汝の罪は
ずどーーん‼‼
これは着陸じゃあ無くて墜落だな……スピードの出し過ぎには気をつける事にしよう。
ついさっきまで俺とマーシュの身体を支えて居た翼が光の粒子に成って行くのを見ながら自重する事を誓う。
かなりの勢いで地面と激突したが大丈夫だろう。
俺は魔改造したローブで、マーシュはドローミで。
「帰って来た、か……」
俺は独り屋敷を見ながら呟く。
こうして見るとあの時から外観が大きく変わっている。
「金塊…役にたったかな?」
どうでもいい言葉が口から漏れる。
因みに俺は一歩もここから歩いていない、
歩けない。
とても近い……15メートル有るか無いか程度……
しかし永遠に歩いても着かないのでは無いかと思うほど遠く感じる。
☆☆☆
「行く……あと三秒で行く……1.2.3
ッ! ……」
あれからずっとこれを繰り返している、
正直ここまで自分がチキンだとは思って居なかった。
「行く……あと三秒で行く……1.2.さうおぅ‼ 」
さん と言おうと思ったところでかなり強い風が吹いた。
追い風だ……
そして俺の脂肪? なにそれ? な華奢な身体はなされるがままに前転した、
顔から地面にダイブした上にかなり痛かった。
「ああ! もうやけだ! 」
速攻で立ち上がって門まで走る。
もちろんマーシュは忘れていない。
ドローミで繋がったまんまなのでそのまま引きずる。
ドローミの能力で怪我とかはしていない……多分。それはともかく門が眼前に迫る。
土埃が上がる、そしてついに着いた、我が故郷、ダートン家の扉に。
叩く事そのものは安易だろう、しかし今の俺は大きな覚悟が居る。
だがさっきと同じ過ちは繰り返さない、
何故?
マーシュの容態が悪化した……
肩から生える剣が二本になったのだ。
根本は同じで左肩からだ。
正直かなりエグい、何がと言うと魔力を根こそぎ奪って行くその様がだ。
恐らく一刻を争う事態だろう、心にもう迷いは無い、ドローミは既に消えた。
俺は深呼吸を一つしてその扉を叩く。
「お母様、俺です! パラケラススです! 」
俺は叫んだ、両親等にすれば既に死んだ子、兄弟にすれば有った事の無いただの邪魔者……
そんな考えとマーシュを早く助けたい、
そんな考えも有った、どちらも自分勝手な考えだ、自分のせいで、自分のお陰で、どちらも酷く傲慢な考えだ。
だが見捨て無い、
見捨てられ無い。
そうして扉は開かれる。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしたお母様が俺を抱き締めてくれた。
☆☆☆
結論から言えばマーシュは助かった。
やはりかなりギリギリのラインだった……
て言うか一般人だったら既に死んでるレベルだったらしい。
マーシュマジすげぇ、
今は増築された別室で妹のミカエリナが見ている。
そして今俺はお父様とお母様と一緒にお話中だ。
「俺が居無い間に妹が産まれたんですね?」
最初の発言がこれだ。
他に話したいことが無いわけじゃ無い。
寧ろ今はこんな事を話すベキでは無いだろう。
俺が別の何かを言おうとした時、お父様が口を開いた。
「パル……そのローブをまだ使って居てくれたんだね」
あれれ? 妹の事はスルーなの?
と 思ったらお母様が答える。
「ええ そうよ、ミカエリナちゃんと言うのよ、そんな事よりも何であの時のままなの?」
来た!
この質問に答える為には件の事件を話さなくてはいけない。
話すつもりではいた。
しかしやはりいざとなると話す事が出来ない。
「お、お母様! 妹の……ミカエリナの事をそんな事何て……」
逃げ道……
少なくても俺にとってそのつもりでミカエリナの事を出した。
しかしお母様の顔はみるみる歪んで行き、
その果ての表情は後悔。
そして母は語り出す、自身の過ちを、
さらけ出す、心からの懺悔を。
しかしそれが許される事は無いだろう。
ミカエリナは全てを諦めて居るからだ。
母の言う通りミカエリナにとってこの世の全ては夢の延長なのだろう。
そしてその事実は悠久のメランコリーとして母を蝕んで行くだろう。
それ等は全て俺のせいだろう、
ならば俺に何が出来るだろう?
話そう、真実を有りのまま起こった事を、赤裸々にあの6年間の事を。
それが唯一俺にする資格の有る贖罪なのだから。




