成長⁈
カチ、カチ、カチ、
時計の針が時を刻む、
勿論俺の創造した物だ、
目の前に有る鏡を見る。
「髪の毛…伸びてる?」
さっきから20分程悩んでいる、
何だか前髪が目に当たったてる様な気がする、
200年間生きていて始めての事、
確かに今まで兆候が無かった訳では無い、
しかし不老で在る俺の髪の毛が伸びるなんて…
と、
思って居た訳で鬱陶しく思うまで気にして居なかった。
さらに俺のちっちゃくてぷっくりとした手を見る。
「うーん…心なしか爪も伸びてる様な…」
果てし無く微妙だ、
俺自身成長して居る気がしないからな、
まぁ当たり前なのだが。
「アダム・カドモン!」
俺に忠誠を誓う我が右腕を呼ぶ
あいつの事だから…
「お呼びですか⁈主よ」
ほら来た、
呼んでから三秒経って無いぞ?
「うん、呼んだ、俺って髪伸びてる?」
「はっ神伸びております!」
何かちがくね?
ニュアンス?
「じゃあ爪は?」
「?聖遺物ですか?」
な ん で そ う な る ⁈
「い、いや…伸びて居るか?」
よく説明をして居なかった俺が悪い、
そうに違いない。
「うーん…ハッ!確かに20年前に比べて0.7センチ程伸びて居ます‼」
こいつよく視てんな、
何か怖い。
「で髪の毛はどうだ?」
「はい、神の毛も少々伸びて居ます…」
何か俺の髪の毛とかが伸びてる事に気付かなかったのが悔しいらしい、
床をだんだんと叩いて嘆いて居る。
「つまり俺は成長して居るんだよな?」
「いえ?背丈は全く伸びていませんよ?」
…それが何か?
みたいな顔するな~~‼‼
ちくしょう!
折角成長の兆しが見えたと思ったのに!
「『ヤスリ』創造!」
おわかりの通りヤスリを創造した、
爪を短くする為だ。
「…何をしている?」
アダム・カドモンが
「主の爪粉を飲めば寿命が伸びるかと?」
いやいや?
俺の爪粉はアムリタじゃねえぞ⁈
って言うか…
「お前は死んでも復活するじゃないか…」
もういい、
床屋に行こう。
「主よ!わざわざ床屋何ぞに出向く必要は有りません!私が切りま…」
よし!
床屋へ行こう!
☆エルフの町・ナザレ
ふぅ、
やっとまいたか?
あのあとアダム・カドモンに追いかけられて大変だった。
「と…やって来ました!近所の床屋!」
「な、何故主が此処に?」
「誰かが大罪を犯したか?」
「おぉ、ありがたや…」
あんまり変わってない?
そんな事はいい!
床屋へれっつごー
☆
ギィ、
古い扉だな?
客も全然居ないし。
「い、いらしゃい⁈きゃっきゃんだぁ…」
涙目の少女だけしか居らんぞ?
確か前は厳ついジイさんだった様な?
90年前近くの話だが。
「散髪に来た…」
「はぅい!は、始めてですが心地よい時間を提供いたしましゅう」
…大丈夫かな?