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紅き狼の恋愛遍歴  作者: redwolf
第一章 紅い出会い
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第十七話 愛する者を、決して渡さない

「最後は恋人同士になれたみたいだけど……私は許さないわ」


 許さない。

 絶対に。

 ケイドが許そうとも。

 世界が許そうとも。

 私だけは許してなるものか。


「なら……なんで俺の事も助けたんや」

「ケイドの為よ。仮にも恋人だった人が不自由していたら、ケイドが悲しむでしょう」


 ケイドの憂いは私の憂い。

 だから、取り払うのは当然。


「本当は殺してやりたいぐらいなのよ……貴方の事。けどそんな事したらケイドが悲しむし、貴方と一緒になっちゃう」


 ハンクの耳元に口を近付け、敢えて色っぽい声で囁く。


「私、こんな事も知ってるの……ハンクって男は暗殺業を生業にしてた。そして、その事をケイドは知らないって事もね……」


 太腿に置かれたハンクの手を取り、指と指を組むように繋いだ。


「貴方の女にはなってあげても良いわ……好きなだけ抱いて良いよ。でも──」


 私はハンクの頬にキスをすると。


「ケイドはあげない♡」


 耳に息を吹きかける。

 驚いたハンクは身を引いて私から少し離れた。


「あと……殺し合いはナシよ。お互いにとって得がない……そうでしょ?」


 ハンクの手を離すと、私は脚を降ろして身を預けていたドアの縁から背を離す。


「さっきも言った通り……ケイドは今寝てるから。また今度会いにきなさい。会いたいなら、だけど」


 私は踵を返し自分の部屋へと戻って行った。


 あ。

 水貰ってくるの忘れちゃった……。

 ま、いいや。

 寝よ。


 目蓋を閉じると、再び眠りへと誘われる。

 私は、夢を見た。


 夢の中で。

 私は。

 ケイドと向き合っていた。

 周りにはケイドと私の他に、三人の男が居る。

 顔はよく見えない。

 そこは、雲よりも遥か高い塔の上で。

 壁が一部崩れ落ちている。

 眼下には雲海が、遥か下にあって。

 落ちたら、ひとたまりもないだろう。

 そんな塔に縁に、ケイドが立った。

 両腕を広げて。

 背中から、落ちていく。

 私はその名を叫んで。

 手を伸ばして。

 けれど、届かなかった。

 ケイドは。

 落ちていく。


「っ……!!!」


 驚いて、私は飛び起きた。

 全身が汗でぐっしょりと濡れている。

 隣ではケイドが眠っていて、安心した。

 眠ってる顔も可愛い。

 愛しい。


「好きよ……ケイド」


 愛を囁き、その頬にキスをした。


 ケイドを守りたい。

 ずっと。

 そう、思っていたのに。

 どうして?


 私を、置いて行ったの?

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