world 6
呼ばれた声に、マック保安官以下その場にいた全員が振り返った。
「よくも俺の子分共に恥かかせてくれたな、自称正義のヒーローのマック保安官さん」
「フランチャイズッ……貴様!」
「フランチャイズ様!」
「ボス!」
ギリリ、と音が聞こえてきそうなほど歯軋りをするマック保安官と、現れたひげ面の男の元へ駆け寄る悪党達。三人に「フランチャイズ」と呼ばれたその男が、状況から察するに悪党たちの中でも特に身分の高い奴なんだろう。うーん、死んでまで階級に縛られなければいけないとは。
さっき悪党から奪い取ったナイフをフランチャイズの方に突きつけると、マック保安官は声を低くして第一声を放った。
「――何しに来た、フランチャイズ。用件次第では速やかにここを立ち去ってもらう」
当のフランチャイズはというと、フハハとなんとも悪役染みた笑い声を上げながら、自分より少し背の低いマック保安官を見下すように見つめている。
「何って、決まってんだろ。下見だよ、俺の城を建てるのさ。さしずめここは城下町ってとこか。平民を集めて、フランチャイズ帝国を創る。どうだ、いい計画だと思わねぇか」
……いや、どこが?
思わず突っ込みそうになる。子供かお前は。
「哀れだね、フランチャイズ。平民? 集まるわけがないだろう。みんなお前に迷惑しているところだ。とっとと立ち去るんだな。立ち去りたくないのであれば――」
フランチャイズに近付いて、ヒュッとナイフを一振りするマック保安官。その目に好戦的な光が宿る。
「――力ずくで追い出すまでだがね」
「ほう、やるのか?」
一歩近付くフランチャイズ。互いの鋭い眼差しが交錯する。子分達は、フランチャイズの後ろで各々戦闘体勢を取っていた。
数にして、一対三。流石に無理があるような気がするけど……。
「やれるものならやってみるがいい。さっさとかかって来い、子悪党共め」
ナイフを構えるマック保安官。
張り詰めた空気が流れる。
次の瞬間、計四人の足がその場を離れた。