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不純だろうね

 中川和希は裸の西條美澄を抱いていた。

 お互い好きではない。

 セフレという関係で、何故彼女を抱いているのか分からなくてなる瞬間が度々湧いてくる。

「和希、ノリ気じゃないね。棗さんは無理なんだよ」

「棗は汚したくない。棗を出すのはやめてほしいんだけど」

「ごめんごめん。でも私より彼女なんでしょ?はぁーあ。失恋で落ち込んでいる私にそんなやさぐれた対応はどうかと思う」

「はぁーあ。僕より適任がいるんじゃない?満足してる?」

「棗さんが嫉妬してくれる現在が楽しい。和希について感情剥き出しにしてくるとこ可愛い」

「怖いなー。今もメッセが何通も来て、狂気を感じてる。そろそろこの関係、終わりにしない?」

 僕は彼女に胸部を撫でられ、セックスをしたいという衝動に駆られない。

 好意を抱いている相手ではないからだ。

 彼女から発せられる命令を遂行するだけだ。

 彼女からの胸を揉め、アソコを触って舐めてだの、積極的ではない。

 他の男子生徒なら喜んで行うだろうが僕は違う。

 魅力的ではないとは言わない。

 彼女は僕の硬くなったアレを舐めてしゃぶってくれる。

 僕は昂揚も後半も湧かない。

 クラスで——いや校内で人気ランキング上位三人に入る女子生徒の西條美澄である。

 僕は彼女の額を押し、自身のアレを舐めるのを離した。


 僕はベッドからおり、スリッパを履いて、自室を出て、リビングに降りた。

 冷蔵庫から二リットルの天然水のペットボトルを取り出し、グラスに注ぎ一気に飲み干す。

 追いかけてきた彼女が僕の片腕に絡みつく。

「私は和希に何を奉仕したら、喜んでくれる?」

「服を着て、さっさと帰ってくれたら、喜ぶな」

「もう少し抱いてよ!ねぇ和希ってばぁ!!」

「はぁー。あと30分だから」

「短いけどわかった」

 僕は彼女に片腕の手首を掴まれ、寝室に戻された。


 ようやく西條が帰宅して、一人になった。

 幼馴染で汚したくない谷治棗は西條美澄を嫌っている。

 数ヶ月前から西條が失恋してその傷を癒そうと僕に接触してきて、セフレの関係を結んだ。

 こんなにノリ気になれない女子との関係は初めてだ。


 ベッドのシーツには彼女の身体の跡が残っており、臭いも残っている。

 背徳(うしろめ)たいという感情は湧く。

 西條がこれほどまでにノリ気なのが、僕にとって誤算というか不本意なまである。

 他の男子生徒なら羨ましがられる状況だろうが僕にとってはただの迷惑でしかない。


 僕が手に入れたいのは平穏だ。平穏とはかけ離れたこんな不純な関係は断ちたいのだ。


 谷治と顔を合わせるのが気まずいのだ。


 22時37分、浴室で平常心を保つ為に瞑想するのだった。


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