形ちゃん。

今日も綺麗にしましょうね。」


女の子はくしで髪をとかしながら鼻歌を歌っていた。

「ふん、ふん、ふーん♪」

人形遊びが大好きだった女の子は月日が変わり大きくなっていく。その間も人形は大切にされてきた。


二十歳になった頃、大病を患った女の子は呆気なくいってしまった。両親は女の子と仲が良かった友達に形見分けをすることにした。

ある子は思い出の写真を、またある子は置き時計を、またある子は人形を…。



それから数日後、人形をもらった女の子は何か変な気配を感じていた。そう、誰かに見られているような気がしてならないのだ。

けれども部屋の中は全く変わらない。

だから不思議だったけど考えないことにした。


深夜何かに掴まれているような感覚があり、身が覚めたが何もなかった。


「ふぅ〜気のせいかな。ここんとこ忙しかったし…。」などと独り言をブツブツ言いながら布団をかぶった。


次の日の朝、何気にストッキングを履いている時気がついた。何かのあとらしきものがうっすらと片足についているのを。

なんだろうと気にはなったがそのまま出勤した。


その日の夜は仕事が早く終わり定時で帰ることができた。今日は楽だったかもなどと思いながら久しぶりに大好きなショートケーキを買って帰った。

夕食後の楽しみにとっておいたケーキをテレビを見ながら食べた。


深夜寝苦しくなって目が覚めた。

何かに足が掴まれているのをはっきりと感じた。とても冷たい手だ。その手が徐々に上へと上がってくる。恐怖で声も出なかった。動くこともできない私は目だけでその手を追っていくと頭にきて止まった。そして爪を立ててときだしたのだ。優しく、いたわるように。その時ふと思った。彼女もきっとこんな風に人形の髪をとかしていたのかもしれないと…。そう思うと怖さも何処かへ消えてなくなった。ただ、このまま人形を持っているのはさすがに怖いので供養してもらいに神社に持って行った。それ以降何も起きなくなった。

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