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求めるのは謝罪じゃ無い、報いだよ


「テティスよ…自分が何を言っているのかわかっているか?」


な、なに…言ってんだ…?


「テティスさん…?」


俺はこの現状についていけていなかった。


「だって夏彦君…貴方は何一つ悪く無いモノ…」


俺が…悪くない?


そ、そんなわけ…


「そんなわけ在るか!俺のせいで、兄さんも、兄さんのお母さんも…」


俺が兄さんがいると言うこの話を始めて聞いたのはまだ中学生の時だった


そう…

母さんの葬儀が終わった時だった。


父さんに一人呼び出された俺はその時に聞かされた。


ーーお前には腹違いの兄弟が居るーー


その時どう思ったか…

覚えてはいない、


ただ、

生まれてからずっと見ている父さんの顔が全く知らないヒトに見えた事だけは覚えていた。


俺には兄さんがいて…

俺が生まれたせいでその兄さんと父さんの絆を完全に断ち切ってしまった事…


俺が生まれた事で義母さんと父さんが正式に離婚した事…


まるで自分がこの世界に生きていては行け無い罪深い生き物の様に感じた。


だから…

俺はその日からずっと兄さんの事を探していた。


ただ…謝りたかった。


父さんもそう言っていた、

だけど会わせる顔が無いって…


そんなのは言い訳だと思った、

結局その勇気が出無いだけだったんだ。


じゃあ…

今の俺は…?


俺も結局兄さんに許されないことを怖がって死のうとして居るじゃ無いか…


「俺が悪く無い…なんて言う事は無いよ…だったら、それだけのけじめをつけさせてもらうさ」


謝るだけで許される筈が無い、

そんな事は分かっている。


兄さんが望むなら俺のこの命だって捧げる、


だけど、さっきみたいにただ逃げるために死ぬんじゃ無い、


背負いきれない罪悪感から目を背けるんじゃない。


「兄さんに俺の全てを受けて欲しい…」


もう恐れ無い、

さっき感じていた狂気もあれは俺自身の中に有った臆病な心の生み出した幻影だ、


威圧感もそうだ、

この兄さんと言う存在を自分にとって上位だと思っていたから見えていた幻だったんだ。


「お前の…全て?」


目の前に居る兄さんは…

父親に愛されたかった子供なんだ…


確かに父さんも俺もとても罪深い行いをして来た。


それは忌み嫌われたる大罪だ、

決して許されるモノじゃ無いだろう。


だからと言って報いを受けない言い訳には成らない。


兄さんが復讐したいと言うならそれは当然のことだ。


でも、

本当に兄さんが復讐したいのはきっと父さんじゃない。


俺なんだ…

兄さんの受けれなかった父親の愛情を受けた俺。


きっとそれは義母さんを裏切った父親に向けられる物じゃ無いんだ。


「兄さん…ごめんなさい」


俺は兄さんのそのダークブルーの目を真っ直ぐ見た。


兄さんも俺の目を見てくる、


兄さんは知ってか知らずか茶髪と紺碧の目だ。


それは父さんも同じだった、


「別に…君に謝罪されても困るんだけど…?」


俺は兄さんの言葉に首を振った、


「俺が…生まれなければ兄さんは…」


そこで俺は言葉を切った、

切りざるおえなかった。


兄さんが…笑っている。


「あははは‼滑稽だ!俺が生まれなければ…かい?君もおれとおんなじ後悔をするんだな母を捨てた男の息子よ」


兄さんはさもこらえきれ無いと言う様に嗤った。


自嘲する様に、

この世界の全てを嘲笑った。


今…兄さんはおかしな事を言わなかったか…?


「同じ…後悔?」


どう言う事だ?


「それを知る権利も時間も君には無いよ…君は此処で…殺す!」


兄さんの殺気のこもった言葉と同時に空中に文字が浮かんだ。


焔と…鉄?


「まさか…⁈」


へ?テティスさん、

あれ知ってるの?


「伏せて!」


思わず言う通りに身体ごと頭を伏せた俺は次の瞬間驚愕した。


燃え盛る金属板が通過し、

後ろの壁を焦がして深々と突き刺さったからだ。


「叔父様は本気ね…まさか魔法まで使ってくるなんて…」


魔法⁈


だが、

それを聞く事は出来なかった、


俺はその瞬間に、

その槍で脇腹を刺され、


磔に為れた。


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