我が愛し子
俺は独り『ガフの部屋』の王座に座り溜息を着く、
この王座は昔80年程前にアダム・カドモンが献上して来た物で擬似精神世界で在る此処でも感じ座る事が出来る、
今俺はタルムードに接続して我が愛し子…魔獣を観て居る、
今では魔獣達はヒトから魔物と呼ばれ怖れられる存在だ、
原因はあの戦争の時だ、
☆☆☆
戦争はアレから直ぐに決着がついた、
何故なら我が愛し子達に殲滅命令を降したからだ、
最初の三回は一々『タルムード』に接続して天使として認識させて居た、
だけどやっぱりめんど臭く成ったので「タルムード』に接続せずに続けて居たら魔物扱いされた、
元々この世界で魔物と呼ばれる生き物は人間に害を出すだけの動物だった、
鹿とか猪とかだな、
で、
我が愛し子たる魔獣達をそんな低俗な獣と一緒にされた事にキレて敵国を蹂躙したら…
☆☆☆
「はぁ~コレがそのツケか?」
俺は我が愛し子の一匹の眼を通じてソノ風景をみる。
眼の前に居るのは冒険者…
ギルド登録者達だ、
彼等はそれぞれの手にそれぞれの得物を持って此方を見る。
「悪しき魔物め!貴様は偉大成る我等が神に仇す存在だけで無く近隣の村々の子供を喰らう!今此処で剣の錆にしてくれる!」
冒険者君が叫ぶ、
多分その近隣の村々からの依頼何だろう、
『セファー・ラツィエル』で調べてみた処彼等はBBランクの俗に言う高ランク冒険者達だ。
勝負は一瞬でついた、
名乗りを挙げた男の惟一刀の元に斬り伏せられた、
そこで俺の視点に戻る。
まぁ、
あくまであれは肉体の滅びで在り死では無い、
いや、
記憶とかはリセット為れるから死は死なのか?
「それにしても何時から魔物が俺に仇す存在に成ったんだ?」
はぁ~
こんな事が至る所で起きて居る何て考えたく無い、
漸く我が愛し子達の住処が決まって激しい進化もおさまって来たのにな。
「それにこっちもな…」
『アブラム…俺だが、そちらは大丈夫か?ギルドから討滅願いが出て居たが』
『ガフの部屋』にてタルムードで接続するとこによって意思の疎通…
テレパシーを行う。
『は!パラケラスス様、此方にはまだヒトの姿はありません』
大丈夫そうだな、
因みにアブラムとはあのヒト型魔獣 アダム・カドモンの子孫で在る、
いや…やはり一番大きく関わっているのは『オリジン』だろうか?
やはり『あの暇つぶし』などしなければよかったな。
そんな事よりも、
アダム・カドモン…
奴は死を怖れて居たがそれが生き物の有り様、
永久不変、
自然界の絶対法則で在る事を教えたら大人しく臨終の床に着いた、
その直前に残したのが、今のアブラム達…
ヒト型魔獣の先祖だ、
そして彼等がギルドやヒトに何と呼ばれて居るか…
聴いた時は吹いたな、
曰く、
『奴等は卑しき民エルフ』
何だそうだ、
我が愛し子達に向かって卑しいとは…
ヒトの勇気を賞賛したな、
でもまぁ俺が直接聴いた訳でわ無い、
ギルドの提示報告の時に言って居た言葉だ、
どうやら魔獣達と戯れて居た姿を観られたらしかった。
「『ガフの部屋』『トーラー』に接続、『セファー・ラツィエル』第7章第5節を、エルフ討伐の精鋭部隊を閲覧」
『トーラー』とは『タルムード』と同じ様に『ガフの部屋』の第二界・ブリアーに在る情報統括機関で『セファー・ラツィエル』も此処に組み込んで在る。
「ふーんまさかSランクの奴まで居るとわな…どれだけポイントを積んだんだ?」
因みに100年経った今ギルドポイントは完全なお金代わりに成って居る、
そしてランクが上がれば、上がる程貰えるギルドポイントは上がって行く、
詰まりSランクのヒトを参加させるにはそれ成りに払わなければ成ら無い、
詰まり殺す気満々も言う事だ。
「そこまでして我が愛し子を殺すかヒト共がぁ!」
思わす声が出る、
だが仕方が無いとは思え無いし思う積りも無い。
「『ルミナリー』を展開 ベヒモスを召喚」
すると俺の眼前の床が輝き、
俺の最高傑作が現れる。
「主よお呼び入り感謝いたしまする」
うむ、
色々変だが気にしたら負けだ。
「うむ、お前を呼んだのは他でも無いアブラム達がヒトに害為れそうに成って居る…」
途中で言葉を切る、
後は察せ!
「では私が彼等の用心棒として出向きます」
そう言って再び光の中に消えてゆく。
「何かごめんね?」
過剰戦力の戦闘狂を送ってしまったヒト等への謝罪は虚しく響き渡った。