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スイートルームで3人は思い思いのセックスを繰り広げて、何度も果てた。アスミは槙人の姿を見るたびに高校時代の彼とは変わってしまった気がして、遠い存在のように感じてしまった。槙人は挑発的にアスミに自身が犯される姿を見せて、その反応を楽しんでいるようにも見えた。その冷たさが怖くて、高校時代に数学教師からされた幾つもの、強者が優位的な立場で弱者を蹂躙していく感覚を再体験していた。


何度も男たちが呆然と座り込むアスミに声をかけ、セックスに参加させようとしてきた。だが、かたくなに拒否して体を守るようにしながら体を抱きしめた。そうだ、見たくなければ見なければいいと気づいた時、彼女は顔を伏して、目を閉じた。音の感覚が鋭敏になって槙人のあげるよがり声の甘さが耳に充満する。このような色っぽい声をあげると思うと、体が勝手に熱くなる。足がもぞもぞと動いて、身体は秘部から勝手にぬるぬるとした体液を滴らせてしまう。その不快感を感じながらも、その声を聞き入った。息をのみ込む音や、一気に息を吸い込む音、なにかを含んだときに出す水音と、吸い付くときに出る音、甘ったるい獣のような唸り声が何度も反芻される。

永久にも感じるその時を過ごして、彼らがひとりひとりと行為に飽きて退場していく中、最後に残ったのは槙人だった。槙人はアスミと2人きりになるとすぐさま彼女の傍らにいき、うつむく彼女の肩をたたいた。


「終わったよ。参加しなくて暇だったでしょ?」


槙人はアスミが苦痛だったと言うのを見越して話しかけた。彼女はしょぼしょぼと目を瞬かせ、槙人を見つめる。彼は出会ったときと同じ調子で彼女に話しかけていた。その落差が彼女の疎外感を酷くさせた。


「したくなかったもの。君は初対面の人とやって楽しいの?」


「人によるよ。楽しいときと楽しくないときがある」


2人は隣り合ってその場で体育座りのような形で地面に座り込む。何かきなよとアスミが言うと、槙人はいいんだと拒否する。

槙人はじっと彼女を見つめる。その視線はこの先のことを見越して、じっとりと熱っぽい物があふれていた。槙人の視線を敏感に感じた彼女は、どぎまぎして体を右往左往させてしまう。


「嫌なら嫌って言ってくれればいい」


包み込むような声音で囁いてくる。その指がアスミの顎を引き寄せて近づく。アスミは小刻みに震えながら、目を閉じて身を委ねようと決心した。

嫌なわけが無い。どんなにこの時を待ち焦がれていたか。アスミは焦れったくなる。


柔らかな唇の感触がぴたりと槙人の唇と密着した。幾分熱を含んだ温かみのある唇をこじあけ、その唾をすべてからめとるような激しいキスをする。硬直した舌を自分の舌と重ね合わせ、執拗にねぶる。口元からよだれがあふれ、引きはがしたときにいった。


「ゆっくり舌を絡ませて」


動揺する彼女に教えるように囁く。ぎこちなく動く彼女はそれでも必死で食らいつくように槙人に答えていた。


蜜のように甘い唾液を啜りながら、のみ込む。彼女のすべてが欲しかった。男たちから蹂躙される姿を見た彼女は槙人のすべてを見てくれた。それだけで槙人は彼女を愛することができた。他の女のように淡々と反応しないアスミを見るたびにその心に気付かされる。にやりと顔を歪める女たちと男たちや気色悪いものや見ていけないものを見たと言う表情をする人間ではなく、彼女が傷ついた表情をするたびにその心が本物だとはっきりする。息が荒くなる。彼女を押し倒して、肌から服をはぎ取ってしまう。されるがままの彼女はか弱い女そのもので、顔を赤らめながら、長い腕で乳房を隠していた。蛍光灯に照らされる真っ白な肌は別格だった。美しい曲線を描く腰回りと、果実のように膨らんだ乳房が際立った。剥ぎ取ったときに見えたショーツにはベタベタと愛液がついていて、彼女が反応していたことに思わず喜んでしまう。


「さっきみたいなことするの?」


「嫌かい?」


「嫌だと思ってる?」


「そんなこと思ってないよ」


「私も」


2人の視線が重なり合う。アスミはまだ怖がっていたが、視線を合わせているとその瞳がとろんと柔らかくなり、きらきらと輝き出した。


「私はずっとこうなりたかったよ」


アスミがぽつりという。ずっとどのように触れられるのかを考えていた。荒々しく引き寄せるのか、優しく少しずつほぐすように触れるのか、その想像は増すばかりだった。親友という枠組みでは許されない数々の背徳の情事を妄想していた。だが、アスミの中ではこんなにも常軌を逸した出来事に出くわすとは思えなかった。アスミが考えるどの情事よりもそれはグロテスクではあったが、とても甘美なものになると確信した。


「僕も今そう思うよ。君がとても愛しいんだ」


見下ろす槙人は、アスミの顔にふりかかった髪の毛を優しく整える。そしてその頭を何度も撫でる。慈しむように、ずっと触れてみていたいというように、何度も何度も撫でては心がぎゅうっと掴まれたように激しく早鐘を打つのを感じる。


アスミといるだけで無意味な日常が色を付けるように鮮やかになった。彼女がいない日常は退屈で、毎日が恐ろしいほどに長いように感じた。彼女が孤立した高校生活から槙人は彼女のそばに行こうと決意し、その時から毎日が一気に変わっていった。彼女と話すだけで心が浮き立ち、そんな自分に価値があると思えた。

きっと、自分と彼女は出会うべくして出会ったのだと確信する。


「私君のこと好きだと高校3年生あたりから思うようになったの。どんどん君を見ているたびに心がドキドキして、君が他の女子と話していると気が気じゃなかった。どこかにいってしまいそうで、私から離れないでほしかった。今だってそう。他の男の人と性行為をしているのをみて、君が気持ちよさそうな喘ぎ声を出すたびに私と比べてしまう。私としたときにはどんな声を出してくれるのかって」


「どんな声で反応するか試してみる?僕は君がどんな声をだすかのほうが気になるよ」


蠱惑的な微笑みを浮かべると、槙人はアスミの腕を避けて、桃色の乳首をしゃぶる。小さな乳輪と豊かな乳房で重みがあった。赤ん坊のようにちゅうと吸い付くと、アスミが「あっ!」と声を上げた。


「まだまだだからね」


あらわになったアスミの下半身の茂みに触れながら、びちゃびちゃになった肉壁をかき分けるとぐちょぐちょに滴る熱い花芯にたどり着く。グリグリと小刻みに花芯を動かすと、腰をあげてアスミが高い嬌声をあげる。快楽にゆがんだアスミの顔がたまらなくなって、再び軽いキスをする。


「他の男にもそんな反応をするの?」


アスミの耳元で甘ったるい声で槙人が尋ねる。アスミは身を捩らせながら、そのくすぐったい感触から解放されようとする。


「他の男なんていないよ」


すがるようにアスミは言う。槙人は口を少し開けながら、「そっか」と言った。自分だけのもの、自分だけが彼女の恥を知っている。そして彼女だけが、自分たちが過ごしてきた高校生活を知っていて、槙人の痴態を知っている。親友の境界を越えた今、2人の関係は雲のようにつかみどころがなく、不安定だったが、2人には心の底が通じている感覚があった。


「もっとやって」


アスミが甘える子供のようにせがんだ。熱を帯びた目線がじっと槙人に注がれる。槙人は彼女の反応を見ながら、花芯のその下にある溝に指を差し込む。その中はねっとりと指に蜜が纏わりつくように熱く、びくびくと体を震わせるアスミは空気を含んだ甘い声をしきりに上げていた。

アスミの腰が刺激で動く場所を見つけてから、槙人はゆっくりとその場所を人差し指で出し入れする。体液を絡んだ指を目の前で見ると、かすかに甘い香りがした。再び、出し入れを繰り返す。苦悶に顔をゆがませたアスミは槙人の左腕を握りしめ、よがり声をあげる。


「凄いぐちょぐちょだよ。こんなになってるんなら、みんなでやったほうがよかっただろうに」


否定するだろう言葉を投げかけ、反応を楽しむ。案の定、アスミは首を振って、「いや」と拒否した。


「君とだけがいいの」


「他の男よりも?」


「うん」


頷く彼女に、思いきり指を差し込んでグリグリと奥深くを刺激する。瞬間、アスミは体を強張らせて、高い声をあげた。丸々入った中指がヒクヒクと物足りなそうにしている肉のひだの中をかき分ける。


「やだ」


「今度はやなの?僕だけので満足しちゃう?」


「君だけのがいいの」


その言葉だけでどれだけ救われるだろう。他の男達の愛してるの言葉なんかより彼女の言葉だけが価値を持っているように感じられる。その言葉の重みが彼を興奮させる。


「そんなに僕のことが好きだなんて、早くやりたいって言ってくれればいつでもしたのに」


「言うタイミングが分からなかったの。君は男の人が好きだし、親友だから関係を壊したくなくて」


「かわいいね。ほんとに」


言葉とは裏腹に指を無理くり2本にして、中に入れる。指をぎゅうぎゅうに絞め上げ引き締まってくる。アスミは痛がって、全身を強張らせていた。


「痛いから、もっと優しくして」


切なげな声で哀願する彼女を尻目に、2本の指を抜いて中指だけを中にいれて、大きく時計回りに弧を描く。身を捩らせるアスミをぎっちりと掴んで、自分の陰茎に唾を垂らした。それを広げるように潤滑油がわりにして、彼女の溝に陰茎を押し付ける。


「力を抜いてね。今いれるから」


ゆっくりと沈ませるように中に入っていく。


「あぁっ」


アスミが苦悩の声を上げた。槙人の陰茎に纏わりつく肉壁は十分に熱く、とろけそうな心地だった。襞に擦れるたびにいいようのない快楽が沸き起こる。


「僕は今日からずっと女の人とはセックスしないって約束するよ。だから君も僕以外のやつとしないで」


アスミは喘ぎながら、必死に頷いていた。快楽に身を捩らせながら、彼女は槙人の話に耳を傾ける。槙人は、徐々にペースをあげながら一心不乱に腰を動かす。


「ぼくと一緒にいるってことは、地獄に行くってことだよ?君にそれができる?僕は君以上に誰かを愛したことがないけど、君が僕と一緒になるなら、君はずっと人に会えないことになる。僕は君が他の男と話したり、他の人間と会話するのが凄く嫌なんだ。それでもいい?」


槙人の言葉にうんと小さくいったアスミは、その瞳から涙を流していた。苦しげな痛々しい姿に思わず、槙人は動きをとめる。


「君が苦しんでるのを見ると、悲しくなるんだ。そんな顔しないで」


「嬉しいだけ。君と一つになれたから。君とずっと一緒にいれるならもうなにもいらないの」


切なげな言葉に槙人の心がぎゅうっと締め付けられる。アスミの両足を槙人の肩に背負うと、奥深くを突いた。


「いやっ」

反射的に声を出したアスミが体をのけぞらせた。獰猛な獣のように、激しく彼女に先端を打ちつける。1回1回自分のものだと刻みつけるように。彼女が自分のかたちを覚えるように。他の男のことなど考えれないくらい、彼女の言った言葉に嘘偽りがないかを確かめるように。


彼女の顔をまじまじと眺めながら、射精の準備を始める。


「君はずっと僕のもの。一つになるっていうのはそのことだよ。身も心も僕と一緒になるんだ。一緒になって僕達は色付きの人生を歩み続けるんだよ」


「一緒にいさせて。死ぬまで一緒にいたいの」


「あぁ。死ぬまで僕たちは一緒だよ。僕達は2人で一心同体になるんだ。それが地獄になるとしても、君がいるなら構わないよ」


アスミのじっとりと汗ばんだ肉体を撫でながら、槙人は勢いよく果てた。

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