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『ミカエル』


「ぐらら!」


「ぎゃいぎゃい」


「た、助けて…」


「何でこんな目に」


「せ、正義は俺たちに」


ふふふ…


「あっはははは!視よ!罪深きモノども、何と素晴らしき光景かな!これぞヒトのあるべき姿だ」


他人に蹂躙され、

他人を蹂躙して、

他人が蹂躙して、

他人と蹂躙して、

他人も蹂躙して、


何と浅ましき事か、

ベヒモスに殴られ、

魔物どもに屠られ、

天使にも殺される。


「祈っても救いは来無いぞ」


目の前で祈る女を殺す。


「探しても願いは落ちて居無いからな」


夢の為に死なないと言う男を殺す。


「叩いたところで逃げ道が開くとでもおもっているのか?浅ましいな」


必死に殺されぬようにあがき続けて逃げようとするヒトどもを殺す。


「サァ懺悔せよ!祈りながら死ぬがいい!」


弱者が…

我が愛し子を殺そうなどとは。


怒りよりも呆れ、

呆れよりも嘲り、

嘲りよりも怒り。


「救いを求めよ、楽にしてやろう」


殺して、

殺して、

殺して。


「殺しまくってやるよ!」



「主よ、ベヒモスが半数以上活動不能です、思ったよりも手練れが居た模様です」


アダム・カドモンが報告に来たか、

そうか、

それは驚きだ、

ベヒモスは偽りなき俺の最高傑作、

それらを量産した故に質は落ちたとは言えその事実は変わらない…

だが。


「これで終わりだよ…ヒトの子らよ」


さぁ、

我が異能とくと観るが良い!


「見よ、視よ、観よ!汝刮目するは天をも覆い隠す数多なる槍槍槍槍槍槍槍槍槍槍槍ぃ‼その血で大地を彩れ!その臓腑で地上は飾りきろ!」


その言葉と共に天より降り注ぐ槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、

それは場を埋め尽くす、

魔物は潰され、

貫かれていく、

空もその魔物達の血飛沫で紅く染まっている。


「何も見えんな…まぁ全て死んだだろうしな…ん?」


何がいけなかったのだろう?

俺の言葉がフラグにでもなったのか?

それともお前を作った事だろうか?


「ミカエル…何故吾の命令に逆らった?」


そう、

血まみれの砂煙が去った時、

折り重なって大地にその穂先を突き立てる槍の向こう、

魔物の返り血で本来なら純白の翼を艶やかな緋色に包みこみ、

ヒトを槍から守った為か有る程度のダメージは許容できるはずの与えた衣服はズタズタに…

何よりも…

そこに有っては成ら無いモノ…

悲しみの表情をした『アンゲロス』固有名称ミカエル。


本来俺の創造したミカエル含む『アンゲロス』には感情など存在しない、

ましてや常に微笑みを称えるその顔に悲しみなど浮かぼうはずが無い、

考えられる理由はただ一つ、

こういう時にこの身体は便利だな、

200年生きた今でも固定概念に囚われず柔軟に思考する事ができる。


「今一度問う、ミカエルよ何故に吾の命を守らなかった?」


わかり切った事だろえ、

こいつは最もヒトの願いに答えてきた、

つまりそれだけヒトの感情に、

祈りに、

願いに、

触れてきたと言うわけだ。


「主…よ私は…」


ミカエルは何なかの葛藤の末に導き出した答えに従ったのだろう、

その顔は今だ悩んでいる事を告げている。


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