木陰のベンチで。
「ただ今より第52回剣道大会を開催します。」
あーあ、
始まっちゃった。
やっぱりこの大会は
何回出ても緊張するなー…。
それにしても高島さんだけは
落ち着いてるな。
「ねえ胡桃、
高島さんすごいね!
皆緊張してるのに、あの人だけは絶対に緊張しないね。」
「あたしも同じこと思ってたんだ。
実玖も緊張してる?」
「そりゃ、緊張するよ!」
こんなときでも
あたしたちって、同じこと考えてるんだ。
なんか笑える゛
「でわ、今からトーナメント表を前に張り出します。
しっかり相手と何試合目に対戦するか
把握しておいて下さい!」
皆、トーナメント表を見て騒いでる。
「胡桃!あたしたちも見に行こうよ!!」
「うん!行く。」
えーっと…
あたしの名前はどこかな?
……あった!
36試合目だ。早めだな。
今回は117試合もあるんだー
相手の人はあんまり知らない人だな…。
まあ、がんばろ!!
まだ試合までは時間あるし
外の空気でも吸いに行こ。
ガチャ、
「んー、
涼しいな♪」
さわやかな風が木の葉を揺らすたびに
心地よく感じる…。
ちょうど、木の陰にあるベンチを発見!
ラッキー♪
座って空を眺めてると気持ちいいな…。
「……ぶ・」
?
「…だい…ぶ?…お、い」
?なに??
「だいじょうぶ?おーい!!」
「わあ!!あれ?高島さん??」
「? なんだ。寝てただけか…
ベンチでぐったりしてたから。」
あ…あたし、あのまま寝てたんだ。
「起こしてくれてありがとう。」
「…別に。」
初めて高島さんと話すから緊張するなー。
「あ…あの、高島さんって剣道ものすごく上手だよね。」
「え…?べ、べつにたいしたことないよ。」
あ!高島さん、照れてる。
かわいいなー。
「じゃあ、もう私行くからね。
もう試合始まってるし。」
「!
もう試合始まってるの?
あたしも行かなくちゃ。
ありがとう!高島さん!!」
「う うん。」
そのあとは、またクールな
高島さんに戻って会場に入って行っちゃった。
高島さんもかわいいとこ
あったんだー♪
これが、あたしと高島さんが
初めて喋ったときだった…。