夏の計画
僕は翌日の登校中、西條に出くわし、片腕を絡まれ、第三者から見るとカップルがイチャついているように見えるだろう。
「おはよー、和希ぃ!熟睡出来ましたかー、昨夜はぁ!」
「はよー。西條、朝から元気だな相変わらず。暑いから離れろ」
「塩対応、酷ぉ〜!他の男子なら喜ぶんだろうな〜!」
「だったら他の男子とセフレしててくれ」
「和希だから、セフレとしていれるんじゃん!?他の男子はガッツキすぎでしょ?」
「ガッツかないな、西條相手には」
「ソレが良い!!今のうちにキスしとこ?」
「しねぇよ!!キスなんかより腕を離して距離を離せ!」
こんな調子で西條に絡まれるので、疲労が溜まる。
谷治に見られてしまうと修羅場確定なので冷や冷やする。
「おはようございます、中川先輩。今日もイチャついてますな、ヒューヒュー!!」
西條が居る左の反対に後輩の芦田穂乃果がくっついてきた。
「はよー、芦田。なんでお前まで距離を縮めようとする!?西條の剥がしに忙しいんだよ!!」
茶髪のウルフカットが揺れる。
「私の剥がしとか酷ぅ〜!!」
「うるせぇ、お前は腕を絡ませるのをやめて、距離を保て!!」
僕は喉が渇く。
平穏な高校生活はいつ、過ごせるんだ?
高校に到着し、登校を終えた僕たちは、昇降口の下駄箱でいったん別れる。
隙を見計らってみるも、西條に捕まり、五指を絡める恋人繋ぎをしてきて、腕を自身の方にひいてみるも剥がれない。
既に登校していた下級生や同級生、数人の上級生に見られながら、教室に向かう。
「スタドリのSSRエリックの排出率低すぎてヤバいんだけど、どう思う?」
「やってねぇし、興味がそもそもねぇよ。どうもこうも知らねぇって!!」
「じゃあ夏の過ごし方は?プールか海に泳ぎに行こうよ?」
「人混みがそもそも苦手だしよぉ。日焼けするぞ!」
「日焼けなら日焼け止めを隅々まで塗らせてあげる、和希にね」
「誘惑してきても何も起こんねぇよ。触り飽きたし、何も感じねぇ」
「またまたそんなこと言って〜!」
「そろそろ棗来るから、離れてくんない?」
「棗さんが来たって変わんないじゃん」
「変わるわ!!」
教室に着いて、脚を踏み入れる。
「おはよー、今日も夫婦で登校か〜?」
「はよー、今日も見せつけやがって!!」
「はよー、うるせぇ!西條が離れねぇんだよ、誰かこいつを引き剥がしてくれねぇか!?」
「こいつ呼ばわりは嫌ぁ〜!」
「面倒くさいから入ってくるなって!」
「あぁーあっ!!やっぱかずくんに引っ付いて!!離れろ、西條ぅー!!!」
幼馴染の谷治が教室に乱入して、僕と西條の間に入って引き剥がそうとした。
6月20日の水曜日の朝も平穏とはならなかった。