脱出と学校生活
ドンドン崩壊して行ってる気がする…
ゆらり…と、
上にある水槽で『イルカモドキ』が泳いで居る。
私にとって生まれてから毎日見ている光景だ。
着い最近までこれが普通だと思っていた。
朝起きれば彼らを見て、
眠る頃には彼らの水底にゆたらう姿をみて灯りが落とされる。
叔父様の部屋もそうだ、
始めて見た時はお揃いだと無邪気に成ったモノだった。
たしか200年程前だ…
幼児期だけあって記憶がはっきりしない。
今の私の体はあの星のヒト種で言う13歳…
精神年齢でもさほどの差異は無いようだと叔父様が言って居た。
叔父様…
この『ビオロギア』…
違う…
世界そのものを牛耳って居る星の数程の齢を重ねた仙童、
圧倒的な存在感と、
絶対的な権能の持ち主…
そして、
私から母さんを引き離しただけでは飽きたりずに…
友達を…『***』を…
と、ここまでやっていたら頭から水をかけられた。
「テティス様、遊ぶのは構いませんがもう少し淑女然として御しとやかに…」
え~
硬いなぁ『***』は、
いいじゃん、楽しいんだもん、
それにぃ…
母さんから引き離したのは本当だし?
「…はぁ、テティス様、今のお姿をゴシュジンサマ が御覧に成られたらどう思われるかお考えですか?」
う~ん…
「元気な子?」
「そんな事在る訳無いでしょう!僭越ながらお話させていただきます…」
あ…これは『***』のお説教スイッチを居れてしまった感じか…?
「良いですかテティス様?まず淑女と言うのは…」
で、出た!伝説の『***』の『まず淑女と言うのは』
小さい頃は毎日聞いてた様な気がするんだけど、
最近ではあんまりきいてなかったからなぁ…
せ、成長したと思ったのに!
「テティス様、きいて居られるのですか?」
や、ヤバイ!
「え、えぇ、もちろんよ?」
「では、私が言った事を要点だけで良いので言って見て下さい」
ぇ…?
こ…これは…
「しゅ、淑女たるもの水槽の中にダイブして犬掻きをしない!」
「盛大に違います、と言うかそんな事して居たのですか?」
げ、
これはまだ知られて居ない事だったけ?
「はぁ…良いですかテティス様まず淑女と言うのは嘘をつかずに…」
まさか二時間コース⁈
しかも立ち上がったままで⁈
しかし、
そんな時に私の元に救世の光が現れた。
「テティスサマ、『***』、ゴシュジンサマ、ガ、オヨビデス」
おぉ、
叔父様!貴方は救世主だ!
おそらく二時間かかる淑女講座をこんなにも早く切り上げるだなんて!
しかし、
喜びに満ちた私とは違い、
『***』の表情は強張って居た。
「ゴシュジンサマ が、テティス様もですか?」
「ハイ、シキュウ、サンジョウスルヨウニ、ト」
ん~?
そんな事聞いてどうするんだろう?
それにしても私もかぁ…
叔父様怖いから苦手なんだよなぁ…
まぁ、優しいから好きなんだけど…
あのなんて言うの?威圧感?
あれがちょっとなぁ…
私はそんなくだらない事を考えながら『ビオロギア』中央、
『アクアリウム』へと向かった。
☆
「おぉ、よく来たなオリジ…テティス」
何時も通り柔らかそうな顔を更に破顔させて私たちを迎え入れる叔父様。
オリジってなんぞ?
「ゴシュジンサマ 及びと上がり参上致しました」
私のスペシャルにどうでもいい事はスルーされて、
叔父様は口をゆっくりと開いた。
「なに、用事…と言うのは対した事では無い…ただな…第五十染色体事だが…」
ここまで言って言葉を切る叔父様、
その目には好奇心と躊躇いが同居して居た。
「あ~ヤッパリいいや、気が向いたらまた呼ぶ」
心なしか『***』が胸をなでおろした様に見えた。
今だになにがなんだかつかめないまま帰される私たち、
『***』はわかって居るのかな?
まぁ、私に言わせればどうでもいい事だ。
そんな私の隣で、
『***』が「潮時ですね…」
などと言って居た事は私はしらなかった。
☆
あれから数年と数ヶ月、
私は星に居る。
何で?
理由はあの日の夜に『***』に拉致られた?からだ。
次の日目を覚ましたらマンションとやらに居た。
『***』に理由を聞いたところ、
助けたかったと言うらしい。
なにから?
叔父様…
私を暇つぶしの為の道具につかおうとして居たと言うでは無いか⁈
自らの欲望の為ならば実の姪子ですらその玩具とする…
やべぇ、チョー怖い。
それと、そんな私も今は高校生!
得意科目は英語と社会と体育だよ!
因みに、
超能力は今では殆んどのヒトが持っている、
元々は世界の統治者とかの一部の人間しか持って居なかったんだけど、
民衆化だとかの影響でそう言う類のヒトが減って行って、
観測データが不足したから一般のヒトにも49染色体を植え付けたみたい。
だから超能力は既に一般的に広まって居る、
え?
超能力の授業は無いか?
普通の学校は無い。
学校で手足の動かし方を教えないのとおんなじで、
基本的に教える必要が無いからね。
因みにそんな私の力は叔父様と同じ、
『サイコキネシス』分類されるモノの一つで、超振動、
電子レンジみたく分子とかをプルプルさせて温度をあげたりできる。
で、
いま私がなにをしているかと言うと…
「なんでここでX=6になるんだよ?訳わかんね!」
補修です…
数学です、赤点取りました。
しかも女子は私一人だけで、
他にいるのも男子が一人だけです。
気まず!
いま先生が居無いからそのもう一人いる『彼』もしゃべっているんだろうけど…
うるさい!
集中でき無い!
私は全く数学が苦手と言う訳では無い。
あの日はたまたま…
寝てたら時間が過ぎてたんだよ!
それで持ってお厳しい先生はわざわざこの様にお忙しい時間の中で補修を組んでくださった訳だ。
めんど!
「あぁ~なんでy=が25何だよ!因数分解とか中学だけで十分だろうが!」
いやいや違うよ!
中学で学んで来た事が高校の基礎になるんだからね?
などと、たいへんどうでもいい事を考えていると…
「おい、テティス…さん、これわかるか?」
と、
『彼』が私の机の近くに来ているでは無いか!
お前緩みすぎだ!
先生に見つかったら連帯責任で私まで課題を追加されてしまう。
一刻も早く『彼』を机に座らせたい私は『彼』の持って居たプリントと睨めっこする。
って、
こんな簡単な問題もできんのかい!
私は一通り『***』に教えて貰ったし、
授業には参加しているので解けるってか、
こんなのもできんでよくお前この高校受かったな!
「えーと、ね?この問題を解く為には責の法則を使えばいいんだと思うよ?」
「なんだっけそれ?」
まずそっからかい!
と、ここで私がこの補修仲間の『彼』の名前をしらない事に気が付いた。
プリントの右上に書かれて居る案外綺麗な字で判別するに…
「夏彦くん…?」
「ん?なに?」
あ、べつに君に要がある訳じゃ無いんです、
あれ?
でも夏彦って…たしかどっかで聞いた様な…
うん、
たしかまだ『ビオロギア』にいた頃に…
唯一ヒトの中で超能力を発現しなかったって、
叔父様が言ってたっけ?
私が過去を思い返して居るというのは露にもしら無いであろう夏彦くんは私が何も言わない事に何か感じ取ったのか、
渋い顔をしながら聞いて来た。
「やっぱ…嫌か?」
は?
ごめん、主語がないからなにを言いたいのかわかんないけど⁈
「なにが?」
「非能力者と居る事がだよ、気持ち悪いだろ?」
異端って事が?
そんな事言ったらねぇ…
「元々は能力は世界の統治者と『大いなる意思』との契約によって発現した…ってのは歴史でやったでしょ?寧ろ当時としては異端なのは能力の方だったんだよ?」
『大いなる意思』ってのは叔父様のこと、
もっぱら現代歴史界では神様だとかそんな感じの扱いだよ。
つまり空想上の存在って訳、
「でも、今は俺の方が異端なんだ…」
そう言って肩を落とす夏彦くん、
「でも珍しいことじゃないと思うよ?」
十分珍しいけど、
「何行ってんだよ、世界は俺以外のヒト全員が能力持ってんだぜ?それとも慰めてくれてるのか?」
別に慰めるのはいいけど、
私からしたらどうでもいい事だと思う。
叔父様が興味を持った異端者に対して私も興味を持っただけだしね。
…
あ、
家にかえったら『***』に夏彦くんに会ったこと話さないとね、
万が一叔父様が出てくるとも限ら無いし。
でも今は…
めの前の課題をかたずける方が大事だよね!
『***』ことゴーレムの名前を募集してます、お願いします




