神なる吾
いわゆる主人公の本性?が出ます
「はぁ~~」
俺は今凄まじく悩んでいる。
「ベヒモス…やり過ぎだ…『ルミナリー』を展開ベヒモスを召喚」
何でこうも何度も呼び出さんといかんのだ!
「主よ、何かお御用がありまするか?」
やっぱり何か違うが気にしたら負けだ、
うん。
「アブラム達を助けた事は問題ない、寧ろ喜ばしい事だ…」
「ならば何でござるか?」
統一しろよ⁉
しまった‼突っ込んじまった⁈
「ヒトを殺し過ぎだ」
うん、
気にしなーい。
「しかしヒト共は殺される覚悟を持って御座った、麻呂はそれに応えたかったデス」
こいつ…
わざと演ってるんじゃ?
「お前の心は問題では無い…エルフを討滅に行ったヒトが死んだ事実に問題が在る…」
て言うかお前は戦闘狂のくせに戦いを美化為るなよ!
「しかし行動の無い場所に幸福は生まれません‼」
殺人に何を期待している⁈
「勘違いを為るな…私が望むのは魔獣か人類か何方かが生き残る世界では無い…何方も共存共栄する世界だ」
おーう、
返事に成っていなーい、
まぁ殺人で幸福は生まれ無いし問題ないよな?
「分かり…ました、しかし‼コレだけは言って置きたい!彼等は皆勇猛で有った、誰しもが勇者で有った!」
そう言い残しベヒモスは去ってゆく。
「殺した奴のセリフじゃ無いし別に俺はヒトを殺せ何て言って無いし…」
取り合えずベヒモスはやっぱりわざと演っていやがったからお仕置きだな。
☆☆☆
サイド:オファニル
「うぐぅ!」
身体中に激痛が走る、
何が有ったか分からない、
覚えて居るのは眩しい光、
不愉快な嗤い声、
仲間の悲鳴と瞬間の激痛。
あの並み居る精鋭達を薙ぎ倒して再び光の中へ消えて行った魔物の事を考えて居ると。
「うわー…大分死んでるわね、
生き残りはこいつだけ?何でベヒモス何かが此処に来たのかしら?」
女性の声が響く、
風の様に透き通る、
掴みどころの無い、
そんな声。
「うーん、やっぱりこいつだけか~ 運ぶのは楽だけどやるせないはよね…」
そう言いながら既に死に体の俺をおぶる、
その背中は余りにも懐かしく、
頼りに成る、
俺の追いすがって来た背中。
「し、シルフィードさん…」
その女性が驚いた様に息を飲む音を最後に俺の意識は闇に落ちる。
☆
包丁がニンジンを切る軽やかなリズムで目が覚める。
最高の目覚めだろう、
ここが何処か分かったらだが。
「ッ⁈ここはどこだ⁈」
俺はヒトが居るだろうそこに向って叫ぶ、
返事は無い。
「おい⁈ここはどこ
がァ‼?」
突然フライパンが飛んで来て俺の額に直撃する。
「ふふん、あんたが煩いからだからね、恨むなら馬鹿な自分自身を恨みなさい」
聞いた事の在る声が鳴る。
瞬間、
全ての記憶がぶり返してくる。
「シルフィードさん⁈」
するとシルフィードさんが諦めた様な顔をする…
「やっぱり聞き違いじゃ無かったのか…あんた何もの?何で私の名前を知っている訳?」
憶えて…無い?
当たり前か…
もう14年前の事だ、
ならば俺がする事は惟一つ。
「これを返しに来ました」
俺が出すのはあのギルドカードだ、
今までお守りの様に片時も離さず持っていた。
「…あんた、あの時の…」
思い出してくれた?
「それで?」
「え?」
思わず惚けた声がでる。
「あんたらはエルフの討伐しに来たんでしょう?」
そうだった、
この人もエルフ…
俺たちは理不尽に殺しに来た悪者だろう…
☆☆☆
サイド:パラケラスス
「何でアブラムの所の娘にヒトが居るんだ?」
俺は今嫌な予感がして我が愛し子達の住まう場所…
エルフの集落から一歩外れた所に在る家、
シルフィードの家の前に立って居る、
勿論でぃほぉるとでフードもだな。
「勝手な事はわかって居ますが!俺は貴方と生きたい!貴方の隣に立ち続けたい!」
その声を聞いてドアノブに掛けて居た手が止まる。
そして湧き上がる…
怒り、
良い度胸だクソガキ(年齢的に)、
我が愛し子を殺しに来た挙句、
死にたく無いから虚偽の愛の言葉で事を逃れようとは、
惟殺すだけじゃ スマサンゾ?
☆☆☆
サイド:オファニル
ドアの外から強烈な殺気が昇って来る、
怖い…
正直にそう思った、
今まで多くの魔物を殺して今の地位に着いたが此処までの殺気は浴びた事が無かった、
シルフィードさんも冷や汗を垂らして腰を抜かして居る。
「『ガフの部屋』に接続、『ルミナリー』を展開、ベヒモスを召喚」
聞き慣れ無い単語の羅列、
ふとシルフィードさんを見る、
そこには驚愕に染まった顔…
この尋常じゃ無い殺気の持ち主を知っている?
「ベヒモス…この男を痛めつけろ、殺さない程度にな」
聞こえて来たのは舌足らずな幼子の声、
しかし内容はとても幼子の其れでは無かった、
「きけけ、この男、あそこ、居た奴、殺して、無いか?」
聞き取りにくく、
不愉快な声!
間違え無い、
こいつはあの時の、
そう思った時には俺は剣を持って立ち上がって居た。
「あははは!やり合うのか?ヒトごときが俺の最高傑作と?」
この殺気の持ち主が誰で、
この化け物とどういった関係かは知ら無いがやる事は一つ‼
「うおぉぉ!」
腰を落とし剣を突き立てる、
が、
弾かれる。
「見よ、ベヒモスをおまえを創った私はこの獣も創った、
これこそ神の傑作!造り主をおいて剣をそれに突きつけるものは居無い!」
何を、
言っている?
シルフィードさんに?
あの幼子がシルフィードさんを生み出した?
「もう良い…ベヒモス殺せ、
薄汚いヒトごときに我が愛し子が嫁ぐなど怖気が走る!」
殺られる!
そう思った瞬間だった、
血塗れのシルフィードさんが俺の目の前に倒れ込んで来たのはあのヒトだった…