ママ親
ままサイドオンリーです
サイド:ミケリアス
今日この日は私たち夫婦にとって一つの特別な日です、
今だ幼いミカエリナにはどう言った日かは話して居ませんが今日は彼女の兄で有るパラケラスス・ゴット・ダートンの旅に出た日…
詰まり私たち夫婦の元から去った日でもあります、
出て行った時にあの子はまだ三歳でした、
普通ならば既に死んでいると考えるのが普通でしょう、
しかし、
毎年あの子の誕生日の日になると沢山の金塊が送られて来ます、
始めてそれが送られた時はパラケラススがまだ生きているんだと夫婦二人して泣いたのを覚えて居ます、
差出人の名前も何処からかも分かりません、
それでも私…
いえ 私たちはこれがパラケラススの仕業だと確信して居ます、
ある年にこの金塊が家に来るのを見る為に夫婦二人で一晩中家の前に待って居た事が有りました、
例えそれを届けるのがパラケラススでは無くても無事で居るかどうか、
最悪の場合最期はどうだったかを聞くつもりでした、
しかし丸一晩待っても来無いで
結局夜が明けてしまったので落胆しながら家に入るとそこに金塊が有りお互い顔を見合わせませて大笑いした事は懐かしい思い出です。
「ふふっ」
あら、
思い出したらまたおかしくなって来た、
思わず思い出し笑いを漏らしたら。
「あら、お母様そんな笑いかた貴族らしく無くってよ!」
あらあら、
怒られてしまったみたい、
この子はミカエリナ、
あの子の妹…
あの子に会う事無くまたあの子もこの子に会う事は無かった悲しき兄妹。
「な、なんですのその哀れに思う様な顔は!」
「お父様も同んなじ顔をしておりましたは!」
「今日はお父様とお母様にとって大事な日なんでしょう⁈」
「なのに何で毎年毎年そんな顔をするんですの⁈」
ふぅ、
この子はあの日…
兄 パラケラススが居た事を話した時からこうなった、
あの時からこの娘は自分を偽る様になった、
それは私のせいだ、
私がこの娘を通してパラケラススを見て居た…
それを幼心に感じたのでしょう、
いえ、
幼心故にでしょうか?
それにこの子の話してを聞く限りだとパルパトスさんも同じ様にして居たのでしょう、
そしてこの子をこんなのにした最たる原因はミカエリナがまだ四歳だった時…
☆☆☆
「お母様、今日は一体なんの日なのですか?」
ミカエリナが今日が何の日か聞いて来る、
でも、
この娘には兄が居た事すら話して居なかったですね。
「今日はねミカエリナちゃん今日は貴女のお兄さん…パラケラススちゃんのちょっとした記念日なのよ」
ああ、
私はこんな幼子に何を言ってるのだろう…
この娘が知ればどう思うだろうか?
自分に兄が居た事に驚愕するのだろうか?
しかしこの娘は思いの外聡明で有った。
「ならば…ならば、私はお母様にとって既に死んでいるお兄様の代わりと言う事ですか⁈」
その言葉を聞いた時頭に血が登ったのが分かった、
既に死んでいる?
あの子が?
私は気付いたミカエリナに手を上げて居た…
「そう…やっぱりそう言う事ですね…」
ミカエリナは紅くなった頬を抑えて呟く、
その時私は理解した、
今までこの娘がどんな気持ちでこの家に居て私たちと向かい合って来たのか。
私はミカエリナがその場から居なくなった後もその場を動く事が出来なかった。
☆☆☆
そして、
そんな事が有った今でもこの娘を通してパラケラススを見る事を辞め無い、辞められ無い
私は母親失格でしょう、
それからのあの娘は私たちを見て居る様で世界の何処にも焦点が有って居無い…
今の私たちはあの娘にとって夢の延長なのだろう、
どこもかしこもあの娘の癒しには成ら無い、
その結果歪んだ、
歪ませて仕舞った、
あの子が居なくなってからこの娘をあの子の分まで愛そうと決めたのに。
そうやって自分勝手でする資格も無い自己嫌悪に陥って居る時だった、
今日と言う日が私たち家族に忘れられない日になったのは。